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減点法

 アマプラで『ドラゴン桜』を観ている。昨日は東大の英作文の模試についてだった。東大では、合格判定に減点法を用いる。自信満々の帰国子女が、英語の基礎をようやく身に付けた東大専科の生徒たちに負けてしまう設定だった。
 私は現在、某詩誌の書評委員を担当しているが、心がけている事一つだけ。私の書評を読んだ人が、その本を読みたいと思ってくださるように書いているつもりである。詩の合評会でも、感動した素晴らしい箇所について発言する。詩作品は、作者にとって可愛い我が子だと思う。他人様の子供を貶める権利は、少なくとも私にはない。
 けれども、詩や詩集の選考の場ではそうはいかない。たくさんの作品の中から、1つ選ぶには、どうしても減点法が必要になる。例えば、ある作品を読んだとき(もとの作品とは、少し変えています)、「闇も光りも人も火も月も星も風も虹も」が、気になった。名詞であるのに、なぜ「光り」の「り」が必要なのだろうか。これでは動詞の「光る」の連用形だ。致命傷にならないにしても、この詩にとってこの箇所は減点の対象になる。
 そもそも、詩に「賞」を与えることを疑問視している。詩なんて、「みんなちがってみんないい」世界であるべきだと思う。

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