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不動産投資における信託の役割(その1)

プロ投資家が不動産に投資する場合、現物不動産(土地・建物)を直接保有するのではなく、信託を利用して信託受益権を保有する場合があります。
普通の不動産投資家は「信託」に馴染みがないでしょう。でも、信託は使い方によってメリットがあります。
今回は不動産投資における「信託」の役割について説明しようと思います。

1.  信託とは


比較的身近な信託として「投資信託」があります。これは投資家が直接株式や債券を保有するのではなく、信託銀行が発行する信託受益権に投資するスキームです。ただ、今回説明する不動産の信託とは若干異なるので、ここでは詳しく説明しません。
 
まず、信託とは、委託者が信託行為(信託契約など)によってその信頼できる人(受託者)に対して、財産を移転し、受託者は委託者が設定した信託目的に従って受益者のためにその財産(信託財産)の管理・処分などをする制度です。
 
不動産投資では不動産の所有者(委託者)が不動産(信託財産)を信託銀行等(受託者)に預かってもらう場合が該当します。
細かいことを言うと、所有権は受託者(信託銀行等)に移るため、信託設定は譲渡に似た行為です。ただし、経済実態は信託財産を所有者(委託者)の代わりに預かっているだけなので、実質的な所有者は変わりません。
ちょっとややこしいですね。
 
信託銀行等(受託者)は不動産(信託財産)を管理します。
賃貸物件の場合、信託銀行等が賃料を代わりに受け取って受益者(不動産の所有者)に分配します。
信託契約は図表1のようなイメージです。
 
【図表1:信託契約による管理】

<その2に続く>

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なお、不動産信託について詳しく知りたい人は下記の書籍を参考にして下さい。


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