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冬季北八ヶ岳でテント泊 1

2024年2月12日、13日で高見石小屋のテント場でテント泊をしてきました。
厳冬期の雪山でテント泊するのは念願だったのです。

昨年、奥秩父の笠取小屋で冬季のテント泊をしましたが、テン場には雪が少なく雪中テン泊という程ではありませんでした。

今回は、冬季の北八ヶ岳、標高約2300mにある高見石小屋で雪中テン泊し、白駒池や北八ツの冬の森を堪能しようと計画しました。

出発地点は渋の湯登山口です。
自宅から車で渋の湯の駐車場に着いたのは7時半頃。さすがに連休の最終日とあってほぼ満車に近い状態でした。
登山口近くは雪道ですが、四駆&スタッドレスタイヤであれば問題なく登れます。
前日に少し降雪があり、スタッドレスだったとしてもニ駆では苦労するだろうなと思いました。

渋御殿湯

駐車代2日分2,200円を払って、いそいそと準備して8時ごろ登山開始。
毎度ながら、登山をこれから開始する時のワクワクする高揚感は堪りません。

ザックの重量は昨夜、測ってみたら19キロ。
過去最高に重いです。
雪山テン泊用に、テント、スコップ、ピッケル、ワカン、アイゼン、トレッキングポールなどフルセットです。

雪山装備のザック

それでも道中の雪景色の美しさを見れば、重い荷物の辛さも吹き飛んでしまいます。

ただ美しい景色を見たい、体験したい、たったそれだけのためですが、登山にはそれに見合う以上の価値があります。

賽の河原

渋の湯登山口から賽の河原までは、アイゼンを履かず、ツボ足で登りました。
前日に10cmほど積もったようですが、アイゼンがなくても登れそうです。
時折、滑りそうになるのを気をつけて歩きます。
アイゼンを付けると滑らないのですが、重いので足に負担はかかります。
足の負担も考慮しながら、自分にとって最適な状態を選択します。

登山では逐一、状況に応じて的確に判断や行動を行う必要があるのですが、そこにも登山の魅力があると感じています。

賽の河原付近で雪が深く感じたので、アイゼンを履くことにしました。

周囲を見渡すと朝の陽の光が差し込み始めて、サラサラの雪がキラキラと光っています。

高見石小屋まで2時間程の予定が、重い荷物と雪道のためか、結局2時間半かかりました。
小屋でテントの受付をして、早速設営に入ります。テント代は一泊600円でした。

高見石小屋

雪中でテント泊は今回初めてです。
テントはモンベルのステラッリッジ2、雪山用のフライシートは持っていないので普段と同じ3シーズン用のフライシートです。白いフライシートなので、視認性を考えると、雪の中ではあまり適しません。

森を眺められるテント場が嬉しい。
自作竹ペグ

ペグは普段のものだと、雪の中では細すぎて安定しづらいようなので、竹ペグを作ってきました。文字通り竹で作ったペグで、見よう見まねで自作しました。これを雪の中に埋めてテントと繋げます。雪の中に横に埋めて使うのですが、サラサラすぎる雪ではなかなか固定できません。スコップで掘って竹ペグを埋め、踏み固めてようやく安定させることができました。スコップを持っていってとても重宝しました。

後になって知ったのですが、竹ペグは十字にして紐で繋いで使うもののようでした。一本では安定しにくかったのですが、固定はできました。
いくつか折れてしまったり安定しづらかったので、もう少し雪中のペグに関しては再考の余地があります。

やはり雪中だと普段と勝手も違い、気温は−10℃近くなので素手ではなく手袋をしながらなので、結構設営に時間がかかりました。
雪山では手袋を外して作業することは、凍傷になる危険もあるので、ほとんどありません。というか、してはいけない行為になります。

テントを張って荷物を整えるまで、約1時間でしょうか。
もうお昼を過ぎてしまったので、コンビニで買ってきたおにぎりを食べ、小屋のすぐ後ろにある高見石に登ってみます。

高見石から高見石小屋、遠くに中央アルプスが見える
高見石から見える白駒池、左奥に浅間山

さてこれから、白駒池に向かうことにします。予定よりも時間がかかってしまったので、予定していたルートは変更する必要がありそうです。

高見石小屋から森の中の道を下り、白駒池に向かいます。
昨年の夏に来た時は、苔の森が広がっていました。
今は苔は雪に埋もれて、また違った美しい冬の森が広がっています。

白駒池に着くと、池は全面凍結して一面雪に覆われています。
トレースがいくつもあって、その上は歩きやすいのですが、せっかくだからワカンを付けて新雪の上を歩くことにします。

フカフカ、サラサラの雪がとても気持ちいいです。寒いので、服にも靴にもくっつくこともありません。

予定では、ニュウに登ろうかと思っていたのですが、時間的に難しくなりました。
池をぐるぐる周ったり、スケッチしたりしてゆっくりテン場に戻ることにします。

今回はピークを目指すことが目的ではなく、北八ツの冬の森を楽しむことが目的です。

冬の青苔荘の雰囲気も確認したかったので、向かってみることにします。

青苔荘

樹林帯の道はあまりトレースがなく、ワカンを付けていても歩きづらいです。スノーシューのほうが、もっと歩きやすいのかもしれません。
青苔荘は、夏場とても雰囲気がいいなと思っていて、テントで泊まりに来たいと思っていました。
冬の青苔荘のテント場も森に囲まれて静かそうで、とても良さそうです。

青苔荘から再び樹林帯の帰り道は、歩きづらいので池を横切って、白駒荘まで歩くことにします。凍った池の上、深い雪の中を進みます。
最早、池の上というよりは雪原です。
トレースがないところを進んだので、振り返れば、後ろに自分が歩いた跡だけが残りました。

自分が付けたトレースを振り返る

ワカンは昨年から持っていても使うことが一回もなかったのですが、新雪の中初めて使ってみて、とても歩きやすく気に入りました。

さて、白駒荘付近に戻って、スケッチをしようと池の上に座り込んで、スケッチブックと鉛筆や水彩絵の具を出します。

筆に水をつけていざ描こうとしたら、たちまち筆が凍ってしまいました。
気温は−10℃位、当たり前と言えば当たり前なのですが、すっかりそんなことに気づかなかった自分に苦笑しました。
仕方ないので鉛筆だけでスケッチしました。

凍って描けなくなった絵
池の上の影
池の上を歩く登山者

日が暮れる前、16時にはテン場に戻りたいので、そろそろ高見石小屋へ向かいます。
登山の時は大概、下山を15時位までにしています。暗くなってしまったら危険だし、不測の事態を考慮して15時下山で予定を組むことにしています。

ただ今回はテン場まで近いので、少しゆっくりしました。
行きとは違う道をぐるりと回って帰ります。
陽が傾きかけた時の森の光がまたきれいです。

テン場に戻ったらビールを飲むぞと、意気込んで登って帰ります。
トレースはしっかりとあって歩きやすいです。

山小屋にビールは売っているだろうか?
ちょっと心配になりつつ、でも楽しみにしながらせっせと歩きます。

山小屋に着き、すぐビール2本を買って今日の山行は終了です。
山の上で飲むビールは、下界で飲むビールよりも格別に美味しいのです。
この為に登っていると言っても過言ではありません。

ビールは1本550円、山小屋で買えることに感謝しながらいただきます。

テン泊で飲むビールは最高

続く。


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