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型にあてはめる司法試験の機械的勉強法~事前準備で合格は勝ちとれる~

1.はじめに

皆さん、はじめまして!
私が司法試験に合格し自分の順位を見た際、まず一番に思ったことは、「俺のこんな答案でこの成績がとれるんや。」といった感想です。
私が自己の答案を「こんな答案」と表現しているのは、司法試験突破のため、本当に必要最小限の教材と方法論に絞り、それを周回したこと「しか」努力しなかったからです(※もちろん、その周回のためには多くの勉強時間を費やしました。ここにいう「しか」というのは、方法論としては非常に単純なものであったということを意味しています。)。
そこで、本記事では、「こんな答案」を書くための非常にシンプルな方法論を皆さんに紹介し、皆さんの勉強の一助となることを目的としています。
また、短答も151点と、そこそこ高得点で合格することができましたので、需要があるかは分かりませんが、短答の勉強法も一応紹介しようと思います。
以下では、これらの勉強法を紹介するにあたって、私の司法試験の成績やプロフィール、その勉強法に至るまでの過程などを記述させていただきますが、「どんなやつが勉強したとかどうでもええねん。勉強法だけ教えてくれや。」という方は、目次の4まで飛んでいただければ、本記事で皆さんに紹介したい必要最小限の情報はお伝えできるようにしておりますので、その旨ご了承ください。
この度は、皆さんの司法試験の勉強に向けたご参考としていただくため、一生懸命記述しますので、駄文ではあると思いますが、最後まで読んでいただければ幸いです!

2.成績及びプロフィール

成績は、以下のとおりです。

総合 957.27点 495位
論文 460.72点 578位
短答 151点 139位 
公法系 92.04点 1724位 
民事系 194.67点 222位 
刑事系 115.02点 663位 
労働法 58.98点 177位

憲法 B
行政法 D
民法 A
商法 A
民事訴訟法 A
刑法 A
刑事訴訟法 A
労働法 A

まずは、どのような勉強法で司法試験に合格したのかという方法論の前に、その方法論を実践した私は、どのような頭(能力)の持ち主であるかについて、本章で紹介させていただきます。

私は、中卒の両親の元に三男として産まれ、長男は偏差値40弱の高校卒、次男は中卒、四男は専門卒といったように、決して勉強が得意とはいえない家庭で育ちました。
私も勉強が嫌いであったことから、司法試験の勉強を始めるまで、ほとんど勉強したことがなく、普通の公立の小中学校を卒業し、偏差値55程度の高校を卒業、大学も偏差値55程度の私立大学を卒業するといった、本当に平凡な学生であったと思います。
ただ、幼少期から、物事の理解力や説明力、文章力、記憶力はたびたび褒められていた経験があったため、周りよりも少し地頭は良いんだろうといった自覚はありましたし、少しおこがましいですが、実際ロースクールに入学して旧帝大卒や有名私立大卒の友人ができ、その友人と一緒に勉強していく中で、さほど地頭が劣っていると感じたことはありませんでした。
ので、私は、私自身を、勉強できない少し地頭の良い奴程度に自覚しておりました(笑)

このような私でしたが、上述のような成績で司法試験に合格することができ、自分で言うのもなんですが、一応上位500位以内に入っているので、一応ギリギリ上位合格を果たすことができたと自負しています(笑)

私は、学部4年の3月に司法試験に向けた法律の勉強を開始しました。それまでは、学部の定期テストで点を取るだけの、いわゆる一夜漬け暗記の勉強しかしていなかったため、テストが終わればこれらの知識は総じて抜けてしまい、学部4年の3月に勉強を始めた時点では、憲法の三段階審査、民法の信義則、刑法の緊急避難といったこれらの用語すら説明できないうえ、下四法については何も知らないといった状態からのスタートでした(笑)
そこから、約8か月の勉強で大阪大学法科大学院既習コースに合格し、その2年後、ストレートで司法試験に合格したという経緯になります。
以下で私の実践した勉強方法を詳述していきますが、実際、司法試験に向けての実のある勉強ができるようになったのは法科大学院入学後でしたので、「同じような成績で合格できればええから、その勉強法をはよ教えてくれ。」という方は、しつこいですが、目次の4に飛んでいただければと思います(笑)

3.法科大学院入試合格までの勉強

私は、学部4年の3月に勉強を開始した時点で上記のような壊滅状態でしたので、とりあえず予備校の基礎講座をとることを決め、アガルートの総合講義300を受講しました。
結局総合講義300は1周しか聞かなかったのですが、1周受講した状態としては、「だいたいゆっとることは分かる。」といったような、民事訴訟法の複雑訴訟のような難解な部分を除いては、だいたいの内容は理解しているといった状態でした(もちろん、答案に落とし込めるといったレベルの理解ではありません笑)。
総合講義300の受講が終わったのが6月ぐらいでした。そこから約5か月で、基本法律科目について、一定のレベルの答案を揃えないといけないという現実に直面した時、「これはロー浪人覚悟せなな~。」と、浪人することも視野に入れ始めていました(笑)
それでもなんとかストレートで入学したいという思いの中、司法試験の勉強法についてネットサーフィンをしていると、「司法試験はとりあえず演習と暗記や。」ということを謳っている方が多かったため、「とりあえず演習なんやな。」と、脳死状態でアガルートの重要問題習得講座の教材をメルカリで購入し、その後は重問を解きまくるといった方法で勉強を進めました。
このときは、本当に右も左も分からない状態でしたので、問題を見る→解説・解答を読んで理解する→たまに写経する→次の問題にいく、といった流れで勉強していましたが、司法試験に向けての実のある勉強はできていなかったなといった感想です。
ただ、幸い当時の法科大学院入試のレベルはそこまで高くなかったみたいで、入試問題も重問の事実量を少し増やしたぐらいのものも少なくなかったため、このような状態でそのまま法科大学院入試に突入したのですが、ギリギリ下位10%程度の成績で合格し、入学者の中ではほぼ最下位ぐらいの順位でギリギリ阪大ローに入学しました(笑)
ちなみに、法科大学院入試合格後は、「俺そんなに勉強してないのに、阪大のロー受かるとかめっちゃ頭ええんちゃん!」と浮かれていたため、法科大学院入学までは全く勉強しなかったこと、また、時間のない中で本当にギリギリの合格を果たしたレベルの知識であったことから、法科大学院入学時点で、「民訴は民事訴訟の手続き定めた法律で、刑訴は逮捕状出す時のやつ」「商法?会社法?どっちが司法試験の科目なん?」「処分性?行政裁量?それ重要なん?」といったレベルでした(笑)

4.法科大学院入学後の勉強

1.勉強法のメンターに出会う

法科大学院入学後も、引き続き右も左も分からない状態でむやみやたらに勉強を進めていたため、「このまま2年勉強してホンマに2年後司法試験受かるんか?」と少し悩んで?いた時期がありました。
そんな中、司法試験合格までの勉強法の基礎を教授してくれたローの同期に出会い、そこからというもの、ロー1年目の5月から2年2か月後の司法試験までは、その勉強法を少し自分流にアレンジした勉強法のみを実践し、司法試験合格を勝ちとることができました。

2.論文勉強法の具体的内容

  1. 総論
    前置きがかなり長くなりましたが、具体的にその勉強法を紹介していきたいと思います。
    一言で言うなら、「ほぼ全ての科目又は論点ごとに答案の型を決め、それを徹底すること」です。
    よく「憲法、行政法には答案の型がある」などといわれる方をちょくちょく見受けますが、私の勉強法(持論)は、全ての科目ないし論点について答案の型を設定し、それを司法試験の現場でコピペできれば、十分に余裕をもって合格することができるだろうということです。
    そして、私の勉強法の強み(特殊性)は、あてはめについてまで型化してしまうといったところです。
    つまりは、演習を重ねるなかで、参考答案にでてきたあてはめの観点や要素を論証集や型ノートに書き込み、問題提起・理由付け・規範はもちろん、あてはめの観点や要素、その言い回しまでをも型とし、暗記するといった方法になります。
    司法試験に向けて演習を繰り返していく中で、あてはめにおいても、科目又は論点単位で、同じような観点や要素からのあてはめが求めらていることに気がつき、そのような考えに至りました。
    私は、自分自身のことをめちゃくちゃ頭が良い方だとは思っていませんでしたので、司法試験というめちゃくちゃ緊張する場面で場当たり的に答案を書いていくことは絶対嫌だと思い、機械的に答案を作成すれば合格できるための事前準備をしようと考え、暗記はかなり大変でしたが、このような方法論をとることを決めました。
    もし、同じような考えの方がいらっしゃれば、かなり有益な考え方を提供できるんじゃないかと考えています。
    ちなみに、以下の勉強法は、予備校の基礎講座を1周受けてみて、なんとなく理解できたという状態の方で、次に演習のフェーズに入る方を想定しています。

  2. 労働法
    労働法は、刑事訴訟法と似ており、各論点ごとに答案の型が決まっているイメージになります。なので、おすすめの教材である加藤ゼミナールの労働法重要問題100選講座を解き、その解答例で出てきた答案の型を抽象化したものを使うことをオススメします。
    そして、そこで出てきたあてはめの方向性や要素を各論点(型)ごとに集約していき、それを暗記すれば十分合格答案を作成できると思います。
    ちなみに、私は、「労働法はじめまして」の状態から、この勉強法を約2か月実践したところ、TKC主催の司法試験直前模試で、上位10パーセント程度の成績を残すことができましたので、非常におすすめです。

  3. 憲法
    憲法は、上記の意味での型(あてはめの内容まで型にする)を徹底するのに非常にそぐう科目です。
    いわゆる三段階審査が有名だと思います。基本的には、私もこの方法で答案を書いていましたが、さらに加えて、同じ三段階審査でも人権ごとに少し書き方が異なる部分や、審査基準定立・あてはめの段階において、少し思考の方向性や要素が異なりますので、人権ないし条文ごとに型を設定していました。
    そして、少し書き方が特殊な、平等原則・政教分離原則・検閲・差止系・私人間効力・31条系・生存権などは、別の型を用意していました。
    司法試験の過去問10年分、伊藤塾のペースメーカー答練数通を解いた所感として、憲法については、特に、あてはめの観点や要素が明確な科目だと感じています。例えばですが、審査基準を定立する際には、基本的には権利の重要性と規制態様を考慮しますが、これらの用語の具体的な内容もほとんど過去問等で網羅されていると考えています(規制態様でいえば、許可制と届出制、一律禁止と一部禁止などなど)。
    そこで、結論としては、まずは、人権(条文)ごとの型を三段階審査にそぐう形で設定し、審査基準定立・正当化のあてはめの部分についても、その方向性や要素・文言を書き込んでいくといった形になります。

  4. 行政法
    処分性・原告適格・行政裁量については、ほぼ完全な型が出回っていたりしますので、憲法の型を作成する上記の作業でいうところの、あてはめの部分を型化していく形になります。
    また、行訴法の訴訟類型については、要件をどの順番で検討するのかといったことを決めたうえで、その中で要件の定義や解釈を書き込み、またそのあてはめの要素や文言を型にしていきました。
    そして、その他にも、行政法では、手続違法や品川マンション事件など、たまに出てくるが多くの受験生が書けるものといった論点から、附款などの細かい論点までありますが、これらについても、答案の書き始めからどの条文を引用し、どのような問題提起でどのように規範を導きあてはめていくのかといったところまで型にしていきました。
    一般的にも、「行政法の答案には型がある」といわれるぐらいですので、頻出分野だけでなく多くの論点について、定式化しやすい科目だと思います。

  5. 民法
    請求権パターンが有名だと思いますが、民法については、この考え方(型)一本で十分合格答案を作成することができると思います。
    そして、この考え方は、要件事実的発想が基になっており、そのテーブルにのっけて答案を作成していくことになりますので、請求→抗弁→再抗弁の流れや、その主張立証責任の所在などの最低限の知識は正確に確認しておきましょう。
    請求権パターンでは、請求の根拠を明示してその要件を検討→抗弁の根拠を明示してその要件を検討→再抗弁・・・といった流れで論じることになりますが、民法の場合、ここに出てくる請求や抗弁、再抗弁に各条文や各論点があてはめられることになります。
    例えば、所有権に基づく土地明渡請求を例にとると、同請求は「206条」が根拠となりますのでこれを明示し要件を検討→対抗要件具備による所有権喪失の抗弁なら「177条」を、占有権原の抗弁なら「601条」を明示し要件を検討→背信的悪意の再抗弁なら「177条の第三者」の解釈で論じ、占有権原喪失の再抗弁ならその終了事由等の「条文」を明示し要件を検討→→→
    こんな流れで論じていくことになりますので、民法については、各条文・各論点が、請求・抗弁・再抗弁などのどこに位置付けられるのかを正確に確認したうえで(訴訟での主張反論の流れをイメージする)、それらいずれかの場面で論じる際に、どの要件をどの順序で論じるのか・その定義や解釈をどう書くのか・そのあてはめについてどのような要素を引用するのか、といったところまで型にしておきましょう。
    半年ほど前の受験生時代の薄い記憶になりますが、民法の論点については、ごく一部の論点を除き、ほぼすべて、各主張段階ないし各条文の要件に位置付けることができましたので、どの論点をどこで書くかということはしっかりと確認し記憶しておきましょう。

  6. 会社法
    会社法も、発想自体は民法と同じになります。
    請求・抗弁・再抗弁のどこで何を書くのかをしっかりと整理していきましょう。
    会社法の場合、831条や828条など、訴訟類型とその要件を明示してくれているので、基本的には各条文に列挙された要件等について、上記で述べた作業と同じことをやることになります。
    ただ、会社法の1つ厄介なところとして(特に任務懈怠)、推定規定が多いことや、ある条文の要件を検討するのためにまた異なる条文を引く場面が多いこと(429条の任務懈怠の検討で362条を検討する)などがあげられると思いますが、これらの厄介なところも、とびとびで読みづらかった条文も、試験までに一度整理・精読して型にしてしまうことで、そのノートを見れば、どこに各要件の推定規定があるのか・各条文をどこで検討するのか、といったところまで正確に抑えることができるようになります。
    あと、会社法については、事前の請求と事後の請求を列挙したノートも作っていました。これも、問題を見た時に、場当たり的に条文を探すのではなく、事前の差止請求だからこの条文とこの条文を検討すればよいと分かるように、整理していました。
    また、会社法では、ちょくちょく手続の流れを聞いてくる場面があったり、直接的には聞いてこないが、その検討が必要な場面があると思いますが、これについては、手続の流れを列挙したノートを作っていました。

  7. 民事訴訟法
    民事訴訟法は、処分権主義・弁論主義・既判力などの重要概念の理解を深く問われるとともに、「ホンマにこれ何聞いとんや?」というようなマイナーな条文や論点(管轄など)が出題されることもあってか、皆さん苦手とされている科目だと思います。
    たしかに、まったくアタリのつけられないような問題も出題されますし、重要概念について考えたこともない角度から問われることもあります。
    私も、司法試験の民事訴訟法が終わった後、「これはⅮぐらいやろな~。やらかした。」と思っていましたが、実際はA判定でした。
    しかし、まず、ここでなぜ、私はE判定ではなく、Ⅾ判定だと思ったのか。
    それは、設問1の問題が、重問にあった問題とほぼ同じといっていいほど類似した問題だったため、答案の書き始めから規範・あてはめまで、事前準備で行ったものを全て吐き出すだけのような問題だったからです。「この問題については絶対周りに書き負けないぐらいに書けた」と自信をもっていたから、設問2と設問3が壊滅的であっても、Ⅾ判定と思えたのです。
    そして、実際、ふたをあけてみたら、Ⅾ判定どころかA判定。
    たしかに、設問2も設問3も分からないことだらけでしたが、司法試験までにそこそこ演習を読んだ受験生が、フツ~に問題文と誘導を読んでいれば、既判力の拡張と参加的効力の問題だということまでは分かると思います(正解筋だったかどうかは出題の趣旨・採点実感を読んでいないので分かりませんが、多くの受験生が書くであろう筋で自分も書くことが、相対的に沈まないことが重要な司法試験においては何よりも重要だと思います)。
    そこで私は、型ノートにまとめて事前に準備していた型を吐き出すこととし、既判力の範囲確定→既判力拡張原則否定→信義則による拡張と、参加的効力の論証をそのまま貼り付けました。司法試験後友人と会話してはじめて気づいた、事案の特殊性や不都合性などはほとんど論じていません。
    そうすると、私は、結局設問1から設問3まで、事前に準備した基本的な型と論証を張り付けただけで、当日わけのわからなかった民訴法でも、A判定をとることができました。
    ここで伝えたいことも、今までお伝えしてきたことと全く同じです。
    少し特殊なように思える民事訴訟法でも、まずは、頻出の重要概念について定義・問題提起・理由付け・規範・あてはめまでの一連の型を作成し記憶、次に論点ごとに、問題提起・理由付け・規範・あてはめまでの一連の型を作成し記憶することが重要だと思います。
    ここで、今まで述べてきた民訴法の特殊性を自分で否定するような書きぶりになるかもしれませんが、民訴法の型ノートを作成していくと、意外にも、各論点について、定式化された流れがあることが分かっていきました。
    なので、ホントにごく一部のやばい問題を除いて、上記と同様の勉強法で民訴法も対策できると思います。そして、そのホントにごく一部のやばい問題は、本当に誰も書けませんので大丈夫です。

  8. 刑法
    刑法は、よく書きやすい科目だといわれますが、私もその通りだと思います。
    おおよそ、構成要件→違法性→責任の順で検討すればよいからです。
    ただ、その分、周りの受験生も一定程度の答案を仕上げてくるので、周りの受験生に書き負けないようにする必要がありますが、私のいうここでの「書き負けない」は、論述の正確性です。
    今まで述べてきたように、検討順序の徹底が何よりも重要です。
    まず、違法性・責任については、各犯罪類型ごとに検討することが変わる部分ではありません。記憶が薄れているので、確かか保証できませんが、違法性は、正当行為・正当防衛・緊急避難・被害者の同意・自救行為を、責任は、原因において自由な行為・誤想防衛を、検討するのみですので、この要素は正確にストックしておきましょう。
    そして、これらも上記と同様に型化します。
    次に、構成要件については、犯罪類型ごとに検討することが異なりますので、犯罪類型ごとに(イメージは会社法や行政法の訴訟類型の整理と近いですね。)要件の検討順序とその定義をおさえ、各論点の論じる場所を各要件に位置付けることで十分です。
    構成要件の検討で気をつけることとして、客観的構成要件はもちろん、主観的構成要件の検討を絶対落とさないようにしましょう。
    私は、客観的構成要件の検討が終わった後、必ず「甲は、上記一連の事実を認識しているので故意が認められる(38条1項本文)」という一文を書くルールを作っていました。
    刑法ではほかの科目に比べて、ところどころ「これどこで書いたらええんや?」っていう論点が出てくるのですが、それはローの教員や司法試験合格者の先輩もしくは友人などに聞きましょう。

  9. 刑事訴訟法
    刑事訴訟法は、過去問の焼きまわしです。
    他の科目は、基礎問(網羅性の高さから重要がおすすめです)などで網羅性を高めてから過去問に取り組むことをオススメしますが、刑事訴訟法は、出題されうる論点が少ないうえ、過去の出題趣旨と採点実感でこのように書いてくれといった司法試験委員お墨付きのメッセージがありますので、刑事訴訟法については、いきなり過去問に着手し、それを基に勉強するといった方法でも良いかなと思います。
    刑事訴訟法は、各論点単位で型を作成し、あてはめの方向性や要素もそこまで多くないため、私の勧める勉強法に非常になじむ科目だと思います。

  10. 教材
    最後に、用いる教材や周回の数・具体的な方法などについて紹介します。
    行政法、民法、民訴法、刑法は、重問を3周以上回し、過去問を5年ほどこなせば十分かと思います。
    1周目はゆっくりで構いませんので、演習をしながら型を作成していきましょう。2周目、3周目は問題を解き、自分が作成した型通りに事案を処理できたかを確認し、また新たに気付いた点については型に加筆していきましょう。それが終わったら過去問を解いてみて、出題趣旨・採点実感に書いてある、答案に使えそうな要素・文言もまた型に加筆していきましょう。その後も時間の許す限りで重問を周回しましょう。
    余裕があれば、刑法については、刑法事例演習教材(司法試験のネタ本といわれます)を、行政法については、事例研究行政法を使ってもよいと思います!
    私も使う予定でしたが、時間がなく使えませんでした(笑)
    会社法は、事例演習教材と過去問で十分だと思います。周回数ややり方は上記と同じです。
    憲法、刑訴法は、まず、新司法試験の過去問を全て解き、それを基に型を作成し、2周目、3周目と周回しましょう。上記のやり方で、教材が新司の過去問に変わったイメージです。
    そして、余裕があれば、刑訴法については、古江先生の事例演習刑事訴訟法を読んで型に集約したり、重問を解いて網羅性をあげることを、オススメします。
    労働法は、上記のやり方で、加藤ゼミナールの労働法重要問題100選講座を周回すれば十分で、過去問は答練的な使い方で良いかと思います。
    ちなみに、答練については、司法試験の1年前ぐらいから、上記の勉強と並行して解くことをオススメします。
    上記の勉強法では、初見の問題に出会うことがなくなるため、答練を使って、自分の作成した型がどの程度実際に通用するのかを試す良い機会になりますし、型に集約すべき新たな情報に触れることができるからです。
    また、大手予備校の答練は、翌年の司法試験の出題予想もかねて出題されており、これがぼちぼちあたるので、司法試験に出題された際に型を固めておくといった意味でも、取り組んでいた方が良いと思います。

3.短答勉強法の具体的内容

  1. 教材
    3科目全てについて、過去問集と判例六法のみを使っていました。
    正直どの過去問集も解説の内容等に変わりがないと思ったので、私は、一番価格の安かった早稲田経営出版の過去問集を使っておりました。

  2. 勉強法
    問題を解く→全ての肢について理由付け・結論が分かったうえで正解した場合は〇、1つでも理由付けないし結論が分からない肢があるが正解した場合は△、不正解の場合は×をつける→解説を丁寧に読む(〇だった場合も)→そこで出てきた条文・判例を判例六法にマークし読む→次の問題に進む
    以上の流れで、過去問集を1周し、2周目以降は△と×の問題だけを解いてそれらを〇に変えていき、最終的に全ての問題を〇にするようにしましょう。
    そして、全ての問題が〇になれば、また同じように過去問集を1周→△と×の問題を解いて〇に変えていく、といった流れで周回しましょう。
    そして、マークだらけになった判例六法を、分野ごと(民法なら総則・物権・債権など)に、マークした箇所のみを読んでいきます。ここでの分野の分け方は、人によって判例六法の素読にさける時間が異なると思いますので、各自適切に設定しましょう。
    ここで「マークした箇所のみ」とありますが、過去問集をやり終わるとほぼ全ての条文にマークがついているので、手薄になる分野は少ないと思います。
    そして、直前3か月前ぐらいから、マークした箇所以外の条文も目を通すようにしておきましょう。毎年、少しだけ新たな条文が出題される傾向にあります。その際、出題予想等で出題が予想されている条文や判例(令和5年でいうと民法の所有者不明土地管理制度)などは厚く目を通すようにしましょう。
    私は、司法試験合格までに、過去問集を直前半年で2周、トータルで4周、判例六法を直前2ヶ月で1周しました。
    判例六法は、なにせ分量が多いので、周回数を稼げないことをそこまで気にする必要はなく、一番重要なのは、過去問集を完璧にすることなので、その点はあまり気にしないようにしましょう。

5.さいごに

ここまで記事を読んでいただきありがとうございます!
冗長に話していたところや、蛇足なところもあったと思いますが、少しでも、私の勉強法を役立てていただければ幸いです。

この記事に書いていた勉強法で、受験生時代にまとめていたノートを別記事の方で販売しております。
サンプル画像なども貼っておりますので、少しでもご興味のある方は、そちらを是非のぞいてみてください!

また、この記事を読んだり、まとめノートを読んだだけでは、いまいち勉強法が分からないという方や、勉強の内容について教えてほしいという方がいらっしゃいましたら、個別指導の方も受け付けておりますので、以下のメールアドレスにご連絡いただければと思います!
受講方法や受講回数、受講料について、個別具体的な事情(経済的状況など)を加味したうえで、柔軟に決定させていただければと思います。

kmkm71368@gmail.com

以上になります!ありがとうございました!

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