#01 ライトハンドマーカー 不変的才能
「僕の右手は世界を相手にしている。」
右手でペイントマーカーを強く握り壁に描く。
それは世界で僕にしか描けない絵。
自信はないけど、確信があった。
いや、確信はないけど、自信があったんだ。
死のうとしている人間に命を与え、また、死んでしまった人間が最後に目にする絵。
壁に絵を描き終えた僕にジャーナリストが言った。
「なぜここにこの絵を描こうと思ったのですか?」
僕は言った。
「自殺する人間がどんな状況で何を考えているかなんてわかりません。僕にわかる事はこの絵