ハンディのある人を支援するiOSアプリ、Windowsソフト

仕事上の必要性から、聴覚や読書にハンディのある人へのICTを使った支援について、メールを書いたので、それを修正の上、再録します。
ただし、iOSについてもWindowsソフトについても全てを網羅しているわけではありません。特にWindowsについては他にも選択肢がもっとあるはずです。

iOS(iPhone&iPad)のアプリ

(0)iOS10のアクセシビリティ機能について
https://support.apple.com/ja-jp/accessibility/iphone-ipad

まずはiOS自身が多くのアクセシビリティーに関する機能を持っています。これらの機能をまずONにします。これらの機能は外国語学習にも役立ちます。ちなみにわたしは、老眼対策と外国語学習のために、以下の機能をONにしています。
「設定」→「一般」→「アクセシビリティ」で設定をします。
・ズーム機能(画面の一部を拡大、3本指でダブルタップして起動、3本指でドラッグして範囲を変更)
・拡大鏡(カメラを虫眼鏡代わりにする、ホームボタンをトリプルクリックで起動)
・スピーチ(合成音声による読み上げ)→「選択項目の読み上げ」
・スピーチ→「画面の読み上げ」(画面の上辺外側から2本指で下に向けて一気になぞると画面全体を読み上げる)
・スピーチ→「内容を強調表示」

(1)こえとら(無料)
聴覚にハンディがある人と健聴者のコミュニケーションを助けるアプリです。
https://itunes.apple.com/jp/app/koetora/id653293704

詳しい説明は以下のWebページを見てください。使用シーンを紹介した動画があります。
http://www.koetra.jp

(2)Voice Dream Reader、有料(1800円)
有料ですが、とても便利なアプリです。外国語学習にも使えると思います。
https://itunes.apple.com/jp/app/voice-dream-reader/id496177674?mt=8

合成音声で読み上げるアプリですが、このアプリ、対応ファイルがとても多い。PDF、プレーンテキスト、MS Word、MS PowerPoint、EPUB、DAISYなど。WordやPowerPointに対応しているのがポイントです。
読み上げる部分を反転表示していってくれるので、どこを読んでいるか見失ってしまうディスレクシアの方にわかりやすいです。
言語は1ファイルに1つしか設定できないので、わたしの授業のように日本語と中国語が混じったような教材では使えませんが、単一言語の教材であれば使えます。もちろん合成音声ですから読み間違いはありますが。
教員にWordやPowerPointのファイル、PDFで授業資料を提供してもらってこのアプリで読むといいと思います。WebページをSafariで表示し、シェアメニュー(□に↑のアイコン)から、このアプリに送り込むこともできます(最初に1回だけシェアメニューの設定を変更します。シェアメニューの「その他」からVoice Dream ReaderをONにします)。

(3)筆談パット(無料)
https://itunes.apple.com/jp/app/id367196546?mt=8

iPadやiPhone1台を使って、向かい合わせで筆談するためのアプリ。

(4)しゃべって(有料、1400円)
https://itunes.apple.com/jp/app/shabette-shou-shuki-wen-zhangwoanatanikawatteshaberimasu/id689679198?mt=8

声を出すことにハンディがある人のためのアプリ、日本語を手書き入力すると、それを合成音声で話してくれます。

(3)ひなぎく(無料)
https://itunes.apple.com/jp/app/hinagiku-jian-dannimaruchimediadeijigadekirundesu!/id1124643029?mt=8

読書にハンディのある方のための電子書籍DAISYを作るためのアプリ。DAISYについては以下を参照。

DAISY研究センター
http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/index.html

立命館大学DAISY研究会
http://rits-daisy.com

河村宏(DAISYコンソーシアム会長)「DAISYとEPUBは読書のユニバーサルデザインをどう実現するのか」
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/daisy/seminar100709/daisy_and_epub.html

読書にハンディのある人のための電子書籍規格としては、以前からDAISYがありました。電子書籍の普及に従って、電子書籍の世界標準的な規格であるEPUBが、ver.3になった時にDAISYの規格を取り込みました(EPUB3.0 MediaOverlay規格)。

(4)のじぎく(無料)
https://itunes.apple.com/jp/app/nojigiku-shinpuru-deijipureiya/id1159185461?mt=8

DAISYを読むためのアプリ、「ひなぎく」で作って、「のじぎく」にシェアメニューで送って読む。

(5)ボイス オブ デイジー(有料、3100円)
https://itunes.apple.com/jp/app/boisu-obu-deiji/id335608379?mt=8

DAISYを読むためのアプリ、「のじぎく」で読めない時はこちらで。

(6)ボイス オブ デイジーLITE(無料)
https://itunes.apple.com/jp/app/id398997553?mt=8

DAISYを読むためのアプリ「ボイス オブ デイジー」のお試し版、読める字数に制限あり。

(7)色のシミュレーター(無料)
https://itunes.apple.com/jp/app/senoshimyureta/id389310222?mt=8

色覚にハンディのある人の見え方を擬似的に再現するアプリ。色を使った印刷物やWebサイトの見え方の検証に使える。

Windows用ソフト

(8)ボイスソムリエネオ(有料、大学生協価格で約8万円)
http://www.hitachi-solutions-create.co.jp/solution/voice/

・ボイスソムリエネオデュオモデルにはソフト本体とPowerPoint用アドインがあります。
・ボイスソムリエネオデュオモデルのアドインをPowerPointに組み込むと、PowerPointのノートに書いた日本語の文章を音声化して、PowerPointに貼れますが、この場合は音声と同期してテキストがハイライト表示できるわけではありません。
・別にEPUB(電子書籍)を用意して、そのEPUBをボイスソムリエネオのソフト本体で読み込んで、文と合成音声(日本語のみ)が同期した電子書籍(EPUB3.0 MediaOverlay規格)を作成することができます。EPUB(電子書籍)はSigilなどの無料ソフトを使って作成可能。
以下のWebページの一番下にある「EPUBコンテンツへの対応」を参照。http://www.hitachi-solutions-create.co.jp/solution/voice/function/index.html

(9)PLEXTALK Producer(有料、4万5千円)http://www.plextalk.com/jp/products/producer/
本格的なDAISY、EPUB3.0(MediaOverlay規格)を生成するためのソフト。音声は人の声を録音することもできるし、合成音声をつけることもできます。1か月無料の試用版あり。


オタクな中国語教員。日本語母語話者向けの中国語初級教材をPDFとEPUBで作っています。