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巷に増えるゾンビの話

巷に「ゾンビ」が増えています。

ゾンビとはホラーやファンタジー作品などに登場し、「腐った死体が歩き回る」という描写が多くなされる架空の存在。いま急速に増えているというのはゾンビのような企業のことです。

ゾンビ企業が増える背景

「ゾンビ企業」という表現は、1990年代前半のバブル経済崩壊に日本経済が停滞するなかで専門家が使い始めた言葉。数年にわたって債務の利払いすらままならず経営が破綻状態にあるのに、銀行や政府などの支援によって存続し続けているような企業を指します。

とくにコロナ禍以降、ゾンビ企業が増加しています。企業信用情報調査会社、帝国データバンクによると、“ゾンビ化”した企業は企業倒産(2023年=8497件)の約30倍まで膨れ上がっているとのこと。

その要因の一つに挙げられるのが、実質無利子・無担保のゼロゼロ融資。2022年9月末時点で約245万件、実行額約43兆円にのぼる資金がコロナ禍で中小企業の資金繰りを支えた半面、足元ではコロナ支援策の反動が顕在化しつつあります。なかには、業績改善できないまま事業継続を断念する企業も目立ってきました。

国際決済銀行が定める「ゾンビ企業」の定義は「3年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が1未満、かつ設立10年以上」というもの。ICRは、営業利益、受取利息、受取配当金を足したものを、支払利息・割引料で割って算出されます。


この基準に基づいて帝国データバンク算出した2022年度の実態は、ゾンビ企業数が25.1万社、ゾンビ企業率は17.1%にのぼります。過去10年間で最も高く、東日本大震災後の2012年度(24.1万社/17.0%)と同水準。結果、日本企業全体の約6社に1社で “ゾンビ化”が進んでいるのです。


どんな企業がゾンビになるのか?

業種別では「小売」が27.7%と最も高く、次いで「運輸・通信」が23.4%、「製造」が17.8%と続いています。2021年度に比べると全業種でゾンビ企業率が高まっており、これら3業種は全体平均の17.1%を上回っています。

従業員数別では「5人以下」が25.1%で最も高く、「6~20人以下」が18.7%で続きます。他方、「1000人超」は2.8%と最も低く、総じて従業員数が少なくなるにつれてゾンビ企業率が高まる傾向にあります。

地域別では「東北」(21.3%)と「中国」(20.2%)がそれぞれ2割を超え、なかでも「東北」は東日本大震災後の各種金融支援策の影響もあり、震災から10年経った今もなお借り入れ負担が重荷になっています。他方、「関東」(14.8%)が最も低く、とりわけ「東京」は12.9%と都道府県別で最も低い水準となっています。

「小売」
「5人以下」
「東北」と「中国」

この3要件に当てはまる企業が最も“ゾンビ化”する危険性が高いということになります。どうでしょうか。あなたの企業はいくつ当てはまるでしょうか。

しかし、これはあくまでデータ上の話。私は3要件に該当しながら、事業革新に日々努め、繁盛する店を数多く知っています。そこには経営者の地域の暮らしに役立とう、つまり「店は客のためにある」という強い意志と実践があります。そして「店員とともに栄える」のだという覚悟があります。

まさに企業は経営者次第。店は店主が革新への努力と情熱を失ったとき「店主とともに滅びる」のです。どんなに小さくとも、店主が強い意志を失わなければ、店は簡単に滅びたりはしません。「店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる」は真理なのです。

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