うますぎる話には代償がある
中学3年間、マー君という男の子とクラスが一緒だった。
物静かで友達がいないマー君は、当時夜中に放映されていたドラマ『トリック』の話ができる私とは唯一仲がよかった。
マー君は『トリック』の話になると饒舌だ。「橋がなくなったと思ったら、結局違う橋やってんな。あれはすごいトリックやったな~。あっ、そうそう今日の給食カレーやから食べてな」
彼は信じられないことにカレーが嫌いだった。というか、マー君は何の因果を持って生まれてきたのか、”皆が好きであろうもの”がことごとく嫌いだった