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*読書録* 『行動経済学が最強の学問である』 相良奈美香 2023年 SBクリエイティブ株式会社

 今回紹介する本はこちらです。
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コンセプト

 行動経済学とは「人間の『非合理な意思決定メカニズム』を解明する学問です。本書では人間の「非合理な意思決定」に影響を与える要素を「認知のクセ」「状況」「感情」の3つに分け、行動経済学の各理論をこの3つに分類し、体系化しています。行動経済学を、単なる知識でなくビジネスの現場で使える教養として身につけたい人におすすめです。

慨用

 情報を素直に処理しないという脳の厄介な性質が「認知のクセ」です。また、人は自分で主体的にではなく、周りの「状況」に意思決定させられています。そして「感情」によって非合理な意思決定をします。この3つの要素が複雑に絡み合って人間の非合理な意思決定に影響を及ぼしています。
 この意思決定のメカニズムを理論化した行動経済学を用いることで、ビジネスの場で適切に人を動かす方法を提案できます。

淡い感情の重み

 感情には強い感情の「エモーション」と、淡い感情の「アフェクト」の2種類があります。私たちは日々無数の判断をしています。しかし全てじっくり考える余裕はありません。そこでアフェクトをヒューリスティック、経験則として使うことで、効率よく判断しています。このようにアフェクトを使うことで意思決定を自動化しているため、時には非合理な判断にもなるということです。アフェクトに訴えることで、意思決定に影響を及ぼすことができそうです。

アドラー心理学で読んでみる

 ここでアドラー心理学の考えで解釈を試みます。アドラー心理学では、感情によって人間が操作されると考えません。感情は自分の目的のために、自分自身や他者を動かすために使うものです。
 つまり、誰かが自分の感情を使うことから、その人の行動は始まります。誰かの感情を動かすことが期待される仕組みの設計とコントロールをしていくということが、行動経済学によって人を動かすということになるのかもしれません。

まとめ

 人は非合理な意思決定を行なっています。しかしそれは人間らしさであり、完全に排除することはできません。大切なのはメカニズムを正しく知って、いい方向に活用することです。そのとき、行動心理学が役に立ちます。
 前の段落でも検討ましたが、他の要素についても行動経済学とアドラー心理学を照らし合わせると面白そうです。続きを書こうと思います。

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