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ロックへの道 ~いたいけな少女がドツボにハマるまで~

時は1980年代、マイケルジャクソンが世界を席巻し、
こども達はスリラーの踊りを真似して、町には小さいゾンビが溢れかえっていた。

例にもれず、マイケルにハマッた私は、ロック好きの叔父に、
「スリラーのテープ欲しい」(当時音楽はサブスクで聞くものではなく、カセットテープで聞くものだったのだ)
と言ったら、早速テープを編集してくれた。

A面にマイケル、そしてB面には、、、

AC/DCが入っていた。

姪をロックに目覚めさせ、共に語り合いたいと思ったのだろうか。
B面も一応聴いてみよう、この瞬間が私のロック人生の始まりとなった。

B面には、AC/DCのアルバムFor Those About to Rockが入っていて、
私はInject the venomにハマった。小学生が聴く曲のタイトルではない。いつの間にか、A面よりB面を聴くようになってしまった。

叔父に、
「B面のInject the venomがカッコイイと思ったよ」
というと、
叔父は大喜びし、私にSteppenwolfや、ZZ Topを聴かせた。
しかし、さすがにそれらは渋すぎて、私としてはやっぱりAC/DCがいちばんカッコイイな、そしてアンガスより、マルコムヤング派、などと思うようになった。
しかし私はまだ小学生。ライブに行くだの、自分で音楽をやろうなどとは全然思っておらず、スリラーを踊りながらAC/DCを聴く日が続いた。

そして月日は経ち、中学生になった頃に第二ウェーブがやってきた。

BON JOVI降臨。

私は、Livin' on a Prayerにドハマりし、歌詞カードがあるにもかかわらず、
英語の歌詞と、日本語訳をノートに正座して清書し、
学校に行く時も塾に行くときも、WALKMANで延々と聴き続けた。
AXIAのポスターもゲットし、壁に貼った。
近所のレコード屋で、BON JOVI(ジョンのお喋り付き)カセットテープ※も買った。歌詞も全部覚えた。(今は忘れた)
※曲の最後にBON JOVIのメンバーがスタジオで何か話している様子を収録した、ファン垂涎のカセットテープ。しかし、何を言っているかは分からない。

両親は、長髪の外国人のポスターをキラキラした目で眺める娘を徐々に心配し始めていた。しかしまだその心配は序の口であった。

友達のロック好きのお兄ちゃんが貸してくれたCDの中に、Guns N' Rosesのアルバム、Appetite For Destructionがあった。
ジョンの笑顔と、Tシャツからはみ出す胸毛にちょっと冷めかかっていた時に、当時とんでもない美青年であったAxl Rose(アクセル・ローズ)が、私のハートを打ち抜いた。

まさにWelcome To The Jungle。

本格的にロックに目覚め、道を踏み外す時が訪れた。
今度はGuns N' Rosesのポスターを手に入れ壁に貼った。
私は、MTV Headbangers Ballを録画し、ロック系の雑誌を買いまくり(一部立ち読み)GunsのPV、インタビューを全てチェックし、曲を聴きつくした。Gunsを聴いて、私は初めてドラムをやってみたいな、と思った。

BON JOVIと違い、彼らの腕にはゴリゴリにタトゥーが彫られ、酒瓶を持ってタバコを吸っている。楽曲もBON JOVIよりもハードだ。

両親は青ざめていた。
しかし仕方がない。誰にも止めることができない、それが思春期だ。
今すぐロスに行って、アクセルのミシェル※になりたい!と畳の上で悶絶していた。※My Michelleという、彼のグルーピーの女の子?恋人だった子?を歌った曲があり、私は心底Michelleに憧れた

何故私はアメリカに生まれず、日本の片隅のこんなダサい中学生なのか、とわが身を呪うほどであった。

つづく

↑この子が盛大に道を踏み外していきます

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