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仏壇屋はどんなテンションで接客したらいいのかサッパリわからん

人と接する仕事というのは、基本的に「元気一杯」「笑顔100点」が良いとされています。

しかし、仏壇屋に関してはそうもいきません。

なんせ身近に「死」を体験した人がお客さんになりますから、常にテンション高く接客すればいいってモンでもないんです。

ずっと前、ソフトバンクにスマホを買いに行ったとき、接客してくれたねーちゃんが超絶ハイテンションでした。

ねーちゃん「4Gの意味ってわかりますぅ?」

私「わかんないです」

ねーちゃん「わかんないんですかぁ? キャハハッ」

私「わかんないんですっ。うふふふふ」

みたいな感じで、脳みそズルンズルンのトークを繰り広げ、気が付いたら、スマホの他に防水テレビ、来世も使う予定のないアクセサリー、1万円近い山のようなオプションが付いてました。

こんな接客は仏壇屋では絶対ダメです。お客さんだけではなく、菩提寺のお坊さんにもめちゃくちゃ怒られます。

かといってテンションが低いと「愛想が悪い」と思われます。この辺の塩梅は難しいところ。

「四十九日(満中陰)からが仏壇屋の仕事」と言われます。

故人が亡くなってから、1ヶ月半以上は経っており、悲しみが癒えつつある絶妙のタイミングです。葬儀屋は落ち着いた接客で間違いないですが、仏壇屋の場合は中途半端な時期なので、余計難しい。

仏壇配達の車の中で先輩とAKBの柏木由紀の話で盛り上がり、ハイテンションのまま仏壇を安置したら、40代くらいのその家の女性ががポツンと言いました。

「息子を亡くしたんです……」

ズーン、となります。ゆきりんのテンションで行くのは間違っていた、ということです。その女性から私たちはどのように映っていたのでしょう。

故人が天寿を全うしたお客さんなら、それほど気にする必要はありません。親族も明るいんです。

問題は「子供を亡くした」「若い親を病気で亡くした」親族の場合です。話の途中にボロボロ泣き出す人が大半です。

私はそのような経験がなく、その悲しみがわからないので、テンションを間違うときが度々ありました。これは反省すべき点です。

ベテランの先輩も基本テンションは高めなのですが、お客さんとまったく呼吸が合ってないことがよくありました。

先輩「それじゃ、おじいちゃんは悲しみますよね。ハハハっ」

お客さん「なにがおかしいんですか? 大事なことなんです!」

みたいな感じ。

わからん、わからんのだよ。本当に。

とにかく、仏壇屋での接客のテンションには要注意です。どのテンションで行けばいいのか? お客さんによって見極める必要がありますが、「誰が死んだんですか?」なんて聞くこともできず、見極める術はありません。

皆さんも仏壇屋で働くときは「そのお客さんに合ったテンション」を心がけてください。

自分のテンションが抑えられない場合はソフトバンクで働くことをオススメします。私のような阿呆な人間に、沢山のオプションと防水テレビを売りつけてやってください。

#仏壇 #テンション #ソフトバンク #ええ塩梅

働きたくないんです。