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日経に防衛産業を論じる能力やありか? その3 嘘を書くな



日経が防衛産業に関する連載をはじめました。ですが、防衛産業に対する根本的な理解が欠如しているように思えます。

「一等地」で売り込む和製防衛装備 武器輸出に準同盟効果
防衛産業を考える(2)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC148GG0U3A910C2000000/

>ロンドンで昨秋に開いた欧州最大の防衛装備品の国際展示会「DSEI」。防衛省が出展ブースを構えたのは会場入り口すぐ横の「一等地」だった。同じエリアに政府主導の展示を設けたのはイスラエルとスペインだけだ。

>来場者の目に留まりやすい場所を確保したのは日本製品を海外に売り込もうという意思の表れにほかならない。ブース内に自社商品スペースを置いた企業はNECや富士通など過去最多規模の8社に上った。

これは嘘です。確かに装備庁のパビリオンは入ってすぐのホール1にありましたが、ここは一等地ではありません。しかもホールの端に所在していました。一等地というのは欧州主力国や米国が展示しているホール2~3、5~7あたりの、中央部です。記者は実際に取材してないんじゃないですか。
https://indianchamberofcommerce.glueup.com/resources/protected/organization/1544/event/74171/e2c05f55-a9e8-45ee-a7c6-e43f12e6d9d7.pdf

更に申せばパビリオンの規模も小さいし、垢抜けなくて目を引きません。これは初めて展示したときから全く変わっていません。同じエリアの富士通のパビリオンがよほど大きく目立っていました。その富士通は何故か、日本パビリオンにも出展していました。


むしろ一等地というのであればエントランスホールにあったGCAP、次期戦闘機のブースです。これはMHIやIHIも参加しており、多数のスタッフを派遣していました。



こういうことを書くと以下の記事全体の信用性も低下するでしょう。

>増額した防衛予算で国内産業を育てようとする政府の姿勢は日本企業の意識を徐々に変えつつある。問題は海外側にある日本政府の本気度に対する不信感だ。

>日本は防衛装備の輸出に「防衛装備移転三原則」という規制を設けており、柔軟な対応がしにくい。

>政府には教訓がある。救難飛行艇「US2」のインド輸出に10年ほど取り組んだものの、23年までに断念した新明和工業の例だ。
>「インド側の期待は単純なビジネスではない部分があった」。交渉にかかわった関係者は現地生産や技術移転などを求めるインドとの調整は政府からの支援が乏しく企業努力だけでは限界があったと振り返る。


これは失敗が分かっていた話です。以前から何度も申し上げておりますが、インドは商売の規模が大きいですが、大変剣呑な相手であり、無理筋な話でした。しかも日本側は初心者で、政治、外務省、経産省の連携が取れているとは言い難かった。オフセットに対応できるはずもない。

まさに大人しくそこら海岸でハゼで釣るべき釣りの初心者がインド洋でマグロの一本釣りをするようなものです。

失敗の原因は現実を知らない安倍首相かNSCが「赫々たる戦果」を欲したからでしょう。

ですがUS-2なんて大した機体ではないし、5年に1機程度の調達で、もはや工業、ビジネスとは言えないレベルです。新明和に輸出が可能な当事者能力も無かった。赤いマントをつければスパーマンよろしく空を飛べると思い込んでタワマンの屋上から飛び降りたようなものです。

失敗したのは日本政府が馬鹿で無知だったからです。それが唯一無二の原因です。


>自衛隊は装備の規格を米軍や北大西洋条約機構(NATO)に近づけていく方針だ。他国と融通可能になれば輸出先の新たな開拓にもつながる。

逆にNATO規格でもない胡乱な日本規格のまま大型装備を売り込めるわけがないでしょう。未だにヘルメットさえJIS規格の縛りで時代遅れのものしかつくれないのですか。

NATO規格を採用するということは共通の試験を行うということです。それはすなわち情報公開を意味します。果たして隠蔽体質の防衛省、自衛隊にできるのか。雑誌に書いてある程度の運用もスペックも「手の内を明かさない」隠している、お子様レベルの情報管理をしている組織です。だから中国に暗号解読されても気が付かず、アメリカ様に教えてもらって知るわけです。
何が機密か、分かっていないから全部隠そうするわけです。結果セキュリティが甘くなっています。

>防衛力向上やビジネス機会の拡大といった効果を説明して理解を求めるのは政治の責任だ。政府・与党は輸出規制の緩和について昨年末に結論を出す予定だった。公明党が態度を急変させて結論を持ち越した。
>今のままでは共同開発する次期戦闘機を第三国に提供することもできない。自民党内では立憲民主党に近い主張の公明党に「連立解消だ」との声があがる。

そんなことはないですよ。そうであれば英国は日本を引き込みません。確かにサウジとかであれば揉めるでしょうが、アメリカにはミサイル部品を輸出しているじゃないですか。ウクライナに防弾装備を輸出したのも本来は規制を守ればできない話でした。

ただ公明党は問題です。ここで話がつかないのであれば、連立政権にヒビが入る可能性はあるでしょう。ですがそれは政権の支持率や誰が次の総理になるのか、また選挙でどれだけ自民党が票を減らすのかで変わってくるのではないでしょうか。
そして公明党も一枚岩ではなく、現実の見えている議員もいます。

■本日の市ヶ谷の噂■
MRJがコケた三菱重工はまたも新型機開発を画策するも、今度は流石に他国のメーカーとの共同開発を模索、との噂。

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