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HERPがヘルプページに運用Tipsも掲載しはじめた理由

HERPの加藤( @KeitaKatoh )です。
前回のnote記事からおよそ半年ぶりの記事更新になります。
久しぶりですが、初めての方も含めよろしくお願いします!

はじめに - 本noteの概要と想定読者

本noteは、自社プロダクトにヘルプページがない/あるものの仕様や操作の案内のみになっているSaaS企業の方々向けに読み手を想定しています。
その中でも、顧客がさらなる活用・成果創出をするために必要とする情報(運用事例・ベストプラクティス)と自社の公開している情報にギャップを感じている人に向けて書いています。
取り組みを開始するきっかけを作るための経験談として、HERPの取り組みにおける以下重要ポイントを各種経緯・学びを含めてお伝えしていきます!

  • 本取り組みの重要ポイント

    • カスタマーサクセスにおいて、個別対応による成功例が大きく取り上げられる傾向にあるが、より俯瞰してみると自己解決を好むユーザーも一定存在する。

    • 自己解決を求める声はBtoB SaaS領域でも例外ではなく、自社内でもユーザーの声が既にあるものの、見逃されてしまっているケースがある。この点に気づくためには、意識の転換が必要。

    • 一方で、必ずしもセルフ化が常に正しいとは思わない。よくある質問の発生頻度とそのパターン数に応じて、個別支援にて伝えることと顧客自らアクセス可能にすることのどちらが適するかは常に判断が求められる。

※本記事の中で扱う「課題」とは、プロダクトの利用や運用の中で、主に「やりたいことができない」、「〇〇をする方法を知りたい」といったユーザーの困り・疑問を意図してます。また、運用に関するコンテンツを探す時の顧客の「課題」として「〇〇に関するベストプラクティスを知りたい」も対象に含めています。

何をやったか

HERPのプロダクトに関連した操作マニュアルやFAQなどを集約しているサイトを構築しました。

厳密には従来から存在していたものの、後述するように過去のヘルプページからリニューアルし現在「サービスガイド」という名称で日々活用しています。
リニューアルに伴う変化として、プロダクトに関する情報に加えて「お役立ちコンテンツ」という新しいカテゴリーを設け、カスタマーサクセスが顧客からよくご質問を受ける運用や活用に向けた情報も提供しています。

HERPユーザの皆様は画面上メニューからアクセスしていただけます


特に、利用開始時の社内・紹介エージェント向けの連絡フォーマットや選考時の評価フォーマットの参考例はご利用開始はじめの顧客に多くアクセスいただいています。
その他、採用に関わる人へ参考となる過去のイベントレポートやユーザ事例も掲載しているため、HERPの利用歴が浅い顧客にも長い顧客にもさまざまな観点でご利用いただいています。

今回は「お役立ちコンテンツ」について、取り組みの経緯や流れをご紹介していきます。

なぜやったか

きっかけと取り組みに至った理由に分けると、以下のような経緯があり、この取り組みを社内で推進することとなりました。

1.きっかけ

問い合わせ対応や記事公開に関するツール群やオペレーションをリニューアルしたことがはじまりです。
別メンバー(Takeru)のnoteに詳細あるので是非ご覧ください!


2.取り組みに至った理由

リニューアル自体の取り組み理由は、先述のnote記事に詳細の説明があるため省略しますが、
本noteで取り扱っている「お役立ちコンテンツ」を開始した理由としては、以下の検討経緯がありました。

  1. リニューアルをなぜやるかを個人の検討に加え各メンバーとも各種議論をおこなった。

    • ヘルプページのリニューアルには一定工数がかかるため、現時点とリニューアル後の差分を明確に整理したかった。

  2. ゼロベースに近い状態で自分達になぜヘルプページが必要かを考えた。

    • 当初は操作マニュアルとよくある質問など各種記事がどのようなカテゴリに当てはまるかが曖昧だった。

    • カテゴリ定義や執筆体制やルールの整理とともに「サービスガイド」としてどのような情報を提供することが必要かの会話が進んだ。

  3. 検討を進める中で、運用に関する情報が従来のヘルプページには欠けていることに気づいた。また、現時点では運用に関する情報提供がカスタマーサクセスによる個別対応のみであることを認識した。

  4. リニューアルする際に「操作マニュアルと同じように顧客が自身で検索して情報を欲しいと思うか」を検討したところ、セルフで情報を取得したいニーズが実際に寄せられていることに気づいた。

  5. 全顧客に必要な情報はオンボーディングコンテンツに反映させるものの、よくあるが全顧客向けではない内容は「お役立ちコンテンツ」という形でリニューアル後の「サービスガイド」に掲載を開始した

3.経緯詳細

ここまでの内容だとかなりとんとん拍子に物事が進んだように見えますが、紆余曲折もあるので、詳細を記載していきます。

■過去に何度か見送りになっていたリニューアルプロジェクト
実は、ヘルプページのリニューアルは以前にも社内で検討したことが何度かあります。
しかし、チーム内で会話しつつ、優先度の問題で後回しにし続けていました。
当時はヘルプページリニューアルよりも、顧客とのコミュニケーションチャネルや問い合わせのフローが課題だったことが見送りの背景です。

その後状況が変わり、2022年5月あたりに再度ヘルプページ構築とプロダクト上のチャットツールの見直しに関する会話が社内で発生しました。
この時に、コンテンツのあり方について見直す機会があり、操作マニュアル・FAQの違いの整理や執筆体制の見直しなどが行われました。

なお、今回はデザイナーなどプロダクトに関わるチームが提起の上で検討を進めることとなり、このようなプロジェクトの進め方はカスタマーサクセス側で関わった一員としても良い流れだったと感じています。

私自身がこのリニューアルプロジェクトの開始にポジティブだった理由としては、今まで正しい情報を正しいタイミングで顧客に届けるために必要な記事の作成の検討や執筆・レビュー体制が整理されていなかったことが挙げられます。
今までは記事の管理・執筆者を明確に定義できておらず、日々問合せ対応を行うカスタマーサクセスが必要になった時に記事を作成する状況でした。(他社の方に聞いたところ、弊社固有ではなくよくある話のようです)

そのため、仕様理解の工数がかかったり、機能リリース後にヘルプ記事の必要性に気づくことになるなど、短期的になんとか対応が回っており緊急度は低いものの、重要度が比較的高かったままなかなか手をつけられていませんでした。
今回のnoteのメインテーマとは逸れるものの、記事のカテゴリに応じて執筆者や各種ルールが整備されたのもこのリニューアルの中での一つの成果だと思っています。

■避けられない優先度の問題について
上記記載のように、取り組みのきっかけは良いと感じていたものの、今回も優先度の問題に悩む瞬間は多数ありました。

階層やカテゴリ化が正しくされるという変化はあるものの、ただ同じコンテンツのままリニューアルするのであれば、自分自身がどこまで関わるかを決めかねていたというのが正直なところでした。
その中で、先程ご紹介のnote記事を書いたTakeruと定期的にコミュニケーションをしていき、またいろんな役割のメンバーから定期的に方針やアウトプットイメージに対するフィードバックを得る中で、コンテンツのスコープ自体も従来にとらわれる必要はないんだと気づき、
そこから自分自身がこのリニューアルに携わっていくべき理由を明確に見つけたことを記憶してます。

当時私がオンボーディング支援の中で特に初期設定を顧客がセルフで進められるようなコンテンツ・ツールの企画及び構築に関わっていたこともあり、次の一手としてどのような情報が整備されていると顧客が便益を受けるスピードと質が変化するのかを検討しているところでした。

導入によって「業務効率化」をはじめとした便益をユーザーが得るために、ミーティングの位置付けや各支援内容に対する接点の持ち方・比率を変える取り組みをしたことについて、過去のnoteで扱ってます。

■前四半期に関わっていた初期設定のセルフ化のプロジェクトの経験が活きる形に
人というのは日々と大きく変わらない情報の中でも、意識の置き方によって認識できる内容は大きく変わります。
セルフで初期設定を進めてもらう仕組みを構築する中で、契約~利用開始という最初のスタートダッシュに向けてどの顧客がいつ・何を取り組んでいるかの解像度が上がってきました。

HiCustomerさんが提供するArchによるSlack通知を追ったり、個社ごとの設定状況のActivityを追って実際どの順番で進むのか、どの設定はつまづいたり飛ばされやすいのかをみることができました。

その結果、初期設定が概ね完了し、基本操作の習得に進んでいただくタイミングで、顧客からメールやSlackでHERPのオンボーディング担当者に対して、特定ケースでの運用Tipsや他社事例についてご質問をいただいていることに気づきました。
そのようなご質問に対して、個別でのご案内をテキストや打ち合わせベースで進めていたのですが、自身で調べるためにまとまったコンテンツのポータルなどを求める声も短期に複数いただいており、
今まで認識できておらず取り組みの進んでいなかった顧客のニーズに気づくことができました。

この気づきが後押しとなり、主に過去カスタマーサクセス担当が個別に案内していた資料をもとに、「お役立ちコンテンツ」という名称で、運用に関わる状況ごとの事例及びベストプラクティスやTipsを公開する流れとなりました。

何が変わったか

2022年10月にようやくサービスガイドの公開がはじまり絶賛移行期ではありますが、オンボーディング時や問い合わせ回答の中で案内する資料は基本的にサービスガイドのものに変更して行っています。

今回取り上げた「お役立ちコンテンツ」について、操作マニュアルやFAQのカテゴリと比較するとページビュー数は少ない現状となっています。
ただし、単独で活用促進をするのではなく、HERPの使い方を知りたい・疑問を解消したいとアクセスいただいた方が、「お役立ちコンテンツ」の存在を認知いただき、困った時にアクセスしやすい状況を目指しています。

特にオンボーディング直後の顧客には、今まで各種テンプレート・サンプルや運用面のTipsをご質問に対して、点の情報で回答することに留まっていたのですが、今後はピンポイントのコンテンツと合わせて「お役立ちコンテンツ」という存在をご案内することで面の情報でご理解いただく(必要に応じて回遊いただく)ことにつながると思っています。

なぜできたか、今後に向けた再現性のある学びはあるか

1.「お役立ちコンテンツ」の構築を個社支援やジャーニー整理に関わっていたメンバーが行うことのメリット

今回この取り組みを無事行えた背景として、「お役立ちコンテンツ」の必要有無を問わず、顧客がオンボーディングの場面でどのように利用開始に向けて準備を進めていき、どのタイミングでつまづきHERPに欲しい情報の連絡をいただいているかの流れを把握できたことが鍵だと思います。

前提としては私の過去のnoteの後半(「2.個社支援での実績があることをマストとする」)やtaroのnoteでも扱っているように、自己解決はあくまでも手段であり目的ではないため、個別ケースでの成功事例を対複数社向けにしていくことをまずは重要視し続けています。

強調したいのはあくまでもバランスです。
個社接点での成功は引き続き重要であるものの、その一方で個社接点を重視しすぎると自己解決を求める声に気付きにくくなる点を意識し、現在の自社の提供物と顧客ニーズの状況を正しく把握することが大事だと改めて認識しました。

2.個別対応の有効さはシチュエーションによって変わることを意識した改善プロセスを構築する必要性

個別対応の有用さを認識しつつも、どのようなカスタマーサクセスのプロセスを強化するかの判断は必要であるということを改めて整理できればと思います。

サブスクリプション型のビジネスの中で顧客が増加する上でよく発生する事象と思うのが、
問い合わせいただいた顧客のみ手厚く対応でき、問い合わせのない顧客とはエンゲージメントの構築(情報提供や課題の把握)ができないことです。

結果として、手厚く対応できている顧客の方が比較的更新に繋がりやすく、接点がない顧客の場合解約・ダウンセルに繋がるというイメージです。

なお、この状況に直面した時、どのような対応を行うかは個々の組織に合わせて最適解は異なると考えています。
よく取られる判断の例として想定しているのが、接点を持った顧客とは一定のエンゲージメントを築けているため、他の顧客にも同様の機会を持てるよう能動的に接点を作りに行くことです。

必ずしも悪い取り組みとは考えていませんが、QBRをはじめ絶対に定期接触をすることを目指した施策の数々は、
困っていない顧客に困りを聞きに行ったり運用が回っている顧客に運用改善を提案しに行くなど、取り組み工数に対して両社にとって意義の少ない時間の使い方につながってしまうケースがあると感じています。

そこで、一定のリソースを顧客が自己解決できる環境づくりにかけるべきかを判断するための状況について、整理してみようと思います。

「お役立ちコンテンツ」として今回想定した悩みの一つとして、HERPのご利用顧客において、よくご質問いただく選考の評価設計があるので、こちらを例に説明します。

3.シチュエーションによって、個別対応とセルフ化の使い分けの有用さが変わる例の言語化

まず、以下の図のように「お役立ちコンテンツ」がなかった時は、運用に関する質問は打ち合わせの場で弊社から課題をヒアリングして回答する(図にて①と記載)か、顧客からのご質問(②と記載)をきっかけに回答してました。


お役立ちコンテンツがない時に、運用に悩む顧客が持ちうる選択肢

自己解決を志向する顧客の場合、操作マニュアル(③と記載)を検索していただきますがそこには当時答えとなる情報は載っていませんでした。
そのため、顧客からHERPに直接ご質問をいただかない限りは、Google検索などの代替策を取っていただくもののピンポイントには課題の解消につながりません。

次に、「お役立ちコンテンツ」がある場合、自己解決を志向する顧客がサービスガイドを見ていただくことで解消につながる可能性があります。
もちろんコンテンツが網羅されていない可能性はなくせませんが、ご質問をよくいただく内容は一定コンテンツ化できると考えています。

お役立ちコンテンツがある場合、個別のやり取りがなくても悩みが解決する可能性がある

上記の例を単体の顧客の課題で見たときには、大したことないと感じるかもしれません。
実際、想定される課題のパターンが数少ない場合には、提供側も①のように打ち合わせでヒアリングと回答することで解消しにいくはずであり、
結果としてプロアクティブ支援の内容を充実させていく方向にプロセスが強化されます。

ただし、顧客が課題として抱えるのは一つとは限りません。
そこで、顧客が運用などで課題として抱えるトピックが多数あると仮定した場合、
最適な選択肢の見え方が少し変わってくると考えています。


個別接点×プロアクティブは、想定される課題のパターン数が増えるにつれて、顧客にとってストレスになることもある

"①カスタマーサクセスが打ち合わせでヒアリング+回答"の場合
->顧客によって各種情報の必要・不要が異なる中で、一律に伝えようとすると情報が増えていってしまう

②顧客からカスタマーサクセスにご質問いただく
->最初の数回は問い合わせていただける他、徐々に気を使って質問を遠慮されるか毎回問合せが必要なことに不満を感じる

③お役立ちコンテンツ(サービスガイド)を検索する
->セルフで解決できるため、困ったときに都度調べて解消につなげる。コンテンツを調べても解消しなかった場合は、程度次第では不満につながる場合もあるが基本的には個別回答でのカバーも可能

このような整理から、今のHERPにとっては、操作マニュアルやFAQに加えて「お役立ちコンテンツ」のような運用に関わる情報もセルフ化することが重要と認識しています。

【反省】顧客の体験に関する取り組みによる変化は整理できていたが、数値に関しての現状・取り組みによる変化の整理はやりきれなかった点

なお、反省する点もあります。
一番大きな観点としては、当時のチャット問い合わせなどに占める運用に関する質問の数を基に定量ベースで検討できていないため、数字をもとに当初から現在・今後のインパクトの整理は行えていませんでした。

既にコンテンツが個別対応で提供できるものが多数だったため、まずはコンテンツ掲載の場所を「お役立ちコンテンツ」と名づけて顧客自らが取得可能な体験を優先して作った形となります。

こちらについては、リニューアルを機にチャットベースの問い合わせにはタグ付けをするようになったため運用に関するご質問の量を把握していくことに取り組んでいければと考えています。



これからの取り組み

「お役立ちコンテンツ」は日々の顧客への支援を経て構築されており、カスタマーサクセスのメンバーを中心に各自が日々作成・改善を進めています。
この流れは継続していければと考えているものの、次の重要テーマとしてはいかに必要な顧客に必要なタイミングで届けるかが重要と考えています。

コンテンツ拡充についてもどのような情報が求められているかの整理は関わりつつ、今の私たちが持つ接点(お打ち合わせ、問い合わせ)の中で顧客がどのように情報へ辿り着くかの改善や新規検討に力を入れていきたいと思っています!

余談

この記事を書いている期間に、社内の複数のメンバー(カスタマーサクセス中心)で、おもてなし幻想を読みました。

BtoB,BtoCであったり状況によって最適解は異なると思いますが、顧客がサポートに求めるのは感動よりもまず問題の解決であると改めてシンプルに理解した場合、「顧客努力」というキーワードからさまざまな取り組みを振り返ることができました。

どちらかというとカスタマーサポート・サービス向けに書かれている本ではあるのですが、
年末年始などぜひ一度目を通してみていただくと良いのではないかと思ってます!

雑談でもいいですし、もしこのnoteやHERPに興味がある方いれば、Twitter DM解放しているのでご連絡ください!

また、HERPでは一緒に顧客起点で事業を成長させたいメンバーを常に募集してます!
以下のフォームからカジュアル面談の希望も出すことできるので是非ご覧ください!


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