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WBCに学ぶ「社会人としての力」。

平日の朝にも関わらず、私はテレビの前で釘付けになっていた。
3月22日、WBC決勝戦。
時差の妙で、朝8時から観戦できるというのは、
ある意味ありがたかった
(深夜は起きられないから…)。

日本が誇る名ピッチャーが夢のようなリリーフをし
日本が誇る名スラッガーが気持ちよくかっ飛ばし
そして、日本はアメリカチームに勝利した。
いろいろな要素があっただろうけど、
勝利は勝利だ。

投打ともに活躍した同い年、大谷翔平がMVPを獲得し
「これ、なんていう野球漫画?」というような
夢のような展開、
興奮冷めやらぬまま。

シャンパンファイトでひょうきんに暴れ回る選手たちや、
それを見て喜ぶ人々を見て
「ああ、いいことだなぁ。」という気持ちにさせられた。


しかし、そんな様子を見ながら
実は私は少し、違うことを考えていた。
今までの大会では一度も感じたことのない感情。
「社会人としての感情」だった。

社会人として、組織の一員として、
どう振る舞うべきなのか。
そんなことを学んだので、記してみたい。




今回、大会のMVPとしては大谷翔平が獲得したけれど
陰のMVPは間違いなくダルビッシュ有投手だっと思う。
今回のメンバーの最年長、36歳。
最年少20歳の選手との年齢差は16歳。
これだけでもすごいことだと思う。

ダルビッシュ、といえば
私たちが小学生や中学生くらいだった頃、
一躍スーパースターとなった人だった。
並外れた背の高さから
ものすごい速さで投げ下ろされるストレートで
バッタバッタと三振を取りまくる姿に
私たちは心を奪われたものだった。

何度も書いているが、私は大谷翔平と同い年である。
つまり、ダルビッシュは、大谷が中学生くらいの頃に
憧れたはずの選手である、ということが容易に想像できる。
大谷より年下の選手からしたら尚更、伝説のように感じるだろう。

そんな中で招集されたダルビッシュ。
正直、
「俺はベテランだぞ、敬えよ」という態度を取ったとしても
誰も文句は言わないし、言えないはずだ。
彼の実力、実績は、野球に関わったことがある人なら誰もが知っているから。

しかし彼は、
かなり早い段階からチームに合流し、
自ら若手選手に積極的に声をかけ続けた。

そのことについて、彼はインタビューでこう語っている。

最初から、上下関係がどうとか、気を使うとかそういうことじゃなく、
みんな野球をするために集まっているので、そういういらない気遣いとか、そういうのはなるべくとっぱらって、なるべく楽しむようにみんなでやったと思います。

https://www.fnn.jp/articles/-/503252

つまり、彼自身が、
「自分は普通にしていたら、気を遣われてしまうだろう」と
存分に理解した上で、
若手の気持ちを思いやっていたのだ。
若手の気持ちを思いやれる人は、
総じて、自身も若手の時に先輩たちに気を遣っていた人である。
「すごい選手」というのは、人間力も高いのだ、と
改めて思い知らされた。
そしてこの発言を裏付けるように、
シャンパンファイトではたくさんの後輩が
ダルビッシュに大量のお酒をかけにきた。
「ダルさん!ありがとうございます!」「ダルさん大好き!」
そんな言葉と共に。


彼の凄さは、それ以外のところにも現れていた。
ベンチからブルペンに、ゆっくりと歩いて向かう背中には
王者の風格、某漫画で言うところの「覇王色の覇気」が現れていた。

優勝決定後、胴上げをしようと集まる選手たちをまとめ、
「胴上げ」を知らない海外メディアが選手の間に割り込むのを
危ないから下がって、と、きちんと統制し、
恩師である栗山監督を、スムーズに中央に招き入れた。

組織の中で
ベテランがこの振る舞いをすることに
大きな意味があるように思う。
自分は、組織でこのように振る舞えるか。
また、こう振る舞える人材を育てていくにはどうしたら良いか。
考えさせられるきっかけとなった。



この大会を通じて、
栗山監督の「選手を信じ切る強さ」や
「物語を描き切る強さ」にも感動したし
「ペッパーミル」のような、誰もが参加できるアイコンがあることが
ベンチやファンを一体にする、ということも学んだ。

スポーツって、すごい。
野球って、すごい。

感動と、たくさんの学びを
ありがとうございました。

#WBC観戦記


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