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シンジケートローンを知っていますか(その5)

前回に引き続き、今回も資金調達に利用されるシンジケートローンに関する話題です。今回はシンジケートローンの契約形態について解説します。


6. シンジケートローンの契約形態

 ここまで、シンジケートローンの概要、関係者がシンジケートローンを利用するメリットを説明してきました。シンジケートローンは欧米金融から輸入した融資なので、日本の伝統的な金銭消費貸借契約とは異なる概念・用語があります。
 
シンジケートローンには「タームローン方式」と「リボルビング方式」の2種類の契約形態があります。
今回は、シンジケートローンの契約形態について説明します。
 

・タームローン方式

 
「タームローン」とはユーロ市場で用いられていた用語で、「期間貸付」と直訳している場合があります。一般的な貸付だと思ってください。
 
日本の伝統的な貸付契約は「金銭消費貸借契約」という片務形式(貸付人がお金を貸すだけ)です。

これに対して、タームローンは「貸出実行の前提条件(Condition precedent)」を満たしてはじめて借入人は金銭交付を受けることができる、双務契約(借入人が約束を守って、はじめて貸付人がお金を出す)です。この点が日本の金銭消費貸借契約と違います。
※実務では、貸出実行の前提条件のことを「CP(シーピー)」と呼びます。

 シンジケートローンでは債権譲渡等を前提にしていること、参加金融機関が銀行だけではないことから、統一的な貸付契約を使用します。シンジケートローンの一般的な契約はタームローン方式です。
タームローン方式はリボルビング方式とは異なり、貸付は一度キリです。借入人が弁済した資金について、再度貸付することはできません。

・リボルビング方式

「リボルビング」とは「回転」という意味です。つまり、契約期間内に何度でも回転(借入・返済)ができる契約形態です。
こちらは、コミットメントライン契約が前提となるものの、シンジケートローンにおいては、主に借入人の運転資金需要に応えるために利用されます。
 
日本の短期運転資金融資が、シンジケートローンにおいては「リボルバー」と呼ばれていると理解して下さい。
タームローンは一定の資金枠を設定していても、返済した場合に借入枠は復活しません。
繰返し借入・返済を行う場合には、契約形態をリボルビング方式にしておく必要があります。


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ここまで全5回にわたってシンジケートローンについて解説してきました。今回で終了です。

<過去記事はこちら>

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なお、シンジケートローンについて詳しく知りたい人は下記の書籍を参考にして下さい。

【金融マンのための実践ファイナンス講座】

【金融マンのための不動産ファイナンス講座】

 


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