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「小説の感想」ことり

昔は本を良く読んだのだけど、気付くと読まなくなっていた。より面白いものがでてきたからなのか、僕の365日でてくる本の形をしたものは、少年ジャンプと単行本だけになっていた。

それがとあるきっかけで小説を借りた。泣けるやつがいいと言ったらでてきたのがこれ。

小川洋子さんの「ことり」だった。

あらすじ

物語は「小鳥の小父さん」が死んだところから始まる。鳥籠に入ったメジロを抱きしめ死んでいた小父さん。

「小鳥の小父さん」と呼ばれる理由に、抱いていたメジロは関係ない。では何故「小鳥の小父さん」なのか。お話はおじさんの幼少期から振り返っていく。

母、父、兄、薬局のおばさん、園長先生、司書さん、老人、メジロ好きの男、そしてメジロ。

おじさんの人生の登場人物は少なかった。少な過ぎて、新しい人が登場するたびに不安になる。

最後にでてくるのはメジロ。一体彼はどうしてメジロを抱いていたのだろうか。

泣ける

結果、僕は泣けなかった。貸してくれた相手は泣けるっていって貸してくれたのに。それでも泣けなかった。

確かに泣けそうではあったのだけれでも。何故なのか。

僕は心配性だ。祖父から受け継いだ遺伝子は、どうやら相当濃く流れているようだった。泣けない理由はこれが大きいと思う。

作中にでてくる「お兄さん」と「小鳥の小父さん」。終始生活が不安定。それが心配でしょうがない。心配過ぎて、感動よりに先に安堵がきてしまう。

それがなければ僕も泣けたかもしれない。

ところで、小父さんと兄の二人の生活は毎日同じものだった。安定した生活なのに不安定な感じを受けるのはどこか不思議。不安定な地盤の上に強固な家が建っているようだった。

家は強固なのに、地盤が崩れれば一気に崩れてしまう。そんな生活だった。

読んでいると不安になる。心配でたまらない。やはり泣けないのはこれが大きな原因ぽい。

僕は泣けないが、多分他の読者は泣けるだろう。

テーマは愛

登場人物はおじさんなのにテーマは多分愛だった。愛なのに、恋愛はほとんどでてこない。不思議だけど、でてくる愛はどれも深い。

愛が男女のものだけでないことを久しく忘れていた。兄弟や、母、時には小鳥。

いろいろな愛をみせてくれた。

まとめ

久しぶりに小説を読んだけれども、飽きることなく最後まで読めた。それも夢中で。

次はなに読もうかな。

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