警視庁「女性犯罪」捜査班 警部補・原麻希 通報者 吉川英梨/宝島社

原麻希シリーズ。読んでみて、やはり、続けることの難しさを感じた。人生を重ねること。喜怒哀楽を積み重ねること。所作、言葉で、その深みを出すこと。それは、事件が残虐になったり、複雑になったりするのとは違うもの。読む方も過去のシリーズを思い返したり、事件を乗り越えどう成長し、前に進んでいくのかを楽しみにしており、それを文脈の中に入れ込むことは、本当に難しいく、時にはプレッシャーになるのではないか。物語として、作り出した人物。フィクションだからと、雑には出来ない。シリーズが重なれば重なるほどそうなる。本作は、若干、事件設定やその周辺にある他登場人物のショートストーリーで乗り切った感を感じた。練られていて、感心するも、感心よりも少しの苦味というか、胸の奥に残る違和感があるのが、クセになるのが、このシリーズの魅力だったのではと思ったりする。


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