ライター　モノリス藤田
月に一度、国際自動車株式会社（kmタクシー）へ行く。ｋｍタクシーの現役社員のインタビュー企画「DRIVERS」の取材。現職のタクシードライバーに突撃取材を行い、日々の乗務の様子を伺ったり、仕事におけるやりがいを聞いたり、時にはプライベートの話を聞いたりもする。

そんな中、取材に行くと必ず聞いてしまう「とある質問」が一つ。

―〇〇さんオリジナルの、仕事のルーティンってありますか？

タクシードライバーのルーティン。ちょっとだけ想像してみてほしい。釣り銭を揃えるとか、ボールペンの補充とか、大体この辺かなあ…と考えたのであれば、甘い（ドヤ顔）。プロのドライバーのこだわりルーティンは、私たちの想像を遥かに超える。これまでに出会った、笑いあり・涙ありの「こだわり」話を、外伝として集めてみた。

EPISODE001「（ええええ、それは違うでしょ〜〜〜〜！）」

トンガから帰国した第二新卒・境さんのエピソードも興味深い。彼の極意は兎に角お客さまを「肯定」すること。イエスマンっていう映画がありますが、正にあんな感じ。そんな境さんは心の中では「超絶反対意見」な時にでも、ニッコニコで「YES」と言う。その心は、「きっと、タクシードライバーにしか聞いてもらえない愚痴なんですよ」という一言に滲み出る。

「（それは違うでしょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！！！）YES（ニコニコ）」
と思う事案も多々あるらしい。字面だけだと最早どれが心情で、どれが発言なのか分かりにくい（書き方の問題）。誰にも相談できない悩みや思いを抱えたお客さまに寄り添っていたい、そんな境さんの男気ホスピタリティなのである。

EPISODE002「アンタ、ひよこ鑑定士になったら？（一例）」

希望進路について悩んでいたら突然カーチャンが「アンタ、ひよこ鑑定士がいいんじゃないの？」と摩訶不思議な助言をくれた。そんな経験、あるだろうか。私はない。しかし、「あのお母さん」なら、あり得るのだ。東雲営業所の、近藤さんである。

「この仕事が息子に向いているかもしれないわ（しめしめ）」
タクシードライバーとして日々乗務に臨む近藤さんは、お乗せしたお客さまの仕事についての情報を集めて息子の進路指導の材料にしているらしいのだ。近藤さんの息子が「LEGO投資家」になるのか、「酪農ヘルパー」になるのか、「ゴルフボールダイバー」になるのか…非常に楽しみである。

これまでの取材を思い出しながら記事をまとめてみたが、なかなか個性溢れるドライバーたちに出会ってきたものだと痛感する。今日は「YES」の返事を心がけ、帰り道は歌いながら道行く人に職業について聞いて回ろうか。さすればトンガにマイホームを持つひよこ鑑定士にでも、なれるやもしれぬ。

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