音量を、下げる
大きなカンファレンスで話し始める時のコツは
黙る。
黙ってると、聴衆は注目してくれる。
だからぼくはいつも、最初、黙って立ってる。
音量を下げると、注目が上がる。
ビジネスにも同じことが言える。
ノート。右と左にページがあります。
左が売りたい商品の数、右が買ってくれるお客さんの数、としましょう。
創業期、あるいは発売したばかりの時期、お客さんはゼロだから、こんな感じ。
だんだん売れ始める。
市場が「成熟」するとこんな感じ。
ところがやがて「もう、いいや。要らないわ」となる。
逆戻りである。
そうなると、「お客さんのために」あるのではなくなり、自分ちのビジネスを維持するためのビジネスになる。
良い例が、いまのiPhone。
Appleとしては利益率が高くて儲かるし、何と言っても経営の支えになってくれるから、毎年新しいiPhone買え、買ってくれ、と叫ぶ。でも、みんなは「別に・・・」とシラけてる。
建設も同じで、これを書いているいまも、外ではドリルの音がしている。どこかで建設してるんだ。
でも、日本は人口減少まっしぐら。
住む家、十分にある。むしろ空き家問題は深刻。
オフィス? ある。
商業施設? ある。
だけど建設は止まらない。
なぜなら、「止まると死ぬのじゃ」シャケか君は。あ。違う、サメだ。
資金回転のためだけで新しいビルやタワマンをボコボコ建てる。
もはや自分のためのビジネスに過ぎない。
こういうビジネス世界で大事なことは何か。
「自分たちの商品を本当に欲しいと思ってくれるお客さん」が自分ちのドアをノックしてくれるのを待つ。それしかない。
そのためには、日ごろからの接触を増やす。丁寧に伝える。友達と友情を育むのと同じように、静かに、そっと壊れものを扱うように。顧客基盤というものは本来、静かで、どっしりしたものだ。
音量を上げるのではなく、下げる。
下げても、届けたい人には届く。
静かでも、伝わる。静かだからこそ、伝わる。
さっき見てもらったiPhone15 Proのチタニウムコマーシャルのうるさいこと。
これは、右向いてる人の首根っこを無理やりつかまえ、左へ向かせようとするものだ。
バランスシートをバランスさせる。
自分たちのためのビジネスになっていないだろうか。
音量を下げても伝わるようにする。
これこそ、商人(あきんど)の腕の見せどころ。
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