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スタートアップで大事なのは、間違うこと

脳はスーパーコンピュータよりも優れた性能を持っている。ところが残念なことに、人間は脳の潜在能力の10%程度しか使わない。なぜか。これは脳が生来的に持つ「秩序を保ち、秩序のまま行動する」習性にあると思う。つまり、「できれば同じことを繰り返したい」。脳はナマケモノなのだ。

でね。脳の潜在能力をもっと活かすにはどうすればいいか。答え=インデックスを作る。

ある食品メーカーのコンサルティングをしたことがある。商品Xがあるとしよう。営業マンががんばって、拡販のため、スーパーマーケットの棚を確保できた。一定期間・・・たとえば一週間の間にどれだけ売るか目標設定する。結果が出た。目標100に対し、50でも80でもいい。大事なのは、この時、事前に決めたインデックスを振り返り、検討することだ。

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商品Xがスーパーマーケットの棚に置かれた。Xが売れる・売れないを決める要素をインデックスと呼ぶ。たとえば、競合する他社ブランドYの置かれた棚、価格、容量、広告宣伝も一つひとつがインデックスになる。X自体の見せ方・・・動画を添えているとか、POPの文章やフォントなどもインデックスになる。X自体のブランド・エイジ(年齢)も関係する。新発売なら0(ゼロ)だし、老舗ブランドなら20かもしれない。インデックスは100は下らない数あったと記憶している。

ただ、大事なのは、事前に決めたインデックスは、あくまで仮説に過ぎないということだ。検証が必要である。

売れたときより、売れないときのほうがインデックス(仮説)の検証に役立つ。

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「売れない」つまり思いのウラになった結果が役立つ、というのは語学学習でも同じ。「覚える」ためには「覚える回数」より「思い返す回数」が大事だ。だからぼくは歩きながら、お風呂に入りながら、韓国語のあのフレーズはどういうんだっけ、と思い返す。

「ゴミはゴミ箱に捨ててください」スレギヌン・スレギトンエ・ポリセヨが正解なのだが、最後の「ポリセヨ」が「ポラセヨ」だったか「ポリョッセヨ」だったかあやうい。ここで自分の弱点がわかる。そもそも「捨てる」という動詞をしっかり覚えていないことが原因だとわかる。名詞「ゴミ」は「スレギ」だとしっかり覚えている。「捨てる」が課題とわかる。つまり、この場合のインデックスは「捨てる」ということだ。

間違うというのは、ビジネスでも、そして語学学習でも、とっても重要。

ぼくはスタートアップの支援をしているし、これから特に力を注ぎたいと思っている。スタートアップで大事なのは、間違うことだ。小さな○とを繰り返す。○ばかりを求め勝ちだが、それはない。もし○ばかりでいけるのなら、つまらないビジネスだ。いま世の中にないワクワクを生み出そうとしているのだから、当然、転ぶこともある。転んでいい。間違っていい。ここが学校と違うところで、学校は基本減点主義だ。100点満点から何点減点するか。起業は違う。加点主義で考える。小さな○を繰り返していく中で、自分のインデックスを発見する。この、インデックスの発見こそが、起業にとって一番大事なことなのである。

事業計画を作るためにも、バーンレート(手持ち資金が何ヶ月で燃え尽きるか)を計算するためにも、そして最終、投資家にプレゼンするときにも、インデックスをどれだけ持っているか。それが勝負になる。

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