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書評 『森の生活』

どんな本ですか?

世捨て人(期間限定)が、お金をかけず森で暮らしつつ、煩悩むき出しで働く都市生活者をこき下ろす本です。

誰が書いた本ですか?

1817年生まれのアメリカの思想家で、ヒゲが大変チリチリの人です。富を手にする方法ではなく、精神が貧困に墜ちない方法を説いてくれています。多分、すごく良い人です。

結核により45歳で亡くなりました。

面白いですか?

都市生活者をこき下ろしている場面は大変面白いです。自然や動物と戯れているシーンは少々退屈です。

どんな人にオススメですか?

ぐうたら暮らしている人にオススメです。「このままぐうたら生きてていいんだ!」という決意を新たにできます。

逆に真面目に働いている人にはオススメできません。働く気が失せます。国民全員が読むと日本経済が崩壊する、そんな危険性をはらんだ本でもあります。一生懸命働いている人は、こんな本を読まずに稲盛和夫の本をシコシコと読み、さらに労働に励みましょう。日本経済のため、ぐうたら暮らしている人のために!

好きな文ベスト3を教えてください

3位

私の隣人たちが善だとしていることの大半は私の魂に徴してみれば悪に他ならない。私が何かに対して後悔することがあるとすれば、おそらく、私が品行方正だったということだろう。どんな悪魔が乗り移って私に正しい生き方をさせてくれたのだろうか?

2位

何故われわれはこうも人生あわただしく、無駄に生きて行くのだろうか? 空腹になる前から餓死するものと決め込んでいる。人々は「今日の一針は明日の十針」と言い、そこで「今日は千針を縫って明日は九針を節約する」。では、仕事の進み具合はどうかといえば取るに足らぬことをしているのだ。

1位

ほとんどの人は住宅とは何かということについて考えてみたことはなく、実際しなくてもいい貧乏な生活をしている原因は、近所の人と同じような住宅を手に入れたいと思っているからである。~中略~ あるいは椰子の葉の帽子や山鼠の皮の帽子を被るのを段々やめて、王冠を買う金がないから世の中が暮らしにくい、と言い出す始末なのだ!

これを読む前、読んだ後、なにか心の変化がありましたか?

高級車を見る度、鼻で笑うようになりました。

さいごに何か一言

この本が出たのは1854年、日本で言うと浦賀にペリーが来たあたりですかね。大変古い本ですが、真理は現代となんら変わりがありません。昔から人間というのはまったく変わっていないのですね。

あれが欲しい、これが欲しい、と金をひたすら求め、体を壊し、精神を犠牲にしている。

現代に出た本と言っても違和感がないくらい、現代人でも「うん、うん」と終始納得できる素晴らしい本です。

やはり昔から残っている名著というのは、現代に大量生産される啓発本とはレベルが違います。大変分厚い本で、少々読みにくい箇所もありますが、読破すれば一生忘れられない本になるでしょう。

働きたくないんです。