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レコード・コレクターズ2022年10月号「1972年の音楽地図」からひとつまみ

前回の投稿から2ヶ月音沙汰だったが、この間は公私ともに忙しかった。Skiでは今シーズン導入したCarvのおかげで高いMotivationが維持できたし、仕事の方では新会社立ち上げへの参画とキックオフ合宿があった。

それらの余波で音楽ネタのnoteへの投稿の間が空いてしまったので、少し前になるがレコード・コレクターズ2022年10月号「1972年の音楽地図」から私的に注目したアルバムを紹介することとしたい。

私は1962年生まれなので72年というとまだ小学校4年生辺り。洋楽には同時代として触れていない。しかし小学校高学年から二年上の姉の影響でラジオの音楽番組で洋楽を聴き始めており、その後歴史を遡って聴きまくった時期があったので、同時代では無いものの年代的には72年ぐらいから圧倒的に親近感が高いアルバムが多くなる。

72年というとまずハードロック、プログレッシブロック、シンガーソングライターが大きなマーケットとしてあり、さらにはT RexやDavid Bowieといったグラムロックが人気を博し始めた頃だ。David Bowieの”The Rise and Fall of Ziggy Stardust And the Spiders From Mars”、Wishbone Ashの”Argus”、Jeff Beck Groupの所謂Oranngeアルバム、Deep Purpleの”Machine Head”、Humble Pieの”Smokin’”、Roxy Musicの1st、Yesの”Close to the Edge”、Nick Drakeの”Pink Moon”はすべて72年の英国勢の作品だ。

米国では、Dr. Johnの”Gumbo”、Van Dyke Parksの”Discover America”、Little Featの”Sailin’ Shoes"、Leon Russellの”Carney”、Bonnie Raittの”Give it Up”、James Taylorの”One Man Dog”、Carley Simonの”No Secrets”、Steely Danの”Can’t Buy A Thrill"、The Doobie Brothersの”Toulouse Street”、Eaglesの1st、Neil Youngの”Harvest”、Lou Reedの”Transformer”、後に名盤と言われるようになるJesse ”Ed” Davisの”Ululu”やBobby Charlesの1stアルバム、昨年偶然中古LPを購入してお気に入りになったHungry ChuckなどWoodstock周辺での名盤も目白押しだ。

R&B・SoulでもAl Greenの”Let’s Stick Together"、Donny HathawayのLive、The Metersの”Cabbage Alley”、Bill Withersの”Still Bill”、Aretha Franklinの”Amazing Grace”、Curtis Mayfieldの”Superfly”、Stevie Wonderの”Talking Book”など。

残念ながら同時代ではこういう音楽を聴けなかったが、それでもこれら50年前の名盤を後から聴くことでも幸せを感じられる。そう考えるとまだ知らぬ私にとって隠れた名盤が72年発売で無いものか、と興味がそそられるのは音楽ファンの定め。そこで今回発掘したアルバムを16枚ご紹介したい。

1. Johnny Rivers "L.A. Reggae"

L.Aスワンプの超絶名作と言われているらしいが、これまで聴いたことが無かった。大滝詠一の影響を及ぼしたのっけのRockin’ Pneumoniaなどカバー曲も素晴らしい。Drumsは先ごろ亡くなったJim Gordon。

2. Professor Longhair "New Orleans Piano"

これはジャケットが有名だし、私のDiscographyにもあるはずだが、これまでしっかりと聴いたことが無かった。正確には1949年と1953年録音の編集盤なので1972年作品とは言い難いかもしれないが。今Season 1から見始めているHBOのドラマTremeでも、Pianoの家庭教師がこのアルバムの二曲目であるTipitinaを課題曲に選んでいた。

3. Archie Shepp "Attia Blues"

全く知らなかったが私にとってこれは超掘り出し物だ。71年9月にNY州のAttic刑務所で起きた受刑者たちの暴動と当局による武力制圧について講義したArchie Sheppが発表した作品だとのこと。

4. Timmy Thomas "Why Can't We Live Together"

Stevie WinwoodやSadeがカバーしていたタイトル曲を含む名作。

5. Betty Wright  ”I Love the Way You Love”

マイアミソウルの傑作。この第二作で本人はまだ18歳だったらしい。

6. The Soul Children "Genesis"

Staxs Recordが組ませた男女混成グループによるディープなソウル。

7. Joe Simon "Drowning in the Sea of Love"

Joe Simonがそれまでの南部録音からPhiladelphiaに移って録音したヒット作。

8. The Crusaders "Crusaders 1"

後のMellowな雰囲気とは随分異なるThe Crusadersの1stアルバム。

9. Birthday "The New Birth"

Instrumental BandのNight RidersにVocalを加えて結成されたバンドによるヒット作。最初の曲はBobby Womack作。

10. O.V Wright "Nickel and A Naol and Ace of Spades"

70-72年にハイレコードで録音されたシングルを中心としたLP。

11. Luther Ingram ”Absolutely The Best of Luther Ingram”

Staple Singersの”Respect Yourself”の共作者で、70年代を代表するSouthern Soul歌手の第二作。決定的な名曲と言われる"(If Loving You is Wrong) I Don't Want to be Right"を収録。

12. Linda Lewis "Lark"

ジャマイカ移民の血をひくロンドン出身の女性SSWによる二作目。本国では売れなかったが日本で火がついて世界発CD化も日本盤。

13. Dave Edmonds "Rockpile"

元々Nick LoweもElvis Costelloも好きなのに今までしっかり聴いていないDave Edmondsによる傑作。

14. Chuck Berry  ”The London Chuck Berry Sessions”

Howlin’ Wolfの”The London Sessions”の成功によってシリーズ化したLondon SessionsものでA面がスタジオ盤、B面がLive。全米で一位を記録した。

15. Ricky Nelson & The Stone Canyon Band "Garden Party"

タイトルは懐メロ歌手にはならないぞ、という心意気を表したものらしい。

16. Matching Mole "Matching Mole"

Robert WyattがCaravanのDave Sinclairらと結成したBandの一作目。

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AppleMusicに他の1972年名盤とともにこれらのアルバムを含むPlaylistを作成しましたのでどうぞ。


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