社会人のいろは!?〜「あなたの顧客は誰ですか?」編〜
「あなたの顧客は誰ですか?」
配属2日目、始まった新人研修で支配人から真っ先に聞かれたことである。
考えるまでもなく、顧客はゲストである。答えた私に支配人は続けて質問を投げかけた。
「では、もう1人の顧客は?」
全くの想定外である。
すぐに分からないと答えるのは考えていないと同義なので好きではないのだが、頭をフル回転させても出てくる文字は「わからない」の5文字(思考停止)。
そんな新人(私)を横目に、支配人はホワイトボードに”会社”と書き加えた。
・ゲスト⇒”私たち”へお金を払ってくださる
・会社⇒”私”へお金を払ってくださる
「どんな仕事に就いたとしても、あなたの顧客に”会社”があることを忘れてはいけない。」
これが社会人になって1番最初に学んだことである。
決して会社からお願いされて働いているわけではない。
自らお願いをして働かせてもらっているわけであり、そこに対する敬意を忘れてはいけない。
敬意が欠けた人のもとにはチャンスは回ってこない。
パッと言語化できない時点で分かっていなかったわけであり、支配人の説明に深く納得している中、もう一つの質問を投げられた。
「では、サービスとホスピタリティの違いは説明できますか?」
ホスピタリティは得意分野である。
なんてったって、私が卒業した観光学部は(Tourism and Hospitality Management)である。
余裕をかましている最中、あることに気が付く。
”いや、言語化できねぇ...。”(ここまで僅か0.7秒)
またもや俯き気味に分かりませんと答える私へ支配人は丁寧に説明をしてくださった。
(あまりにも恥ずかしいので学位を返納したい)
■サービスとは、1:多数に対して行われるもの
事前に決められた物をマニュアルに沿って提供するもの。
■ホスピタリティとは、1:1に対して行われるもの
事前に決められたものではなく、ゲストの様子や心理を伺った上で、ゲストが求めているものを汲み取り提供するもの。
多くの人に同じものを提供するサービス(公)に対して、
あなただけのために提供するホスピタリティ(個)である。
私が働くホテルはホスピタリティの最たる場所であり、常にゲストの真理を読んで行動することが求められる。
その為、決まったマニュアルは存在せず、人によってやり方が全く異なる。
そのこと自体は簡単であっても、それにすべてのお客様が満足してもらえる域に達する必要がある。
つまり、常に試行錯誤が求められ、目の前のお客様を満足させるという意味でも、同じ作業であっても、全く同じではないということである。
これは、最初の「あなたの顧客は誰ですか?」という問いに繋がる。
もう1人の顧客である”会社”に対してもホスピタリティを持つ必要がある。
それは、社長であり・上司であり・先輩であり・同期・ステークホルダーの方々に対してである。
”どうやって自分の顧客になってくれるかを常に考えて行動する。”
文字で見るとシンプルであるが、実は奥深い一文である。
私の社会人生活は一歩前に踏み出した。
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