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『SMOKERS』から解る、男同士の爽やかな友情と、決して変わらない“絆”

THE COLLECTORSのギタリストであり、ソロ活動や他アーティストとの共演、俳優、古着屋のプロデュースなど幅広く活動している古市コータロー さん(以下、古市さん)が自身のお誕生日である2021年5月30日にリリースした『SMOKERS(※1)/夏の午後の向こう』。7インチシングル限定で発売されたこの作品のA面である『SMOKERS』の作詞者には、2020年4月12日に夭逝された声優・藤原啓治 さん(以下、啓治くん)のお名前がクレジットされています。

某大型CD店の商品ページに記載されていた説明文がこちら↓

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この説明文を読んだ時「R&B?!」と驚きましたが、実際に聴いてみると男性2人の爽やかな友情が感じられるという意味では間違いではないなと。

とはいえ、この曲を他の曲と連続で聴くとなると、同じR&Bの曲よりは骨太なJAZZ(私は『SOIL &“PIMP”SESSIONS』など)も『SMOKERS』と同じプレイリストに入れて相性の良さを感じましたが、啓治くんファンの私的ベストな並び順としては、ロニー・ロウズ(Ronnie Laws)の『Always There』→『SMOKERS』→ジョン・コルトレーン(John William Coltrane)の『Say It(Over and Over Again)』→B面曲の『夏の午後の向こう』というJazz繋ぎになりました。

どちらの曲も選んだ時は曲調だけで決めましたが、『Always There』を和訳するなら『いつもそこに』、『Say It(Over and Over Again)』を和訳するなら『言っておくれ(何度も何度も繰り返して)』(※2)、となるので、曲のタイトルもお2人の仲の良さをより引き立ててくれると思うのですよね。

ちなみにジョン・コルトレーン(John William Coltrane)の『Say It(Over and Over Again)』は、『ほし×こえ』(※3)の2016年7月24日公演で実際に使用された楽曲で、フリートークの際出演していた啓治くんは昔からジョン・コルトレーンが好きだったと話していました。(後に、この公演を病気療養前の最後の公演と決めていたということも明らかになるのでした)


歌詞については、聴く前から「啓治くんが作ったのなら、絶対に”拘り“のポイントがあるはずだ!」と探るような気持ちだったからか、いざ聴いてみると啓治くんらしいポイントが手に取るように解ってしまい、思わずニヤニヤしてしまいました!啓治くんがまだご存命だったら、思いっきり感情を込めてこの曲の歌詞を朗読してほしかった…!(笑)

歌詞そのものは掲載しませんが、

「お2人が学生の時に抱いていた(若者特有の)社会に対する反骨心から作った歌詞が、お2人が成熟した大人になった現在では世の中を”斜に構えた”ように聴こえる」

と感じつつも、

「時は過ぎてお互いの立場は変われども、お互いにとって”心地よい距離感”を保ち続けた揺るぎない信頼(絆)がある」

ようにも感じられました。

また最後の英語歌詞の部分は、啓治くんではなく同じ作詞者としてクレジットされていた音楽クリエーターのAKIRA様が追加してくださったのかな?と感じ、ある意味曲の要の箇所とも思えたので、オランダまりぽさ様(※3)に私の感じていたこの曲の雰囲気を説明した後で和訳を依頼。掲載許可をいただきました。

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『Yeah, you & me we're here just to smoke』

その通りだ、お前も俺も吸う為だけにいる

『We only laughed We only cried』

 俺らは笑う事しかしなかった 俺らは無く事しかしなかった

『Hell, who named us the SMOKERS』

 おい、誰が一体俺らをスモーカーと名付けたんだ

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この和訳から感じたのは、啓治くんはおそらく【煙草自体】が好きというよりも、【喫煙】という行動を通じて他人と気兼ねなくコミュニケーションを取れる時間や空間が好きだったし、大切にしていたのでは?ということ。

昔、啓治くんが代表取締役社長を務めていた『AIR AGENCY』の所属声優さんのライブで偶然お逢いした時も、いくつか吸い殻の入った灰皿を眺めながら「煙草に火をつけて消す遊びをしてる」と仰っていて、横にいた商談相手(?)の方から「ずいぶん金のかかる遊びしてますね(笑)」と突っ込まれていたのを思い出しました。

もしかしたら、お酒も同じ感覚だったのかもしれませんね。「酒が強い声優なら、他にもたくさんいる」なんてお話もされていましたし。

ちなみに、その他の部分の英語の歌詞についてはこんな感じです↓

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『Oh Baby』

 おぅ

『SMOKERS That's the name we only had』

僕たちにあった名前はスモーカーズだけ

『Laughters』

 多くの笑い

『Tears』

 多くの涙

『SMOKERS』

 スモーカーズ
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私は啓治くんと知り合う前から長年医療系職種に就いていたので、啓治くんに

「タバコは肺に悪影響を及ぼすから、お仕事にも支障をきたすかもしれません。出来れば止めた方が良いですよ」

と何度か勧めてきましたが、この曲の存在を知っていればそんなことはしなかったと思います。啓治くんが夭逝してしまった現在となっては、それだけがとても悔やまれてなりません。

最後に、啓治くんとの学生時代の共作を古き良き媒体であるレコードとして形にしてくださり、世間という”明るみ”に出すことで(私を含めた)たくさんの人々に大切なお2人の絆の存在を教えてくださった古市さんに、心より感謝いたします。本当にありがとうございました!

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✩何と!今回古市コータロー様から、こちらの画像の使用許可もいただけました!!本当に感謝感激です…!!!😭✨


【追記】

この作品のB面の曲である『夏の午後の向こう』。(私が啓治くんのファンだからなのか)この曲を連続で聴くと、何故か啓治くんのイメージがちゃんと出てきます。

夏の午後に地方の古民家の縁側に腰をかけて、2人でスイカを食べながら種の飛距離を争っている姿や、結局どちらも負けを認めずそのまま夕方から夜になり、夕餉前に庭で缶ビール片手に線香花火をしている姿など…。

この曲は啓治くんは全く関わっていないはずなのに…不思議ですね(笑)


【注釈】

※1:『SMOKERS』の表記は、ジャケットは頭文字以外は全て小文字で、歌詞とレコード盤のほうは全て大文字で記載されていますが、この記事では後者に合わせ、全て大文字で記載しています

※2:この記事を書いている途中で、ずっとインストゥルメンタルだと思っていたこの2曲に歌詞があったことが判明!それぞれの歌詞の和訳を調べてからこの記事を仕上げたため、また公開までに時間がかかってしまいました。『Always There』は世界的に有名なジャズ・ファンク・ライヴ・バンドであるインコグニート(Incognito) のCDの歌詞カードから確認できますが、『Say It(Over and Over Again)』の和訳された歌詞の現物は見つけ出せず、WEB検索でも簡単に見つけられなかったので、今回は何とか探し出せたこちらの和訳を参考にさせていただきました。(『JAZZ SONG(ジャズ・ソング)』の Y.T.様、リンク許可ありがとうございました!)

※3:啓治くんが【被災地復興支援(公演だけでなく、会場となる地域に収益をもたらす)&いつも地方から都会に遠出してくれるファンのために開催側から出向く&自身の30代の頃からの夢の実現】のために2015年4月の初演から精力的にプロデュースし、後に啓治くんに【(自身の)心の拠り所】と言わせるまでに成長した“声優星空プラネタリウム朗読会”。(啓治くんはもちろん)毎回豪華声優陣が出演していたため、チケット販売開始から60秒以内に全公演のチケットが完売してしまったこともある人気公演。昨年は開催されなかったものの、啓治くんが夭逝した後も公演は継続されることになりました。2021年4月12、啓治くんが夭逝してからちょうど1年後に公開されたティザーPVでは、星空とともに啓治くんの(おそらくオリジナルの)ナレーションも聴くことができます。その他、詳細はこちらまで。

※4:今回英語歌詞を和訳してくださったオランダまりぽさ様は、スキルマーケット『ココナラ』で翻訳をご依頼できます。詳しくはこちらまで。


【参考資料】

『“SWEET ROAD TO YOUTH”-A Documentary Film featuring KOTARO FURUICHI & THE COLLECTORS-』

古市さんのドキュメンタリーDVD。ナレーションは啓治くん♥

『音楽と人』2021年6月号

古市さんのインタビュー記事あり。啓治くんとの想い出が綴られています✩

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