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光源氏って人間くさい


 「源氏物語」において、光源氏は、容姿端麗、財力抜群、芸術面全て満点、人格的にも素晴らしい
みたいな設定。そんな人は、私の好みでは無いはずなのに、どうして好きなんだろう? の疑問が、ふっと、とけた。
 光源氏は、父(桐壺帝)の後妻、藤壺の宮(自分の亡き母と生き写し)と密通し、藤壺は懐妊、出産。この子が後に、冷泉帝として、源氏の栄華を絶対的な後ろ盾となる。
 光源氏は、40歳の時、14歳の女三の宮を正妻として迎える。彼女は、その9年後、彼女に恋い焦がれる柏木と密通し、不義の子(薫)を出産する。これは、要するに、自らが父親に対して行った不義理のしっぺ返しなのだ。つまり因果応報として受け入れるべきことなのだが、源氏は柏木を許さなかった。直接、手を出したわけではないが、柏木はそのまま、衰弱死する。
 理想的な男性として描かれているようで、実は光源氏は、ものすごく人間さい人だ。だからこそ源氏物語は。美しいだけの絵空事ではなく、心の真実として、世界中で翻訳され、愛され続けているのだと思う。

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