こうろぎ苦いか、塩っぱいか。


佐藤春夫の有名な詩「秋刀魚の歌」に秋刀魚苦いか、塩っぱいかというのありますが、今ちまたではこうろぎの食用に関する議論が巻き起こっています。

で、こうろぎ入パンを作った会社が袋叩きにあっています。

昆虫を食べる習慣は世界中にありますから、基本私企業が独自の視点から製品化することに外野が文句をいうべきではない。ただそれを公の金を突っ込んで筋の悪い話で、税金チュウチュウが目的だという批判もあります。

後者であれば大変問題ですし、そういう観点から給食にだすなんてのも問題です。
しかもそれがSDGsという怪しげな「宗教」がらみであればなおさらです。

「コオロギ給食」への批判が珍しく納得できる理由
https://toyokeizai.net/articles/-/656598


食料安保や持続可能な環境維持というのであれば他にやるべきことがいくらでもあります。

まず、有事のシーレーンの確保です。現在シーレーンはファンタジーでしかない。

<海上自衛隊のシーレーン防衛の無駄>火星人やゴジラの襲来にそなえて軍備予算を毎年要求するに等しい
https://japan-indepth.jp/?p=7249

いくら農業の自給率を上げろといっても農業に必要なエネルギーや肥料、飼料などもほとんどが輸入です。であればせめて昔みたいに糞尿を利用するとうことも必要でしょう。無論そのままではなく加工は必要でしょうが。

有事に政府が商船隊を組織して輸入を継続するというスキームは法的にも現実的にもできません。その無いものを守っているが海上自衛隊です。
まず日本国籍を船舶を増やし、有事にそれを徴用できるシステムが必要です。

タンパク質の国内生産であれば水産資源をきちんと確保すべきです。現状農水省は乱獲をやらせるままに放置しています。

日本人が「サバ缶」の品薄に苦しむ"本当の理由"
https://toyokeizai.net/articles/-/655742

>「小さいサバが多い」は、サバが成長する前に一網打尽にしてしまう仕組みのため大きくなれないのです。これを「成長乱獲」というのですが、サバに限らず日本ではさまざまな魚種で起きています。
>サバの寿命は7~8年程度で最長で11歳という記録もあるそうです。しかし実際には大半が小さいうちに漁獲されてしまいます。このため7~8歳になるサバは、ほとんど漁獲されてしまっていないのです。
>資源管理が進んでいる大西洋と進んでいない日本近海では、同じ魚種でも魚の大きさや年齢が異なります。日本近海では海に泳いでいるサバでもクロマグロでも、イカナゴのような小さな魚でも、小さいうちから獲ってしまうので大きな魚が少なく、若い小さな魚が多いのです。産卵する親魚が少ないので、資源の持続性が困難になっているのです。

>46%ものサバ(マサバ・ゴマサバ)が食用とならず、養殖のエサになっています。2021年度のサバ類の水揚げ量は約43万トンでしたので、そのうちの20万トンにも上る計算になります。

普通の日本人はこおろぎ食べるよりサバを食べるでしょう。
また取るだけではなく陸上での水産資源の養殖も増やすべきでしょう。こうろぎ初め昆虫はその餌としては有用かもしれません。コストが合えばの話ですが。

そしてフードロスの問題もあります。

>日本でも1年間に約612万トン(2017年度推計値)もの食料が捨てられており、これは東京ドーム5杯分とほぼ同じ量。日本人1人当たり、お茶碗1杯分のごはんの量が毎日捨てられている計算になります。
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2010/spe1_01.html

そして日本の農業に対する補助金を見直すべきです。
農業補助金は趣味の園芸レベルの小規模な農家の維持を目的にしています。それは「票」になるからです。だから本気で規模を拡大して社員を雇って効率のいい農業をやろうという農家には届いていなかったりします。
また企業の農業進出も多くの制限があります。

金を掛けて農業の競争力を下げているのが現実です。これにはJAも大きく関わっています。JAを通じて農家に不要な借金をさせたり、高い肥料や農業器具を売りつけています。
こういう無駄な金をまともな農家に対する支援や、持続可能な農業や畜産、これには人工肉の開発なども含まれます。

飼料を減らすならば牛などは飼料を与えるのをやめて草だけくわせればいい。いわゆるグラスフェッドでその方が、健康にもいいわけです。鳥も豚も同様にするか、残飯を加工して食わせれば宜しい。無論肉は高くなるでしょうが、培養肉で凌げばそれでいいでしょう。

昆虫を食わざるを得なくなる前に、できることは多いかと思います

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