見出し画像

夜明けについてのメモ


公開からもうすぐ1ヶ月が経とうとしているが、毎日どこかで今日を生きる名前も知らない誰かの感想が流れてくる。読むたびに映画を観たようなあたたかさを感じ、この映画に出会えてよかったと思う。

先日、仕事終わりに駆け込んだベルリン中継回。上映後隣からの視線を感じ見てみると、相互が座っていた。相互のお友だちからコメンタリー良かったよ!と勧められ、やっとできた感想スペースでもコメンタリーおすすめとご連絡いただいていたので、(観に、聴きに行くつもりではあったが)寝違えて激痛な首を無視して副音声付きを鑑賞した。もう近場ではレイトショーしかしておらず、休みの前の日しかチャンスがない。普段であれば1日1回上映だと朝だったり早い時間に上映されてしまうことが多いのだが、夜明けを題材にした長い夜のお話だからか、レイトショーの一回きり、というのがまた妙に心を揺さぶり、虜になってしまった。地元の映画館、ありがとう。

結果、コメンタリーは確かに誰かに勧めたくなるほど素晴らしく、三宅監督と北斗くんと萌音ちゃんの空気感は疲れを癒やすようなあたたかさがあり、テンポよく進むクスッと笑ってしまうよう会話の数々から、自分も3人と一緒に映画を観ながら話しているのでは、と錯覚してしまうような時間だった。

この映画が円盤化される際には、是非とも副音声で流していたものを特典として、何なら新しく撮り直したものもつけて欲しいくらいではあるが、万が一つかなかった時に後悔したくないので、暗闇で可能な限り書いたメモを元に副音声コメンタリーを文字起こししました。ミミズ文字で読めなかったり、重ねて書いてしまったり、内容に惹き込まれすぎて書ききれなかったりして文字起こしを諦めたところもあるので悪しからず。ゴリゴリのネタバレ、そして時々感想込みです。



「出だしこそちゃんとしないといけないけど、3人で話しているとどんどん楽しくなっちゃう」北斗🔹「初号以来です、観るの」


・OP 藤沢さんがバス停で雨に打たれている
三宅「11月くらいのバスのロータリーで撮りましたね」「実際に倒れている人を見かけたことがあって。その時にこうやっているカメラワークから始めたいと思った」萌音🔸「結果始まりは原作と一緒になりましたね」北斗🔹「結構ショックな始まりですよね」三宅「めっちゃ濡れてんのにさ、「もっとやりたい!」って言うの」萌音🔸「楽しくなっちゃって。やりたくないですか?」北斗🔹「すぐ体調崩すよ(笑)」

・原作のお名前が表示される
「ここで原作出るの珍しいですよね」

・冒頭に流れている音楽
三宅「Hi'Specにかなり初期段階で大まかに作品のイメージを伝えた。それで「その話聞いて軽く作ってみました」って渡されたのほぼこれ。すごいよね。」北斗🔹「僕、夜明けの曲でふと思い出すのなんだかんだこれかもしれないです」

・「カット数少ないですよね」三宅「そう言われるんだけどそうなのかな、でも終盤になると終わりたくない!って思ってカット数増やしたくなっちゃう」

・藤沢さんの失態を上司がタブレットで見ている
「出た(笑)タブレット(笑)」北斗🔹「最悪(笑)酷すぎる(笑)」三宅「タブレットで撮っちゃったのは横にいる若い男性だったんだよね(笑)思わず撮っちゃったっていう。この並びが絶妙だよね(笑)上司が優しい」

北斗🔹「藤沢さんが強キャラになっちゃってるから、山添くん最初プレッシャーでした。山添くんって藤沢さんの相手になるわけですから。なのに藤沢さんが強キャラすぎて」

・藤沢さんのティッシュ配り
萌音🔸「これ言っていいですか?最後本当は三宅監督が歩いてきたのになんでカットしたんですか!(笑)」三宅「俳優の三宅は駄目でした。佇まいがもうなんかあるじゃないですか。カットしちゃった」

・栗田科学
北斗🔹「本当にセットが細やかだった。こっち(左)の方にある出勤ボードとか」三宅「途中北海道に出張してる人いたよね」
(山添くんかな?Feel da CITY真駒内のときかな?と予想💡)

・シュークリーム案件
三宅/萌音🔸「ゾエくん!」北斗🔹「強キャラだ」萌音🔸「本番でもごもご感強まったのが面白かった(カロリーメイト食べてる山添くん)」北斗🔹「ガム(笑)なんなのあいつ(笑)」

・炭酸案件
北斗🔹「来た!ダンかりん」「空気読めてないな〜」三宅「ダン(笑)今のは編集で消せるなって判断したのかな(笑)」萌音🔸「編集ポイントだ(笑)」(冷蔵庫に山添くんが炭酸を取りに来る)
(どこかのシーンで話していたけど忘れてしまったのでここで追記:北斗🔹「ダンかりんってオーディションですか?」三宅「そうだね」)

「足立さんがいいよね、お母さん呼んできてって」(藤沢さんPMS症状発症)

三宅「後ろから(山添くんが)坂上がってくる時ダーダッ!って音しそうだもんね(笑)」(退勤後後ろから山添くんが藤沢さんを抜かす)
(恐らくこの時に三宅監督より街を設定する時に坂が多いところを選んだ話や、北斗くんによる山添くん→藤沢さんの感情(「この時の山添くんはどんな気持ちなの?」「何も考えてないと思います」)のお話があったはず…山添くんの脚の長さに目を奪われメモ取りきれず)

・エアロバイク〜山添くん元職場
三宅「何でこれしながら喋ってるかって説明するの俺下手だよね(笑)」北斗🔹「元気なんです、活力を見せるために頑張ってるっていう」「元気にならなきゃ!で購入したんでしょうね」北斗🔹「実際にパニック発作を運動のドキドキだと思うために運動をする人もいるみたいです」
(色んな人の文献を読んだ、と話していた北斗くんが垣間見えた瞬間でした)

萌音🔸「この作品でこのスーツの細さの人が出てくると思いませんでした(笑)」「エリートだ。山添くんもここで働いていたんですもんね」北斗🔹「スーツだけはこっち寄りですもんね」
(個人的にツボだったスーツのスタイルに触れてくれて嬉しかったです。やっぱり山添くんのパンツ丈はハーフクッション〜ノークッション寄りだなと。)

・山添くんクリニック受診日
北斗🔹「この日がクランクインでした」
(後ろの金髪の女性の話もされていましたが書ききれず。黒髪から金髪にして、服も自前だと仰ってました)

・山添くん曝露療法を電車で試してみる
北斗🔹「夜中に撮ってて、あんまり回数も重ねられないから、近くの公園に最初エキストラさんも集まってもらって練習しました」三宅「ロープ巻いてね」萌音🔸「え!電車ごっこしたんですか!」三宅「本当は扉も作ろうとしたらしい(笑)でもここは山添くんの動けない葛藤をどう表現するかが重要だったから」

・山添くんニット帽
北斗🔹「ここ、そういえば唯一のウィッグですね」三宅「どうしても撮影の順がここだけうまくいかなくて」「一部ウィッグにしたりとか」「色々どうするか悩んだ結果ニット帽だ!ってなったんだよね」三宅「ニット帽をかぶることで、自分はもう違う世界の人間ですってなるんだよね」
(個人的にニット帽は伸び切った髪の毛を誤魔化すものだと思っていたので、このイメージが聞けて嬉しかった)

・山添くんのパニック障害による発作
萌音🔸「これはもうね…薬渡す時に手に触れたら超冷たかったんです!血液から芝居してた」三宅「ここ!すみません、って言うんだよ!狡いよ。本番まで言わなかったんだよ?謝んなくていいから!!ってなっちゃったよね。そしたら足立さんがポンポンって肩叩いて行った」

・藤沢さん結局家まで来る
「走ってきたんだろうな」「まだ間に合う!と思って色々買ったんだろうね」北斗🔹「居心地悪くなっちゃって、鍵とか音に出てますよね」三宅「エコバッグもちょっと違和感だし」萌音🔸「ここの終わりをどう言うか悩みました。違うってこと?なのか違うってことか、なのかとか。色々試しました」三宅「エコバッグの中、ちゃんと気遣ったものが入ってたから、余計しんどいんだよね、山添くん。シュークリームとか入ってたらよかったのに(笑)」

・山添くん飲み会不参加
三宅「アンバランスになった自分の人生を何とかしようと頑張ってるんだよね」三宅「見てよリモコン」萌音🔸「あ〜アイロンかけてる、正座だ」三宅「ご飯会はヨット部」北斗🔹「チャラかった。ヨット部の写真を撮りに行った日、恐らくクランクイン前でかなり白くて。身体中を黒褐色に塗ってもらいました」萌音🔸「チームプレイのスポーツをしてたんですね、山添くん」三宅「あ〜しんどい夜明けだね、寝れなかったんだよね。ヨット部行かないでさ」

・散髪
「来ました」「藤沢さんもちょっとおかしい(笑)この前あんなことあったのに」萌音🔸「(青いやつ)裏表逆だったんだよね」三宅「でもそれがゾエじゃね?ってなっていっちゃえーって撮ったのよ」萌音🔸「こんな天気の良い日にカーテンを閉めて過ごしてる」北斗🔹「これ撮ったの夜でしたよね」「綺麗なデイ(お昼)になってるよね」北斗🔹「待って、6回も切ってたの!?」萌音🔸「(山添くん)久々に笑った顔だ〜」(←萌音ちゃんの声が優しすぎて笑いながら泣いてしまった)

・山添くんクリニック受診日
三宅「このスンッな表情がめちゃくちゃいいよね、ここの切り替わり好きなんだよね」北斗🔹「髪の毛も切って表情も明るくなってるのも相まって面白いですよね(笑)」萌音🔸「髪の毛切った後、服も変わってますよね」北斗🔹「フードって楽しい感じですもんね。山添くんの衣装の時これより前にもフードがあったけど、これまでは違うなと思って選んでこなかった」

・萌音🔸「山添くんって、一応って言うよね(笑)」北斗「確かに(笑)台本にはないですもんね。自分の中の山添くんははぐらかすイメージがあった」

・「助けられることは、ある」
三宅「ゾエのですよね、がコンサルっぽい(笑)」北斗「そうくると分かった上でのですよね(笑)からの提案(笑)
萌音🔸「ここの位置関係かなり色々試しましたもんね」

・お正月
北斗🔹「藤沢さんもやばいですよね」萌音🔸「こんなにお守り買ってくる人いる?」三宅「色んなお守りがあるんだよ、神社の人もびっくり」「普通だったら修羅場だ」「みかん(笑)」三宅「前日に用意してもらったんだよね、いるかもと思って」萌音🔸「みかんが置いてあったから、食べろってことかなと思って」

三宅「木に映る光がどうしても欲しかったから、途中晴れて良かった。これは技術ではできないんだよ。おせちもらって光が出たけど、また曇ってしまう」萌音🔸「ここのフリスビーのシーン好きです」北斗🔹「この日風が強かったんだよ…」三宅「気持ちよく青空に投げてって言ったら、あってなっちゃって、まあでもオッケーオッケーって(笑)」

・恋人が別れ話をしに家へやってくる
北斗🔹「ここのシーン撮ってる時、山添くんが男で照れちゃう、恥ずかしいって監督言ってましたよね」北斗🔹「個人的にですけど、折り畳み傘が刺さってます。きゅーってなる掴まれ方する。しょうがなく出てきた、最後の砦感が。あと見た目が好きです。そういや一時期折り畳みばっかり使ってたことがある。」

・パニック障害発症時のお話
北斗🔹「ラーメンっていうのが、ラーメンってちっちゃな幸せみたいなものじゃないですか。生活に馴染んだ。そんな当たり前に潜んでいたっていうのが」

・山添くん家〜藤沢さん直食べ
北斗🔹「そういやコンサルっぽい部分では向き合うんですよね、必ず対面で会話してるような気がします」「来るぞ来るぞ」北斗🔹「2回もいってたの?」萌音🔸「ちょっと量が多くて」北斗🔹「そこでやめないんだ」三宅「俺も準備した時ちょっと多いかなと思ったけど」萌音🔸「ここの距離感めっちゃ話しましたよね」北斗🔹「(食べる時に)磨りガラスの向こう出ちゃったら好きになっちゃうと思って」三宅「ここは1番話したよね」

・ヨガ教室〜日曜日の栗田科学にて
三宅「カセットテープの山添くんの表情、俺めっちゃ好きなんだよ」萌音「最初の顔とは全然違いますよね」三宅「微笑んだ瞬間見て良かったなって」
萌音「おかわりいりますか、だって!ゾエ〜〜〜」三宅「あんな大企業に勤めてたんだからね、元々は気も遣えるゾエくんなんだよ」
(シュークリームの頃と比較してた気がする。カセットテープを聴いた山添くんの表情の移り変わりが本当に美しく、愛おしい)

三宅「一方でって感じだよね」北斗「藤沢さんっていろんなことやってる」三宅「こういう話ができるってことはこの2人もそれなりの関係が築けてるってことだよな」

北斗🔹「ブランケットの渡し方、ちょっと悩みました。軽く投げて渡すのか、とか」三宅「(2人並んだシーンを撮ってる時)このシーン撮る時に、こんな手の綺麗な人っているんだ(北斗くん)、って思いながら撮ってた」
「これ何持ってんの?」「知恵の輪だ」萌音🔸「これ松村さんが上手だったんですよ」萌音🔸「藤沢さんの机の上にはいろんなものが置いてたりします」北斗🔹「俺はね〜、蜂が好きでした」萌音🔸「ずっとびょんびょんさせてましたよね」

萌音🔸「これって藤沢さんがいないところで、炭酸飲んできたってことですか?」北斗🔹「そうそう」

・日曜日の栗田科学、お互いのこと
萌音🔸「ここ最初台本で読んだ時、どんなテンション感でいうか悩みました」「結構きついこと言ってる」「藤沢さんと山添くんだからのテンション」北斗🔹「僕も悩みました、やってみると意外にできた」

北斗🔹「うちの母親が夜明けのすべてを観て、"変わらないものってないのかもしれないけど、変わりゆくものも人って意外に満更でもないのかもしれないね"って言ってました」三宅「え〜〜お母さん、そのまま使いたいなそれは」

・ジャケット/藤沢さん家へ〜栗田科学へ戻ってくる
北斗🔹「ここで自分のタガが外れるタイミングだったというか。無意識じゃないよなっていう。今までも機会はあったんだろうけど、一種のやけというか、(家に)行っちゃえ!ジャンパーも着ちゃえ!みたいな」
北斗🔹「これ2日目ですよね」三宅「そうそう、1日目は天気がダメで、2日目は撮ろうってなったら晴れて。どうしても町の中にいる山添くんを撮りたかったから撮れてよかった。そしたら光の中に消えていく山添くんが撮れた」

萌音🔸「ここの富士山いいですよね」三宅「これ富士山いるの知らなくて。ロケハンの時曇ってて見えなかったの。撮ろうと思ったら、お前そこにいたの?って。でもまあいっかって」

萌音「私、ここでクランクアップでした」三宅「北斗くんも、自転車のこの日でクランクアップだったよね。日差しを感じて2人ともクランクアップだった」
「帰ってきた」三宅「たい焼き渡して、恥ずかしいな、恥ずかしかったな〜」「住吉さんの顔」北斗🔹「1人パソコン開いたりして(笑)」

・夜についてのメモ
萌音🔸「これ何でひっくりかえしてたんですか?」三宅「いつもと違うテンションの時に書いていたんだろうね、だから反対向きに、どこでもないちょっと後ろに書いたんだろうな」

・喫茶店にて
北斗🔹「見てください、サンドウイッチ。味なりすぎでしょ」「面接練習途中で渡しちゃう(笑)」三宅「カバンから見えてたんだろうね(笑)」

・カフェにて
三宅「気にせず喋っちゃうんだよ山添くん」
(ここのシーンの山添くんの表情、本当に良い)

三宅「後、顔は載せきれなかったんだけど、今のカフェ店員は実は前の会社の動画撮ってた男の子なんだよね。あの子にも5年の月日が流れてる」「うわ〜知りたい」三宅「そこまで広げすぎちゃうと大きくなっちゃうから」「これは夜明けのすべてマニアにはたまらないやつですね」三宅「興味ある?」北斗🔹「ありますよ、一応」萌音🔸「一応(笑)」

・夜の栗田科学
三宅「光石さんといるときの山添くんの表情。藤沢さんと居る時とはまた違う表情をしてるんだよね」北斗🔹「男ってこういうパパとも違う関係性っていますよね」

・プラネタリウムの日
三宅「山添くんが職場で発作を起こした時にいた宅急便の人もいるし、ヨット部もいる。ダンくんのお友達もいるし。流石に山添くんは中には入れないから、入り口のところにいる」北斗「これ、中は朝から昼にかけて撮って、外側は夜に撮ったので会ってはないんですよね」
「メモのシーンはリハで、あ、聞いちゃだめだと思って本番までとっておいた」三宅「ここのシーン、後ろでスタッフが泣いてました」(ここの北斗くん、何度見ても狡い表情してるよ)

・「バランス感気をつけた」北斗🔹「残酷なものも嘘をつかず」「いろんなことあるけど、全てのことを映そうと思った」

・ED
萌音🔸「これ言っちゃってもいいですか?親子で歩いていかれたのは、原作の瀬尾まいこさんとその娘さんです」三宅「めちゃくちゃ嬉しかった」北斗🔹「これ撮ってる時の幸福感やばかったですよ」萌音🔸「本当に混ざりたかった。リハではマイク持ってたけど流石に本番はだめで」

萌音🔸「後もうひとつあるんですけど、実は弟さんが」北斗🔹「あ、なんか人数が多い気がするぞ?」

三宅「もうひとつ言うと、階段の下にたんぽぽが咲いてるんです。春が来てるんですよね」「本当だ!」「これは指示したんですか?」三宅「これは美術さんが考えてセットしてくれたんだよね」「山添くんの大きい声が響いているのがいいですよね」


最後「素敵な1日をお過ごしください。全ての皆さん、いってらっしゃい。」という北斗くんの言葉でコメンタリーは終了するわけだが、非日常的な世界観ではない作品だからこそ、自然と自分の生活に戻れる、いってらっしゃいと送り出してくれる、作品のあたたかさが自分の日常にまで続くことに、小さな幸福を感じるのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?