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十三階の血(双葉社)吉川英梨

凄過ぎる。
久々に興奮した。
想像を何度も超える。一方、これ以上、彼らを苦しめないで欲しい。シリーズももう続けないで欲しいと思ってしまう。痛い、辛い、苦しい。最後の最後くらいはと思ったら、まだ、苦しい。なぜ?そこまで、追い込めるのか。どうして、そこまで、残酷に人を傷つけられるのか。火事場のクソ力か。人は、これほどまでになれるポテンシャルはあるのか。決して、小説の世界だけだとは思えない。リアルにあるかもしれない。悲惨だけど、そう思わせる。本当に凄い。誉田小説とも違う、富樫小説とも違う。感じる痛さが違う。深く入り込む、登場人物に対する想い、憑依を感じる誉田小説、犯人のサイコ性、犯行の残忍さはあるも、描写に客観性というか、エンタメ性を感じる富樫小説。無邪気に笑うことに罪悪感さえ持ってしまう世界観。危険を求めてしまう性。女性だからこそ出せる感情表現。もちろん、ある訳ない。フィクションであり、エンタメ。でも、もしかしたらと思わせる。それは、作家がどれだけ、登場人物に魂を込めるかに比例していると個人的には思っている。魂を込めるには、客観的・冷静に情報を分析する力と、より深く沈みこめる主観的・情熱の両方が必要。必要だけど、それができ、実際にパフォーマンスとして、結果を残すことが出来る人間は少ない。小説だけでなく、ビジネスの世界でも同じ。小説は、自分に足りないもの、自分の弱さも教えてくれる。その逆もしかり。


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