遅過ぎるJRA初の女性調教師誕生と2名の騎手の調教師免許試験合格

JRAは12月7日、2024年度の新規調教師免許試験合格者9名を発表しました。

今回の合格発表で特色されることとして、栗東:坂口智康厩舎の前川恭子調教助手も合格し、JRA史上初となる女性調教師が誕生することとなった点です。
騎手でもそうですが、日本競馬における女性の進出と浸透具合が世界と比較しても相当に遅れており、JRAで今まで女性調教師が存在していなかったことに、わたしは忸怩たる思いすら抱いてきました。
だから、本来であれば数十年も前の時点で女性調教師が数人は存在していなければならなかった筈です。
地方競馬では既に何人もの女性調教師が存在していますが、海外では女性調教師が第一線で活躍し、G1レース優勝の実績を残してもいます。
わたしがパッと思い浮かんだのが、オーストラリア競馬で殿堂入りを果たしているガイ・ウォーターハウス調教師ですね。

それはさておき、前川助手は栗東:崎山博樹厩舎の厩務員から調教助手となり、2008年にG3京阪杯を優勝したウエスタンダンサーを担当していました。
崎山厩舎の解散後、田所秀孝厩舎を経て、2019年より坂口智康厩舎の調教助手となっていました。
配偶者の前川和也調教助手は、栗東:友道康夫厩舎に所属し、2022年の日本ダービー馬のドウデュースを担当しています。

現役騎手では、田中勝春騎手や秋山真一郎騎手も今回の調教師免許試験に合格しました。
3回目の挑戦で合格した田中勝春騎手は今年2023年限りで引退し、一発合格となった秋山真一郎騎手も来年2024年2月末で引退し、厩舎開業に備えます。

田中勝春騎手は1971年2月25日生まれの52歳。
北海道三石町(現新ひだか町)出身で、父の経営する競走馬生産牧場が実家です。
角田晃一調教師や小野次郎調教師、佐藤哲三氏らと同期となる競馬学校騎手課程5期生として、1989年3月にデビュー。
ホルモンバランスの異常による入院の影響もあり、初勝利はデビューから7か月半後の1989年10月21日までかかりました。
それでも、翌1990年のG3京王杯オータムハンデキャップをオラトリオに騎乗して重賞初制覇を果たし、4年目の1992年のG1安田記念でヤマニンゼファーに騎乗し、G1初制覇を果たします。
2003年のG1皐月賞で田中勝春騎手はサクラプレジデントに騎乗するも、ミルコ・デムーロ騎手騎乗のネオユニヴァースの2着に敗れ、ゴール後にミルコ騎手に頭を叩かれた場面で騒然となりました。
2007年の皐月賞(当時はJpn1表記)をヴィクトリーで優勝し、15年ぶりのG1制覇を果たし、シャドウゲイトに騎乗してシンガポールのG1も優勝しました。
今年12月7日時点でJRA通算1809勝で、うち重賞は51勝、G1は2勝を挙げています。
誰とも分け隔てなく見せる笑顔は「カッチースマイル」とも呼ばれましたが、それを調教師になってからも見せられることに期待しています。

秋山真一郎騎手は1979年2月9日生まれ、滋賀県出身の44歳。
父は元騎手・調教助手の秋山忠一氏で、武幸四郎調教師とは幼馴染の間柄になります。
競馬学校騎手課程13期生として、1997年3月にデビューし、同年3月9日に初勝利。
ほぼ毎年のように重賞を勝利する中、2012年のG1NHKマイルカップでカレンブラックヒルに騎乗して優勝し、G1初制覇を果たすと、G1阪神ジュベナイルフィリーズでローブティサージュに騎乗し、2度目のG1制覇を果たします。
2018年のG3福島牝馬ステークスをキンショーユキヒメで優勝し、史上5人目のJRA全10場重賞制覇を達成した騎手となりました。
フェアプレー賞を7回受賞し、騎乗フォームの美しさはライアン・ムーア騎手も絶賛する程です。
今年12月7日時点でJRA通算1056勝で、うち重賞は38勝、G1は2勝。
幼馴染で競馬学校同期の武幸四郎師とは、近い将来、管理馬同士がレースで対戦することになる訳です。

わたしの知る騎手が次々と調教師に転向するあたり、騎手の世代交代とわたし自身の加齢を実感します。
今回の新規調教師免許試験で合格した皆様のご活躍を心より祈念しています。

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