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日経に防衛産業を論じる能力やありか? その2





日経が防衛産業に関する連載をはじめました。ですが、防衛産業に対する根本的な理解が欠如しているように思えます。
更に申せば取材した情報を咀嚼も吟味もせずにそのまま事実認定するのはジャーナリズムでもインテリジェンスでもありません。


防衛産業を考える(1) 安保・成長・平和の三兎追う
軍民両用で技術革新
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78227100V00C24A2MM8000/

>「弊社は入っていますか」「追加してもらえますか」。政府に昨年7月、スタートアップ企業から照会が相次いだ。防衛に使えそうな先端技術をもつ新興企業を内々に200社ほどリスト化した後のことだ。

>企業は開発した技術を商用化できずに埋もれさせてしまうことが少なくない。防衛分野で使い道を見つけてイノベーションにつなげたいとの期待がある。

先日も防衛装備庁主催の防衛産業参入展があり、40社ほどが参加していました。新規参入を希望する会社が、直接防衛省と取引するのか、あるいはどこかのプライムのしたでベンダーとなるのかので、かなり取引の形は違ってきます。


ただ先日の防衛産業参入展の出店社に取材した限り、あまり防衛調達の問題点は理解していないようでした。
例えば意思決定が極めて遅い、ビジネスの常識がないなどです。他国の軍隊も基本役所なのでそういうところがありますが、防衛省、自衛隊は異次元のレベルです。

特に問題なのが数量、調達期間、予算総額を決めて契約を結ぶという当たり前のことが我が国だけできていないことです。調達数がわからず、調達期間も分からなければ、事業計画が立てられません。これは普通の話です。それでも仕事をしている防衛産業のほうがおかしい。ところが彼らはそれが当たり前になっているので常識が麻痺しています。

例えば1000個の調達で毎年200個づつ5年間で調達されるのがわかっていれば、受けた会社はその期間に生産するラインを開けて、人間の配置もできます。ところが初年度10個で来年はわかりません、です。ただでさえ調達数が少ない上に、毎年の調達が不明瞭ではリスクが大きぎます。特に体力がないベンチャーや中小零細企業であれば、資金繰りに困るでしょう。設備調達のために金融機関から融資をうけるのも難しい。
実は財務省はそのような調達が可能としているのですが、防衛省は使おうとしません。


>昨年、海上自衛艦が初めて実施した海外整備を請け負った尾道造船グループ。作業したスリランカの造船所は現地の政治混乱で新規の船舶建造に金融機関の信用保証が下りなくなった。
>「本業の造船ができなければ修繕事業にも影響しかねない」と政府系金融機関に支援を求めたが、今のところ色よい返事はない。

こういうリスクを管理するような能力は防衛省にはありません。


>装甲車の生産から撤退したコマツの小川啓之社長は再開する可能性は「全くない」と言い切る。製品が海外輸出されることへの反応に懸念があるという。

こういういい加減な会社ですから撤退して本当に良かった。輸出を氏ないこともあって、コマツのできの悪い装甲車が外国製の何倍も高いのに平然と税金から支払いを受けている。これを当然のことだと思っている。要は中国市場で覚えが悪いからでしょう。
ではコマツは海外の軍隊に建機も売らないと宣言して欲しいものです。

しかも現在暗雲が立ち込めているAMVのライセンス生産ではコマツのベンダーが多数採用される予定です。せっかく装甲車メーカーが減ったのに、ゾンビのような「防衛企業」を維持しようとするわけです。
簡単にいえば三菱とコマツでそれぞれベンダーが100社つづ、200社いたとして、それが100社消えれば、残った100社の仕事は2倍に増えて生産性も利益も上がります。
ところがゾンビベンダーが維持されれば生産性も利益も上がりません。そこに今より高い利率を払うといっているのが防衛省です。ビジネスの基本が分かっていません。

>防衛力強化の取り組みは戦後の日本が堅持してきた平和主義との両立が欠かせない。防衛産業が過去に談合や汚職の場となったことへの反省も要る。

何なの,このまるで観念左翼のようなポエムは?
平和主義ってなんですか?火の出るおもちゃを輸出しないことですか?
日本企業の素材やコンポーネント、汎用品は多数世界の軍隊で使用されています。ホンダや川崎のバイクが軍隊で使用されるのは平和主義なんですか?

エアバスヘリと川重の合弁のBK117/H145Mは多くの軍隊で使用されており、この度ドイツ連邦軍でタイガーヘリの後継として

兵器を買うのは平和主義で、売るのは平和主義でないというのであれば、買春は合法だが、売春は非合法で倫理にも悖る、といのと同じです。
であればスイスもスェーデンも平和主義ではない「死の商人国家」と糾弾しないといけないことになります。

日経はその幼稚な「平和主義」を志向するのであれば、防衛輸出に断固反対すべきです。
まず平和主義の定義をまずすべきです。

そして木に竹を接いだような「防衛産業が過去に談合や汚職の場となったことへの反省も要る」という文章です。平和主義となんの関係があるのか?
唐突に談合や汚職の話がでてきて、次につながっていません。汚職や談合が起こる温床の一つは日経も会員の記者クラブです。防衛に明るくない記者クラブメディアが専門記者を取材機会から排除して、防衛省の隠蔽体質の維持に協力し、装備調達に関して的はずれな記事を書いているからです。


>そのうえで、米国や中国が産官学一体で最先端の防衛技術研究を進める世界の現実に向き合わなければならない。平和主義の旗は降ろさず、抑止力を高め、防衛技術を使った成長も探る。「三兎」を追う新たな防衛産業のあり方を見いだすことが日本という国家の将来像探しにもつながる。

「日本が堅持していた平和主義」ならば論理は破綻しています。それは武器を輸出してこないということでしょう。これまた抽象的なお気持ち表明ポエムです。

経済紙ならポエムで締めくくるなよ。


■本日の市ヶ谷の噂■
米国の歓心を買うために防衛省の意向も無視して、独断で旧型のトマホークの大人買いを進めた主犯は秋葉剛男国家安全保障局長兼内閣特別顧問、との噂。

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