見出し画像

法務採用難航記録

もともと、転職を機に始めたnoteだが、私が現職に転職してきてから、まる2年が経過したことになる。兼務として、法務サポートをしてくれる人を法務に入れることでごまかしごまかしやってきたが、先日、1名の法務専任者を採用することが決定し、めでたく来月半ばの入社が決定した。

転職をする側の記事はアクセス数が高いので、採用する側の視点もニーズはあるだろうし、両方の視点を持ったことで言えることもあるだろう。ということで、今回の採用活動を通して感じたことを記録する。

採用の背景

法務専任マネージャー1名(私)、私の上司のH部長、総務と兼務のI氏のほぼ3名体制。何とか回してはいるが、M&Aも盛んで子会社や事業が増え続ける中で、最低限のことしかできていない状況だった。

目の前に出てきた課題を応急処置的に解決するのに精いっぱいで、長期的な目標を設定して先手を打って働きかけていく、みたいな取り組みができず、スピードと馬力でやりくりしてきた。

法務としてじっくり考えるべきことを考えられないのは危険であり、私もなかなか疲弊気味で、ドライアイも進行。ここまでなんとかして来たが、そろそろ補充すべきである旨進言したところ、なんとか承諾を得、5月ぐらいから採用活動を開始することができた。

このときは、ここから入社決定まで、5ヶ月もの期間を要すことになるとは思っても見なかった。

採用ターゲット

即戦力を求めたいが、管理職レベルまでは必要ないし、高めのレイヤーでの採用は上の承認が取りづらい、という前提。30代前半ぐらいまでで、企業法務経験が数年ある程度の人をターゲットにした。年収でいうと、400~600万円程度(みこみ残業代込)のレンジ。
※法務経験者で年収600万円以下の採用は母数が少ないので結構大変である。ビズリーチとかはほぼ600万円以上だし

人物像としては、柔軟性があってフットワークが軽い人というのが第一条件である。バタバタしていることが多いので、細かに指示しなくても自分から情報を取りに行ってアクションができる人だと大変助かる。とにかく自分で前にすすめる胆力がないと長続きはしなさそう。少数精鋭の部隊は、どこも似たような要件になるだろう。

採用活動の開始

採用活動を開始すると、エージェントからの紹介がポンポンと入り、ターゲットに見合う候補者との面接が快調に進む。プロセスとしては、1次面接が私で、2次面接がH部長。二回の面接で確定するため、二次に上げる人もそれなりに絞っていた(1次面接した人の35%~40%程度)。

H部長の眼は厳しく「この人だ!」とピンと来ない限り採用しないぐらいのスタンスであった。初速が良かったが故の判断だっただろうが、私も当時、その方向性にはある程度賛同していた。

なかなかH部長のおメガネにかなう人は現れず、二次を通過できる人が居ないまま、日々が経過。とは言っても、数人には内定を出すところまで行ったのだが、やはりそれだけ高い基準で見て欲しいと思える人は、どこの会社でも同じ。余程、自社の魅力付ができて、なおかつ、他社以上の報酬を提示しなければ蹴られてしまう。

採用活動は人を選ぶ場であると同時に、人に選ばれる場でもある。履歴書を見るだけでは分からない、他社に見つかりづらい魅力かつ自社に適合しそうな性質を持つ人を見つけて、アピールしていくことが大事なのである。

そんなことを思い知らされているうちに、徐々に候補者が現れるペースが減っていき、書類すら届かない日々が続いた。求人媒体を増やし、スカウトメールを出す等、手を変え品を変え、書類通過基準も二次面接の方向性も検討し直した。そんななかでようやく、良い人と出会え、採用に至った。

終わってみれば、当初は想定していなかった自分の年上を採用することになった。興味深い経験をしているバイタリティのある方で、良い結果になったと思っている。

若くて希望年収が低くてスキルが高くてコミュ力が高くて自社にマッチしそうな人なんて存在しない。存在しても引っ張りだこなので、まず採れない。採用活動を長期化させたくないなら、妥協ではなく、自社に合った適切な採用基準を用意しておかなければならない。それが難しいんだが、これは目標設定と同じで、高すぎる目標で未達にするのでなく頑張ればギリギリ達成できそうなラインを適切に設定するという、ある種の技術とも言えるだろう。このあたり、人事と連携して巧く設定できる会社は採用強いんじゃないかと思う。

今回はここまで。

次回は、①応募者の経歴を見る中で気づいた法務のキャリアについて ②面接での選考基準や魅力づけ について深堀りし、求職者にも有意義になるような記事を書こうと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?