見出し画像

詩の朗読

 土曜日に、自作詩を朗読することになった。持ち時間は5分。原稿用紙1枚が1分と教えていただいたので、試してみたら、本当にその通りだった。新しい詩集の巻頭詩『水栽培の猫』、終わりから2番目の『口笛』、巻末詩『鈴』を読むことにしている。
 人前で朗読するのは20年以上前、1回切りで、まるで自信がない。普段から朗読なさっている詩友のAさんに、お訊きしたところ、以下のようなアドバイスをいただいた。

 リアルで聞いていただく場合は、会場を見回して自分の話に頷いて聞いてくださっている方を見つけ、その方へ向けて朗読するつもりでするとよい。大勢を意識すると、アガッてしまうので、前のめりぎみに聞いてくれる一人に向かって話すと気持ちが楽になる。
 
 なるほど、これならできそう。私が朗読するのは、病気で死んだ黒猫次郎の詩である。猫が生きていた頃、私は詩が出来上がると、音読して聞かせていた。猫は、じっと私を見つめ、大きな耳をまっすぐ立てて、私の声を絡めとるように聞いていてくれた。すっかり透き通って、目には見えなくなったけれど、会場にきっといる次郎に向かって詩を読むことに決めた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?