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【フェス参戦感想】LOUD PARK2023

実に6年振り…!

2017年を最後に、資金難などを理由に開催が途絶えていた日本最大級のメタル・フェス、LOUD PARK。
自分も2010年以降は参戦していたメタルファンの聖地が今年限りの復活、そしてヘッドライナーは奇跡の復活を果たしたPANTERA…!
「行かない選択肢」は自分の中に存在しない…!
と言う事で、遠路はるばる岩手から2泊3日で参加。
ああ、2015〜2017は大宮に住んでいたから楽だったのに…。
まあ、転勤族なので嘆いても仕方がない、とにかく全力で楽しむのみと、チケットは当然ゴールドチケットを速攻で確保。
交通費や宿泊費も考えると結構な出費だけど、こういう時のために真面目に働いているのだ。

当日は朝から小雨模様で、物販の待機列が若干辛かったりしたけど、やはり入場ゲートを見るとテンションが上がってくる…!

雨の待機列

ちなみに、タイムテーブルとフロアマップはこんな感じ。

タイムテーブル
フロアマップ

最前線でガッツリ見たいなら、ゴールドチケット一択という仕様。
PANTERAは当然気になるけど、今回のラインナップで自分の好きなバンドを上から順に挙げるなら、STRATOVARIUSとKREATORが2トップ。
そしてPANTERAは最前線が阿鼻叫喚の地獄絵図になるのが間違いないので、やはりSTRATOVARIUSとKREATORを優先しよう。
つまり、本日の大まかな作戦は…「前半は緩く観戦、STRATOVARIUSとKREATORは最前線へ、そしてPANTERAはフロアの様子や自分の体力と相談」、こんな感じかな。

さあ、いよいよ1日限りの「祭り」の開幕だ!


Opening Act:Phantom Excaliver

ヴォーカルが奇抜な髪型で毎年LOUD PARKにファンとして参加して目立っていた事でも知られるバンド。
音としてはいわゆる典型的な「ジャパメタ系」、要するに癖のないパワーメタル類。
ステージ上を活発に動き回り、ノリのいいトークで積極的に観客と絡むライヴ運びは、音楽性も含めてオープニングアクトにピッタリなチョイス。
まだ朝早過ぎてスカスカな最前エリアで、適度に緩く楽しめたかな。


Opening Act:BRIDEAR

福岡出身のガールズ・メタルバンド。
音楽性的にはこちらも癖のないジャパメタ系、Phantom Excaliverと比べると若干硬派な感じかな。
メンバーの横の動きが少なくて、慣れないステージの広さを持て余している感もあったけど、音楽性的には好きな部類なので、こちらも普通に楽しめた。
ゴスロリっぽい衣装のベースがデスヴォイスを繰り出したのは、なかなかインパクトもあってビックリ。
Phantom Excaliverと合わせて、フロアを温める役割は十分に果たしていたと思う。


JASON RICHARDSON AND LUKE HOLLAND

All That Remainsへの臨時参加でも知られるギターの名手ジェイソン・リチャードソンと、これまた名うてのドラマーであるルーク・ホーランドによる、インストゥルメンタル・プロジェクト。
YouTubeで少し予習した際、「凄いな…」とは思いつつ、「果たしてインストはフェスでその良さが伝わるのか」と少し心配もしていたけれども…。
結論から言うと、全くいらない心配だった。
アグレッションと繊細さが同居した素晴らしい音と楽曲、難解なフレーズもさらりと弾いてのける技巧、職人気質を感じさせるクールな佇まい、そしてそれらを含めた「唯一無二」と感じさせる空気感。
本当に素晴らしかった!
STRATOVARIUSまで耳を温存しようと着用していた耳栓を、思わず外してまで聞き入ってしまった。
いや〜、こう言った想定外の出会いがあるから、フェスはやめられない。
今回のグッド・サプライズ賞は、個人的には間違いなく彼らだ。


H.E.R.O.

デンマーク出身のメロディアスハード系バンド。
ハードすぎない適度なアグレッションと美しい旋律は、もしも今回のラインナップの中からどれか一つHR/HM初心者に薦めるなら、彼らがベストと言えるかも。
割とメロディ志向な自分の好みとも当然マッチするんだけれども…、ここは後半に向けた「温存タイム」に。
一応、最初は少し高台になっているフロア中央のゴールドチケット用デッキで鑑賞。
そのクリーンで透き通ったサウンドは、やはり一級品。
名残惜しい気持ちを抱きつつ、数曲聴いてからフードコートへ…。


OUTRAGE

LOUD PARK常連、日本の重鎮スラッシュメタルバンド。
この先、終演まで何も食べない流れなので、カルビ丼に焼きそばと炭水化物を多めにお腹に入れてからフロアに戻ると、ちょうど演奏が始まる直前の雰囲気。
ただ、この後は6時間以上立ちっぱなしの可能性が高く、体力を温存・回復させたい…。
前方ゴールドチケットエリアの最後方で、柵に背中を預けて座りながら音だけ聴く事に。
最初の1曲だけヴォーカルの声が小さかった気がするけど、その後は改善。
安定感のあるアンサンブル、スラッシュメタルらしいアグレッションを全面に出しながらフックのあるギターサウンドは、流石の一言。
そして終盤、フロアの熱量がかなり上がってきたのを感じたので、立ち上がって全方へ。
モッシュで暴れるため…ではなく、普通に立っている観客とモッシュとの境目辺りをすり抜けて、目指すは最前列!
かなりスムーズに前へ進んで2列目に到達、しかも目の前で柵に張り付いているのはAMARANTHEのTシャツを着た若いカップル。
これは…相当運が良いのでは?

そんな期待感と高揚を胸に、OUTRAGEのラスト2曲も美味しいポジションで鑑賞。
"My Final Day"と"Megalomania"、やはり名曲だ。


Bleed From Within

スコットランドのメタルコア(この認識で合ってる?)バンド。
反対サイドの2列目にいるので、ほぼ真横からの鑑賞に。
まあ、こういう実質「捨てる」バンドが出てくるのは、フェスではある程度仕方がない。
一応、横からのイマイチな音響でも捉えられるソリッドでパワフルな演奏、そしてメタルコアにしてはメロディに重きを置いた楽曲の良さは、そのままフロアの盛り上がりに現れていた。
そして最終盤、ヴォーカルがフロアに降りてきて…観客にダイヴ!!
おぉ、メタルコアらしさを存分に見せ付けてくれるではないか。


AMARANTHE

スウェーデン出身、トリプルヴォーカル体制という独特のスタイルながらかなり人気のバンド。
正直なところ音源で聴く彼らの楽曲は、少しポップすぎるのと、トリプルヴォーカルが焦点をぼやけさせている気がして、自分はイマイチのめり込む事が出来ていない。
また、2011年のLOUD PARKでの演奏は、トリプルヴォーカルのうち1つがほぼ聴こえないという音響トラブルもあり、これまた彼らの魅力を上手く感じ取れなかった。
そして迎えたこの日、かなりいいポジションで鑑賞するAMARANTHEは…驚くほど良かった。
まずはやはり、トリプルヴォーカルという個性。
声の違いによる音の彩りだけでなく、それぞれ別ベクトルにフォトジェニックな3人が所狭しとステージを躍動する姿は、とても映える。
また、「ポップすぎる」と感じていた楽曲も、ライヴの音圧で受け止めるには心地いい。
その総合的なパフォーマンスレベルの高さは、最後2曲があまり激しくないミドルテンポの曲だったにも関わらず、かなり満足感を味わえた辺りにもよく現れていたと思う。
ライヴバンドとして人気なのが、かなり納得できた。

そして、AMARANTHEが演奏を終えると、やはり目の前にいたAMARANTHEファンと思われるカップルは後方へ!
無事、最前列の柵を確保!!
しかも、ほぼ中央!!

これで、最高のポジションで、思う存分STRATOVARIUSとKREATORを堪能できる…!!


CARCASS

メロディックデスメタルにおける最重要バンドの一つ、「リヴァプールの残虐王」。
その二つ名に相応しい攻撃的で高揚する楽曲群が、タイトで安定感のある演奏によって発せられているのを…ほぼ真横から聴く。
CARCASSは過去のLOUD PARKでも2回観るチャンスがあったんだけど、そのどちらも今回と同じように目当てのバンドと別のステージになっていて、しっかり正面から鑑賞した事がないまま…。
仕方がないと割り切り、音を聴きつつ、柵にもたれかかって「本命」に備える。


STRATOVARIUS

フィンランドの重鎮であり、パワーメタルの最高峰の一つと言えるバンド。
彼らのライヴパフォーマンスに裏切られた事は一度も無い、そして近年のアルバムも軒並み素晴らしい、もちろん最新作も文句の付けようがない出来だった。
そんな最高のライヴが約束されている彼らを、最高のポジションで楽しめる期待感に、スタート前からテンションは爆上がり。
満を持して耳栓を外し、そして大量のスモークがステージを覆った直後、最新作の表題曲"Survive"からライヴがスタート!!
素晴らしい…。
やはり、STRATOVARIUSは素晴らしい…!!
ティモ・コティペルトによる観客を一体化させるステージングは相変わらずの求心力を放ち、そしてその哀愁を漂わせる独特のハイトーンは、やはり彼らの楽曲の個性を決定的に彩っている。
ラウリー・ポラーは長身を活かした躍動的なアクションで魅せ、そしてアタックの強いベース音が気持ちいい。
マティアス・クピアイネンは前任者が個性的過ぎたために影が薄い印象もあるけど、あれだけ高難度のフレーズを涼しい顔でしれっと弾いているのは、当代屈指のギタリストとしてもっと評価されていいはずだ。
最年少のロルフ・ピルヴは、タイトでシャープでパワフルなドラムサウンドで、彼らの楽曲の美しさを損なわないまま、メタルバンドとしてのアグレッションもしっかり担保してくれる。
そして鍵盤の魔術師…イェンス・ヨハンセンは、相変わらずその独創的ながらキャッチーで美しいフレーズにより、サウンドに華を加えている。

…要するに、最高って事だよ!!!
セットリストも、最新作の曲を交えつつ、名曲のオンパレード!!

そして、最新作からの楽曲が輝かしい名作群に埋もれていないのは、本当に凄い。
過去の名曲も、最新の曲も、最高のパフォーマンスで届けてくれる。
これを最高と言わずに、何と言えばいいのだろうか。
ライヴの締めは、個人的に近年で屈指の名曲だと思っている"Unbreakable"から、最後はもちろん"Hunting High and Low"!!
ティモの巧みすぎる煽りから、ファンが一体になっての大合唱は…やはり最高すぎる〜!!
この瞬間、久々のフェス参戦という高揚感もあって「ああ、生きてきて良かった…」と自然と頭に浮かぶぐらい、本当に幸せだった…。


NIGHTWISH

フィンランドが産んだシンフォニックメタルの頂点。
ベーシストであるマルコ・ヒエタラの脱退、更にはバンドの象徴であるフロール・ヤンセンの乳癌(幸い進行性のものではなく、現在は回復)という逆境を超え、そしてフロールが妊娠中というタイミングでの来日は、色々と注目を集めていた。
残念ながら自分は逆側のステージから、つまりほぼ真横からの鑑賞で、ヴィジュアル面はまともに見えない、そして音響もイマイチではあったけど…。
それでも伝わってくる、そのパフォーマンスの凄まじさ。
オペラを下地に持つフロールの歌唱が上手いのは、もちろん知っている。
素晴らしい楽曲群が作り出す唯一無二の神秘性も、もちろん知っている。
知っているのに驚かされるほど、凄まじいパフォーマンス。
妊娠中とは思えないほど軽やかなステージングを見せながら、音程が激しく変化する高難易度の楽曲を、力強く、柔らかく、伸びやかに、神秘的に…まさに自在に歌い上げるフロール。
これぞNIGHTWISH、これぞフロール・ヤンセン。

逆サイドから観ていたのに絶賛するしかない、素晴らしいパフォーマンスだった。


KREATOR

ドイツが誇るスラッシュメタルの雄にして、悪のカリスマ。
前述の通り、自分が最前列で楽しもうと思っていた2つ目のバンドだ。
先に断っておくと、自分がKREATORの魅力に気が付いたのは前回LOUD PARKに出演した2014年と、ファン歴はあまり長く無い。
そもそも、どちらかと言うとメロディ重視な自分にとって、スラッシュメタルは「主食」ではない。
それでも、そのスラッシュメタルの良さを煮詰めたような邪悪さの中に、極上のメロディが散りばめられたKREATORのサウンドは、魔性の魅力を放っている。
あのサウンドを最前列で浴びる事が出来るという期待感に包まれながら、メンバーが静かにステージに上がり、そのままライヴはスタート。
最新作からのキラーチューン"Hate Über Alles"に、全力で首を振り、全力で叫ばずにはいられない…!
バンド全体が放つ強烈で邪悪なサウンドに、ミレ・ペトロッツァのカリズマティックな咆哮に、抗える訳がない!!
日本人にも分かりやすいように、シンプルな単語で、ゆっくりと観客を煽るミレ。
悪のカリスマはその扇動で、ウォール・オブ・デスや巨大サークル・ピットを発生させる…!!
ステージでは炎も巻き上がる!!
そう、ここは邪悪極まりないKREATORによる、儀式の場となったのだ。
信者たる我々は、その名曲群に合わせて首を振り、叫び、そして踊り狂うしかないのだ。
その儀式を、最前列で味わう、何という背徳的な快感…!!
天にも昇る…いや違う、悪魔に魂を売ったような気分だ…!!

そんな邪悪の饗宴も、残念ながら終わりの時間がやってきてしまう。
最後はもちろん、タイトルからして恐ろしい"Pleasure to Kill"!!
力の限り、叫ぶ!!
皆で叫ぶ…!!

あぁ、楽しかった…。
KREATOR、そしてミレ。
悪のカリスマよ、ありがとう。
最高の体験だった。


PANTERA

グルーヴメタルという「革命」でメタル史上に燦然と名を轟かせながら2003年に解散、そして2004年にギターのダイムバック・ダレルが、2018年にはドラムのヴィニー・ポールが亡くなり、復活はあり得ないと思われていた伝説のバンド。
自分としては、メタルにハマった頃には解散していたバンドであり、サウンド的にも好みからは割と逸れていて、大きな思い入れがあったりはしない。
それでも、そのサウンドの凄さ、メタルの歴史に与えた影響の大きさを理解できるぐらいには、メタルを聴いてきた。
まさか、彼らを観られる日が来るとは…。


KREATORを全力で楽しんだ体に鞭を打ちながら、ステージ下手側、ゴールドチケットエリアの大体真ん中辺りで待機する事に。
アボット兄弟を偲ぶ映像が中央スクリーンに流れた後、"Mouth for War"のイントロでステージの幕が下ろされる!!
その咆哮だけでなく屈強な肉体も相まって、ステージ中央でひたすらに存在感を放つフィル・アンセルモ!
対照的に、細身の体でクールにベースを構え、重低音を奏でるレックス・ブラウン!
そして、アボット兄弟の穴を埋めるのは、ザック・ワイルドにチャーリー・ベナンテと、十分すぎる実績を誇る練達。
PANTERAが目の前にいる、そして「あの音」を出していると言う奇跡のような現実に、フロアの熱狂は一瞬で最高潮に…!
そんなに前にいた訳では無い自分の近くでも、小規模なモッシュが起こるほどだ。
そしてそこから続く名曲のオンパレードに、フロアの盛り上がりは一向に収まる気配がない。
正直、途中で体力的に限界を感じ始めて、ゴールドチケットエリアの最後方まで避難する事を選択。
結果的にPA卓の目の前に移動した事になり、音響のバランスが最も良い場所での鑑賞に。
改めてじっくり聴くと、ギターもドラムも亡くなった2人にそこまで似ている訳ではない(と言うか、意図してあまり寄せに行っていない感もある)。
それでも、確かにこれはPANTERAなのだ。
あのPANTERAが、目の前でライヴをやっている。
その事実による熱狂もまた、後方に移動した事で目に焼き付ける事が出来た。
もの凄い人数が拳を突き上げ、"Fucking Hostile"や"Walk"では、恐らくこの日一番となる会場全体での大合唱。
もの凄い光景だぞ、これは…。

そして最後はもちろん"Cowboy From Hell"!!
会場全体が最後の力を振り絞り、あり得ないほどの熱量を放つ…!!
「ああ、今日のフェスに参加して本当に良かった」と改めて思える、素晴らしい時間だった。
PANTERA、本当にありがとう。


なんとかまた開催を…

LOUD PARK2023、本当に楽しかった…!!
まず、個人的には「外れ」と言えるパフォーマンスだったバンドが無く、どの時間帯もメタルを満喫出来たのが嬉しい。
更に、STRATOVARIUSにKREATORと、期待していたバンドのパフォーマンスが素晴らしく、またそれを最前列という最高の環境で楽しめたのは、本当に幸せだった。
そして、ヘッドライナーであるPANTERA。
あの場にいられたのは、間違いなくかけがえの無い体験だった。

ありがとうLOUD PARK!!
本当に楽しかった!!
「限定復活」と言いつつ、終演後のスクリーンに「SEE YOU NEXT TIME」と映し出していたのを、見逃していないぞ。
またいつの日か、開催してくれるのを楽しみにしているからな!

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