【読書録・4】高橋哲哉『デリダ』第一章・1 アルジェリアのユダヤ人 フランスへの同化が進んでいたアルジェリアのユダヤ人

【要約】

 アルジェリア生まれのユダヤ系フランス人。この条件は割礼、言語、場所の記憶などをとおしてデリダの思想に身体的刻印を刻みこんでいる。

 フランスの植民地であるアルジェリアでは、圧倒的多数のアラブ系アルジェリア人は市民権が与えられず差別されていた。しかし一方、アルジェリアのユダヤ人はクレミュー法によりいちはやく市民権を与えられる。

 結果、アルジェリアには最上層にフランス人植民者、中間にイタリア人、スペイン人などフランス人以外のヨーロッパ系植民者およびユダヤ人、最下層に圧倒的多数のイスラム教徒アラブ人、ベルベル人という階層秩序が成立する。こうしたなかで、デリダは同時期にアルジェリアで生まれた多数のアラブ系の子供たちとは異なる境遇かつ、フランス本国とは遠い存在であった。

 つまり、デリダはまず第一に「アラブあるいはベルベルの(より適切にはマグレブの)言語と文化から」切断され、第二に「フランスさらにはヨーロッパの言語と文化から」切断され、第三に(あるいはまずはじめに)「ユダヤの記憶、そしてユダヤのものと想定されるべき歴史と言語から」切断されている、そうした存在なのである。(486字 1時間19分)

【感想】

おそらく『たった一つの、私のものではない言葉: 他者の単一言語使用』に書かれている内容。この本読んだことないけど。伝統から切断されているという感覚はデリダを読んでいても感じる。ありていにいえば孤独感。

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