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これから開店する君へ

塾生に、新しく店を始める人が続くので、彼らに向けて書きます。細かなノウハウは詳しい本があるので、そっちはそれに任せて。あと、昨日書いた「間違うこと」「インデックス」もちゃんとやろうね。その上で、次のアドバイスします。

どんな顧客を創り出したいか

ドラッカーも繰り返し言うように、ビジネスは顧客の創造あなたが売る商品(クラムチャウダーやオリーブオイル)から発想してはいけない。「クラムチャウダーを売る」「オリーブオイルを売る」のではない。

たとえばぼくは昨日、結婚記念日自宅ディナーのために、どこかでテイクアウトしようと考えた。「食べ物」であれば山ほどある。でも、家族で昔からよく行っていて、みんなが「美味しい」と意見が一致し、そして思い出がつまっている店といえば美々卯。なので、うどんすきセットを買って帰った。お金と交換したのは「うどんすき」だけど、手に入れたのは家族とのこれまでの時間、思い出、歴史だ。

商品を売る時代は、終わった

商品を売る時代は、終わった。商品なら、どこでも手に入る。ネットでもコンビニでもスーパーでもどこでも。商品ではなく、共感を売る。BtoB、BtoC、CtoC すべてtoには売る側から買う側への一方通行矢印「→」を表現している。商品を売る時代はこれで良かった。ここでは売る人と買う人が向かい合っている。でも、実のところ、日本人は、向かい合っての議論や話は苦手なのである。ディベートやらディスカッションやらは西洋人が得意とする。西洋人のやることはすべて良し、憧れる、と思っていた90年代以降、いっとき流行した。ハーバード大学流のディスカッションによる授業とかね。ぼくも副業時代、ビジネススクールで講師やったりしてた。でも、いまから振り返ると、あれはどうかと思う。

トライアングル・コミュニケーション

日本人は何かに跳ね返らせて話すのが得意だ。お茶の間が健在だった頃はテレビに跳ね返らせて話した。テレビが見られた時代、というのは、お茶の間が成立していた時代なのだ。おじいさん、おばあさん、お父さん、お母さん、子ども・・・彼らはテレビでやってる番組に跳ね返らせて対話した。

いまやってる朝ドラでは、ラジオに跳ね返らせて一家団欒してる。

デート、飲んでいるコーヒーや食べているパスタに跳ね返らせて対話する。そして今見てきた映画に跳ね返らせて感想を言い合う。

海に行く。海に跳ね返らせて話を進める。

ぼくはこれを、日本人特有の「トライアングル・コミュニケーション」と呼んでいる。

つまり、向かい合うのではなく、「同じ方向を向く」のが一番なのだ。防波堤に並んで座り、海を眺めるように。

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「売る人」「買う人」を超えなければならない。ではどうなるかというと、「一緒に店を作っていく人」として、「中の人化」する。そのためには、店サイドは完璧である必要がなくて、むしろ等身大であればいい。「お客さん」から教えてもらったりして、一緒に楽しい時間を過ごす。遊ぶ。それが一番。顧客の創造とは、遊び仲間の創造なんです。

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