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モモとLISTENと、困難に立ち向かうこと

モモは、中学校の国語の授業で映画をみた記憶はあるけど(どんな授業だったんだろう…まあ、3学期の国語の授業は全部百人一首に振り替わるような学校だったから、そんなものなのかもしれない)、ちゃんと読んだことがなくて、オーディオブックにあったので、散歩のお供に聞いてみた。


人の話を聞くことが上手なモモという女の子が主人公で、あ、そういえば、と思って、話を聴くことの大切さと難しさを書いた「LISTEN」を次に読んだ。

「モモ」と「LISTEN」の共通点

どっちも読んでみて、子供たちのことを抱きしめてあげたいなあ、という感情が湧き上がってきた。すごく相手のことを尊重したい、大事にしたい、そして、そう思っていることを相手に感じでほしい、そういう気持ちにさせてくれる2冊の本だった。

現代社会への警鐘を込めて書かれたであろう、灰色の男たちに支配された世界を救うモモの特別な能力が、ただただ、聴くのが上手、というのはとても面白い。

そして、モモの聴く姿勢は、「LISTEN」で書かれていたような、否定しない、決めつけない、ズラさない、聴き手側が自分をよく見せようとしない、のお手本そのもので、僕らにとっての理想的な「聴き方」というのは、ここ数十年のスパンでは変わっていなくて、そして、僕らはその理想形を本当は知っているのかもしれないな、と、1973年に書かれたファンタジーと、2020年に書かれた本との共通点から感じた。

聴くことの難しさを知る

「LISTEN」は、聴くとはこういうことである、とか、こういう聴き方は本当の意味では聴けていなくて、という例は書かれているものの、この本はいわゆる「ハウツー本」ではない、というのが僕がすごく好きなところだった。では、何が書かれているか、というと、とにかく聴くのは難しくて、自分がいかに聴けていないか、ということ。原題が、「You are not listening」という点にもそれは現れていると思う。
「こういう風にしていないということは、聴けていないよ」とは書かれているけど、それを裏返して、例えば「こういう相槌を打つのがいいでしょう」とは書かれていない。

困難な問題への立ち向かい方

自分の能力を超えた問題に立ち向かうときに、まず大事なことは、いまは困難な問題に立ち向かっているんだ、ということを正しく認識することだと思う。そういう意味で、現状とあるべき姿の両方を正しく認識させてくれて、ひいてはそのギャップの大きさを正しく認識させてくれる点が、「LISTEN」のいいところだった。

実際、聴くことは、とても難しい。この本を読んだ直後に、小学校の宿題で書いた日記を見せてくれない長男に対して、「恥ずかしいから嫌なの?」と聴いてしまい、妻から「それは決めつけている。何がいやなの?ときくべき」と指摘されたくらいだった。(妻は「LISTEN」読んだわけではないんだけど…

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