VRChat VRAA応募作品「BlueSphere」を作成して反省した話

こんにちは。Klueleです。
5月から8月にかけて開催されたVirtual Reality Architecture Award (VRAA)にワールドを応募したものの、いろいろ整理できていなかったのでこの記事を作成しました。乱雑な内容になってしまいましたがご容赦ください。

VRAAは、人類の生きる空間をみんなで考えるVR空間デザインコンテストとして開催されました。
http://xrarchi.org/vraa1/

運営委員長の番匠カンナさんをはじめ、多くのクリエイターさんが関わってこのイベントは運営されています。この場で改めて感謝申し上げたいと思います。

コンテストの壮大な趣旨、コンセプトに対して、私自身が至らないところも多かったのですが、個人的なステップアップの意味で参加をさせていただきました。

ある程度の形を整えるために、私以外のクリエイターの資産を大量に活用させていただきました。私以外のクリエイターが作成したAssetの上に私の作品が構築されたのであり、比率で言えば私自身が作成したのはごく一部だと思います。このワールドでも多くのクリエイターさんに感謝をすべきなのは言うまでもありません。ありがとうございました。

単純に金銭だけの話であればVRAAに応募するよりノートPCやOculusを直接購入したほうが安いというのが実情ですが、そのスタイルでしか作り方が分からなかったので後悔はしていません。ただ、公式サイトQ&Aにて指摘されているように、大量のアセットを配置しただけのサイトとして登録を控えるべき作品があるとしたら、それは私のワールドに相違ないと思っています。他の方の作品を見るにつれその特異性が浮かび上がるようであり、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

それでも、私はVRChatの世界になにかしらの形を残したかったのです。

リアル事情はそれほど芳しくない生活、感情をなくしてただ時間が過ぎるのを祈るしかなかった中で、VRChatは少なくとも何かを私の中に残してくれたのです。私が普通になるまでには、まだ多くのステップが必要だと思いますが、前に進むために必要な1歩をまた踏み出していきたいと思います。


心情的なことはさておき、ワールド作成では、テクニカルな要素も重要ですし、テクニカルな要素以外にもデザインしなければいけないことが多いのではないかと思います。その中には、そもそも私になしえないこともあると感じています。

・知名度やブランディングの話

 私とはなにものなのでしょうか。少なくとも、私は○○な人とはVRChatのプレイヤーの中で認知はされていないと思っています。また、プレイした期間の割りにコミュニケーションを取ったことのある人はかなり少ないはずです。(2019年9月時点で17ヶ月、900時間で100人くらいしか話してないはず。。)
 ある程度ワールド製作で実績がある方であれば、ワールドに入った人は製作者の意図や考えを空想したり、そのバックボーンにある文脈を作り出すことができます。それは単一のワールドだけではなしえず、各種メディアで発信できるコミュニケーション能力がなければ難しいことです。
 製作者の存在そのものが作り出す世界観は、ワールドに異なる評価軸を与えるのだと思いました。ワールドはただ作成しただけではただのオブジェクトでしかありません。個人的に劣後していることを嘆くつもりはありませんが、今回のコンテストではそのことを特に強く感じました。

・実装面で勉強したこと

 VR readyPCで45fpsを維持するため、DrawCallを削減する基礎的な内容を勉強しました。主に以下の実装について試行錯誤し、結局かなり中途半端な結果となっていました。
 ①オクルージョンカリング
 ②LOD
 ③メッシュベイク
 ④ライティングの適切な配置

 それぞれの解説については、分かりやすいサイトがあると思いますので、ここでの説明は省略します。過去にwater pool parkや、TAIIKUKANなど、非公開含めて10以上のワールドを作成していましたが、ワールドを軽くする実装は非常に難しく、個別で調整するにはかなり時間がかかってしまいます。技術的に相談しやすい方もあまりいなかったので、結果的に少し後悔しています。これからも後悔することは多そうです。

・ワールド特有の実装(1):拡張メニューの応用

 VRChatのワールドの中での過ごし方は基本的には自由ですが、説明がないと分かりづらいことがたくさんあります。BlueSphereのワールドでは、拡張メニューの応用して、メニューを開いたときにワールド内でテキストや透明なオブジェクトが見えるようになる実装をしています。

 建物の中にピアノが置いてあるステージがありますが、入り口からまっすぐ入るとそのステージに乗ることができません。
 メニューを出すと透明な通路が見えるようになっており、この通路からステージに入れるようになっています。

画像1

 通常は見えないけれど、何か操作をすることでヘルプメッセージが出せるような実装としてこのような形を取らせてもらいました。

・ワールド特有の実装(2):ロード中の表示画面

 ワールドに入ってすぐに「ロード中」と表示されることに気づいたかもしれません。実はワールドの中でオブジェクトの同期を取っているオブジェクトがあり、ワールドに入った直後の時点では全ての同期対象オブジェクトが見えるようになっています。ロードが完了するまではワールド全体が非常に重くなってしまうので、同期が取れるまで黒いオブジェクトで周囲のオブジェクトを隠すようにしています。

画像2

・さいごに

 今回のコンテストを通して、特にテクニカルな要素で多くの挑戦がありました。それでも、他の方のワールドを見ると、私自身のワールド作成はアセットを並べるだけだったのかなと打ちのめされ、次に目指すところは分からないままです。勢いで次を作ってもいいのですが、さまざまな世界を見るにつれ、これでいいのだろうかと逡巡することが増えてしまいます。

 もし、次にワールドを作るとしたら、テクニカルな内容以外での挑戦が多くなるのかもしれません。試行錯誤は続いていきます。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。

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