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シチリア・サマー: ゴシップ好きとアウティング

数か月前の話になるが、シチリア・サマーというイタリア映画を観た。原題は、 “Stranizza d'amuri”。 上映中の映画のなかから、この映画を選んだのは、単なる消去法だった。 「どうやら同性愛をテーマにしたものらしいぞ」というくらいの情報だけ仕入れて、特に大きな期待はせずに映画館に向かった。 結論から言うと、かなり良かった。映像も綺麗だし、強いシチリア訛りのイタリア語は耳心地よい。何よりアウティングを「もしかしたら自分にも起こっていたかもしれないこと」として考え

    • 水上村、でこぼこ道

      水上村の道はでこぼこしている。 カンボジアのシュムリアップ。アンコールワットで有名な観光地は、驚くほど整備されていた。荘厳なホテル、ライトアップされた道、幅広の道路はコンクリートでキレイに舗装されている。 Pub streetの店からは、爆音でEDMが流れている。土産物屋が立ち並ぶマーケットでは英語が飛び交う。そこは、教科書で学んだカンボジアとは別世界のリゾート地だ。 そこから車で45分。コンポンプルック村(Kampong Phluk)を訪れた。 数メートルの木製の骨

      • 「僕」に帰る。

        一人称は「僕」。物心ついた頃からそうだった。周囲の環境によるものだろう。 使い慣れた一人称は、僕自身の輪郭を縁取る。僕が日本語で自分自身を表現するにはこれ以上の言葉はない。これからもないだろう。 幼稚園の頃は周りの男の子も「僕」と言っていたような気がする。ところが、小学校に入るといつの間にか、ほとんどみんなが「俺」というようになっていた。 気がつくと「僕」を使うのはカッコ悪いことになっていた。この流れを敏感に察知した僕は、意を決してある日から「俺」を使い始めた。 たぶ

        • わかった気になる

          久しぶりに日本を出る。数日の旅行だ。目的も特にない気楽な旅。 「国際線には慣れているから」とたかを括っていたら、いくつか小さな失敗をした。数千円を余分に払う羽目になった以外は、おそらく取り返しがつく程度のことだ。 誰でも気軽にいけるような観光地を巡るだけなのだから、何とかなるだろう。 ただ、機内で急に不安になった。どうやら周囲の乗客のほとんどは目的地であるベトナムの人たちのようだ。日本語は録音のアナウンスがあるだけで、他には一切聞こえてこない。 どれだけ集中して耳を澄

        シチリア・サマー: ゴシップ好きとアウティング

          フェミニストになりたい

          フェミニストになりたい。しかし、これが案外難しい。 この数年でいくつかの本や論文を読んで突きつけられたのは、僕がいかに家父長制と性差別が内在する社会に無自覚に、かつそれを内面化しながら生きてきたかということだ。 家族や友人も同意してくれると思うが、僕はいわゆる「マッチョ」なタイプではない。「男らしい」や「男っぽい」という言葉を賛辞の意味でも、嘲笑の意味でも向けられたことはほとんどない。 だから、「僕はフェミニストです!」と名乗ってきたわけではないにせよ、セクシストの誹り

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