本社を香港に構えながら、開発はカナダ、デザインはロンドン等、世界中のネットワークを使ってサービスの展開を行なう企業、KLKTN（コレクション）。そんなKLKTNが発信する本noteは「北米アニメ研究所」と題し、グローバル市場での事業展開の中で築いたネットワークを生かして得た知見をもとに、北米に住むアニメファンの実態に迫るインタビューシリーズを展開します。
これまで把握が難しかった海外のアニメファンの実態を、「統計情報」ではなく「エピソード」を交えてお伝えすることで、是非多くの国内のアニメ業界関係者の皆様には、グローバル市場における「日本のアニメ」の新たな価値を掘り起こし、新サービス・プロダクトを検討するきっかけを作っていただければと考えています。

シリーズ4回目の今回は、ブリティッシュコロンビア工科大学（以下BCIT）にあるアニ研（アニメクラブ）に所属する2人にお話を伺いました。北米西海岸のテック業界を牽引する優秀な人材を育成・輩出しているBCITは、国内最大規模の工科大学。生徒数はおよそ5万人にも上ります。脳科学や光化学、放送などさまざまなコースを提供していますが、中でもコンピューターサイエンスや航空宇宙学の分野で高く評価されています。
今回の記事では、最近2人がハマっている作品や好きなスタジオ、日本のアニメ制作関係者に聞きたいことなどについて伺いました。（前回の記事はこちら）

新作はどうやって探す？最近見ているアニメは？

Mook：シーズンごとにランキングをチェックするよ。あとはクランチロール（ソニーグループが所有するアメリカ合衆国の定額制ビデオ・オン・デマンドのストリーミングサービス）で日本と同時配信されてる番組を見るかな。ディスコードのBCITサーバーやツイッターでもレビューをチェックするね。
新作だと「【推しの子】」とか盛り上がってるよね。僕はまだ見てないんだけど。一気に見たいからシーズンが全部終わるのを待ってるんだ。

Elisha：最初のエピソードもまだ見てないの？

Mook：見てないよ。溜まってから一気見したいんだ。ついこの間も、とある作品の2シーズン分を1日で制覇したばかりだから、時間のことなら心配しないで（笑）「異世界」もシーズンが出るごとに見てる。大ファンっていうほどじゃないけど、フォローはしてるよ。あとは「Dr.STONE(ドクターストーン)」かな。

Elisha：「鬼滅の刃」の新作も見た？

Mook：見てない。あれは映画でがっかりしたことがあって...。劇場版ってアニメで放映された内容との反復部分が多かったり、本作を台無しにしちゃったりすることもあるよね。

Elisha：でも、この間出たばかりの新作はかなり良かったよ！

Mook：そっか。僕もなんだかんだいって、シーズンが完結したら見出すと思う（笑）あとは「山田くんとLv999の恋をする」っていうラブコメも見たな。最近はたくさん新作がリリースされてるから、今期は結構見ている方なんだ。

シーズンの途中で見るのをやめることはある？

Mook：見始めたら全部見るし、中途半端にやめるくらいなら最初から見ない。クランチロールになければ諦めるってパターンも多いよ。いちいち配信場所を探すのも、ちょっとした手間だし。

Elisha：僕は今見ている作品は古めが多いんだけど、その中でも割と新しいのだと「進撃の巨人」かな。まあでもこれは新作とは言えないか！
そのほかだと、「トライガン」「東京リベンジャーズ」「Dr.STONE(ドクターストーン)」「ヴィンランド・サガ」。それに「PSYCHO-PASS サイコパス」の新作もすごく楽しみにしてる！こうして話していると、最近の新作ってアクションばかりだね。

Mook：「山田くんとLv999の恋をする」はラブコメだけどね。

好きなアニメのジャンルを教えて。

Elisha：特に決まってないけど、ロマンスものが好きなことは否めない（笑）。「プラスティック・メモリーズ」「ホリミヤ -piece-」「四月は君の嘘」とかがお気に入り。

Mook：僕はどうだろう。そもそも、10点満点の評価をつけるとして、「これは10点満点！」って思えたアニメって、実はまだないんだよね。

Elisha：「CLANNAD」は見た？

Mook：見たことない。

Elisha：見なきゃだめだよ！ゲーム系のアニメだと「グランブルーファンタジー」も面白いんだよな〜。

Mook：それは僕も見たよ。

Elisha：ゲームが出たのは13年くらい前で古い作品なんだけどすごくいいんだよね。こっちでは誰もプレイしないからもったいないなっていつも思う。「モブサイコ100」も良かったね。

Mook：う、それは見てない…。

Elisha：見てないの？見なきゃだめだよ！（真剣）

Mook：見ていない大作や有名作が結構あるんだってことが、Elishaと話すとわかるよ（苦笑）。「進撃の巨人」とか「ワンピース」「フェアリーテイル」「ナルト」「サイバーパンク」とか…。

Elisha：「サイバーパンク」も見てないの？本当、お願いだから見て（笑）。見たら絶対10点付けたくなるって！僕は見逃した作品でも予告だけは見るようにしてる。1000話以上の大作の場合は、飛ばし飛ばし気の向いた時に見ることもある。全話すべて追いかけるのはなかなか難しいよね！ 

好きなアニメスタジオを教えて！

Elisha：MAPPAは、すべてにおいて卓越してて好き。京都アニメーションも好きだな。あとそこまでメジャーじゃないかもしれないけど、「CLANNAD」「リトルバスターズ！」「Angel Beats! 」を生み出したゲームブランドの「Key」も好き。

Mook：「AIR」もKey制作だよね！

Elisha：見た見た！

Mook：「Charlotte(シャーロット）」もいいよね。エンディング以外は…。

Elisha：そうなんだ！あれはエンディングのことは語っちゃいけない。でも、それ以外は面白いよ。

Mook：シャーロットは歌もいいよね（※アニソンについては、前回の記事で詳しく語られてます）。

日本以外のアニメ作品も見る？

Elisha：「神之塔 -Tower of God-」っていう韓国ものを見たな。

Mook：制作スタジオは日本じゃなかったっけ？

Elisha：日本と韓国のコラボだったと思うな。

Mook：今見ている「俺だけレベルアップな件」は、日本のアニメ作品だけど、原作が韓国のマンファ（韓国語で漫画の意）だった。今回はアタリだといいなって思って見てるよ！これまでに見たほかの韓国マンファものはいまいちだったから。こんな感じで、あくまでも日本のスタジオが手掛けた作品だけど原作が韓国っていうものは、いくつか見てきた。

日本のアニメクリエイターに聞きたいことはある？

Mook：アニメとか漫画を作る時、どのくらい海外ファンのことを頭に入れてるのかな。日本と海外だと行動パターンひとつとっても全然違うけど、作品作りの段階でそういうことを考えたりするのかなってのも気になる！
原作の段階ではそこまで気にしてなくても、アニメ作品を完成させる段階で、海外ファンやマーケットのことを考えたりするの？もしそうなら英語圏だと思うんだけど、具体的にはどの地域にフォーカスするのか。それはイギリスなのかアメリカなのか。そのあたりをどう進めているのかに興味があるよ。
あと作り手の人たちが、僕たちみたいな国外のファンのことをどう思っているのかも知りたい。あ、収入についても聞いてみたいね。

Elisha：漫画やアニメのビジュアルを描いてる時、描き手はどのくらい自分の色を加えることが許されてるのかな。すごく厳しく忠実に描かないといけないのか、それともある程度アレンジするような自由が許されているのか。そういう現場のことには僕もすごく興味あるよ！
あと、日本のスタジオがこの先また外国のスタジオとコラボする予定はないのか気になる。スター・ウォーズ：ビジョンズでは、ルーカスフィルムと日本のアニメクリエイターたちが「スター・ウォーズ」の新たな物語を描いたよね。そんな感じで、「またアメリカのスタジオと共作したい！」って思ってる日本のスタジオはあるのか、または既にその予定があったりするのか聞いてみたいな。

Mook：クランチロールとか見てると、ドイツやフランスのファンも多いなって感じる。

Elisha：あとは、スペインもね！

Mook：そうそう、ポルトガルもアニメが盛り上がってる。最新作はなかなか見られないから古いアニメを見てるみたいだけど。そういうのを見ていると、西洋でのアニメって既にすごいメインストリームな存在になっているんだなって実感するんだ。

Elisha：アニメって最もユニークな形でストーリーを伝えられる作品形態だと思うよ。映画とかライブアクションショーではできないような表現をあらゆる形で創造できる。西洋では長年カートゥーンは子供向けって思われてきたけど、今では多くの人がアニメの可能性に気づいてるよね。

Mook：僕も、アニメは物語を伝えるうえで素晴らしいメディアだと思う！Elishaの言う通り、表現に限界がないもんね。映画だったら実際には表現できないものも、アニメなら想像通りに描き放題。表現にも優れてて、表情一つとってもすごくリアルだしパワフルだし。クリエイティブな可能性に溢れてるからこそ、こんなに多くの人を魅了しているんだろうな。

次回は、2人のお気に入りのアニメスタジオについてお話を伺っていきます！９月中旬に公開予定です。

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