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職業としてやってない

職業としてやってない。

さんまさんと若手芸人のやりとり見てて、違いがわかった。

さんまさんはトークの天才。
トークを職業としてやってない。
ひたすら自分と周囲が楽しむためにやってる。

そして、自分のしごとを「トーク」と限定している。けっして「書く」「演出する」に手を出さない。

ほら、よくあるじゃん。映画制作始めたり、本出したり、店の経営始めたり。さんまさんは絶対、「線」より外へ出ない。その「線」というのは、「トーク」。

ギャグが浮かんだときも、メモせず、アタマのノートに書き込んでおけ、と。

書いた言葉

トークに使う言葉は
まるで違うからという。

若手芸人は、自分のしごとと自分の間にスキマがある。

つまり、職業としてやってる。

アホの坂田師匠、あっちに行ってしまった。

よしもとのプレミアム会員で、劇場にしょっちゅう行ってた頃、師匠の「新米探偵」劇を、いやというほど観た(笑)。

神戸で観ようが、なんばで観ようが、とことん、同じ。

毎回セリフもオチも同じだから、いまでも空で言えるほど。

でもね。観てて気持ち良かったんですよ。

なぜなら、師匠、本気で楽しんでやってたから。

職業としての坂田利夫ではなく、アホの坂田がそのまましごとになってた。

dodaなどの転職サイトが大儲けしてるが、そこで鍵となるのは「スキル」という言葉だ。

PR TIMES 2023年6月14日web記事

会社入って早々に転職サイトに登録する。

自分としごとにスキマがある。スキルってのはそういうことだ。

そんなこっちゃ、ハッピーになれないと思いますぞラスコーリニコフくん。

京都を終生愛したドナルド・キーンさん。

ぼくにとっては安部公房作品の解説者として親しいのだが、彼の自伝が大好きで、何回も読み返してる。

彼は日本文学について日本人よりその本質を貫いた視点をお持ちだが、職業としてやったわけではない。好きだから。愛しているから。

タイムズ・スクエアの古本屋でたまたま見つけた『源氏物語』英訳本。2巻でわずか45セント。お買い得の気がして軽く買った。やがてキーンさんは心奪われた。アーサー・ウェイリーの翻訳が素晴らしかった。

夢のように魅惑的で、どこか遠くの美しい世界を鮮やかに描き出していた。私は読むのをやめることが出来なくて、時には後戻りして細部を繰り返し堪能した。

ドナルド・キーン 前掲書、p.41

後日、翻訳者のアーサー・ウェイリーと面談することになるのだが、ウェイリーその人も、「職業として」翻訳する人ではなかった。生きることそのものが異文化への関心で出来ているのだった。

職業としての

ではなく

スキマのないしごと

来年はさらに意識していきたいと思っています。

2023年note、これにてお開き。
いつもご愛読ありがとうございます。
また来年・・・というか、明日(笑)よろしくお願いいたします。

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