はじめに

「『窃盗癖を抱えた身内を持つ、ひとりのライター』が、窃盗癖とその先に広がる嗜癖問題について調査した結果をベースに、その概要を一般の読者に理解していただくための読み物として企画されました」(39-40頁)

■3つの「不足」

上記の目的で書かれた著書『彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか?―窃盗癖という病』をもとに整理すれば、日本には以下の3つの「不足」があると言えます。

1.研究・文献の不足

「窃盗癖の研究自体が立ち遅れており、いまだ発展途上にあると言わざるを得ません」(4頁)

「窃盗癖やクレプトマニアといった単語がタイトルに含まれる書籍や雑誌は驚くほど数が少なく、同様にアマゾンで題名検索したところ、窃盗癖が11件、クレプトマニアに至っては、わずか5件だけでした」(29頁)

「『摂食障害やアルコール依存、薬物依存などについての研究や文献と比べても、窃盗癖問題はマイナーな嗜癖問題に留まっている』」(36頁)

2.理解度の不足

「話をうかがった専門医や弁護士さんが口を揃えて話していたのは、『警察や検察の窃盗癖についての認識や理解は、以前と比べればたしかに深まったかもしれない。だけど、まだまだ十分とは言えない』とのこと」(244頁)

3.回復施設、自助グループの不足

「窃盗癖者を快く受け入れ、適切な治療を施してくれる施設は、日本中を探しても、まだほとんど存在しません。結果的に、赤城高原ホスピタルと、これまた週1で竹村医師が嗜癖専門外来を行っている京橋メンタルクリニックが、国内で最も多くの窃盗癖患者を診療している医療機関になりました」(137頁)

「この問題に関心を持つカウンセラーが増えてほしい。どなたか当方の役割を引き継ぐ人が出てきてほしい。この役割は医師でなく、カウンセラー向きだと思うからだ」(158頁)

「将来的にはKAのオフィシャルサイトができることが望ましいが、それまでは当院ウェブサイトが、その役割を担っている」(157頁)

「今後は、万引き・窃盗癖で悩む本人だけではなく、家族や友人のための自助グループがほしいと思う」(158頁)

■本サイトの機能

本サイトの主な機能は情報の整理と発信です。具体的には、①全国の治療施設、回復施設、自助グループの紹介、②新聞記事の紹介、③文献の紹介、④勉強会や研究会の開催、などの機能を担っていくことを予定しています。詳細は定期的に更新される各ページをご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?