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コベナンツ(その1)

不動産投資や企業買収の際にはノンリコースローンを利用することがあります。ノンリコースローンは貸付金の回収原資が限られるため、コベナンツが一般的に設定されます。
コベナンツは新聞などでもたまに目にする用語なので、知っている人も多いでしょう。
今回はコベナンツについて説明します。

1.コベナンツとは


リコースローンは借入人の資産や事業からのキャッシュ・フローから返済を受けることができますが、ノンリコースローンは支払原資が担保設定物に限定されます。
不動産投資にノンリコースローンを利用する場合、貸付人は担保設定している不動産以外から返済ができません。担保不動産から優先的に弁済を受けられるように融資条件を設定する必要があります。
 
コベナンツとは簡単に言うと誓約条項のことです。金銭消費貸借契約における貸付人と借入人との間の約束です。
貸付人と借入人の約束なので「決算書を○カ月以内に提出する」というような約束もコベナンツに含まれます。
 
ノンリコースローンの貸付人は担保不動産から最優先に資金を回収しなければなりません。行内の格付や債務者区分に悪影響を及ぼさないために、借入人には安定的な利益を確保し、純資産維持をしてもらわないといけません。
他の貸付人よりも優先的に資金回収ができる状態にするためにコベナンツが利用されています。

2.コベナンツの種類


コベナンツは貸手と借手との間の約束です。コベナンツは、遵守事項としての報告義務も含みます。なので、広義のコベナンツには雑多なものが含まれます。
財務面に着目した狭義のコベナンツを「財務コベナンツ」といいます。通常コベナンツと言うと、財務コベナンツを指すことが多いでしょう。

財務コベナンツは大きく以下の4種類です。
ファイナンスの方法に応じて、利用する財務コベナンツを選択します。

①カバレッジ・コベナンツ
②レバレッジ・コベナンツ
③資本勘定、黒字維持等
④設備投資制限

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次回はコベナンツの計算方法について解説します。

<その2に続く>

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なお、コベナンツについて詳しく知りたい人は下記の書籍を参考にして下さい。

【金融マンのための不動産ファイナンス講座】

【金融マンのための実践ファイナンス講座】




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