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人生邂逅 ・まなび編  ◆仏教読書会から -35

正法眼蔵随聞記から
第5節「他の非を見て、・・・」

他の非を見て、わるしと思うて、慈悲を以てせんと思はば、腹立つまじきやうに方便して、傍らの事を言ふやうにてこしらふべし。

これを読んで頭に浮かんだのが

吉野弘 の 「祝婚歌」 の一節で

”正しいことを言うときは 少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと気付いているほうがいい”

という詩の一節です。

この歳になると、この意味がためらいなこころに染みわたるのですが
若かりしころは、謙虚さを欠き、安っぽい正義感を振りかざして、相手かまわず自分の思いをぶつけていたことを思い出します。

今にして思うと、とてもお恥ずかしいかぎりです。

この詩を知ったのは、後輩の結婚式で40歳のころだったと記憶しています。

主賓であった上司が新郎新婦に贈る言葉として、この有名な詩を朗読されたのです。

とても感銘を受け、その時に読み上げられたお手持ちのコピーを早速頂いたことを覚えています。

なお、この上司はこれまでにも何度か登場して頂いたかたで、
「お前は首だ!」を3度も通告して下さったかたです。

これも、今から思うとなんとも奇妙な縁と思わざるをえません。

話は戻りますが、
このありがたい詩は折に触れ、思い出し読んでみて、こころを整えるようにしています。

結婚式の披露宴で詠まれる詩として知られていますが、人生のすべて通じる素晴らしい詩だとつくづく感服します。

ただ、この歳になってもまだ、理解できないのが最後の一節。

健康で 風に吹かれながら 生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる そんな日があってもいい
そして なぜ胸が熱くなるのか黙っていても二人にはわかるのであってほしい

これをすっと理解できるようになるには、まだまだ修行が足りない。ということでしょう。

奇妙なご縁のある方から教えて頂いた「祝婚歌」をこれからも大事にしていきます。


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