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下北沢B&B 嶽本野ばら×ヤマダトモコ×西野木ショーン 「拝啓 吉祥 寺の大島弓子さま」『大島弓子 fan book ピップ・パップ・ギーととなえたら』刊行記念トークイベントに参加しました(長いー) 前編

先だってユニコのオールカラー漫画刊行の先行販売から間をおかずにまた漫画関連のイベントに参りました。

嶽本野ばら×ヤマダトモコ×西野木ショーン各位 豪華な顔ぶれ…
野ばら先生は言うに及ばず、ヤマダトモコ史は漫画、特に少女漫画関連の本を色色出されている方です。西野木氏は今回のfanbookの編集の方です。

ユニコのときは場所が銀座だったので、心理的に遠いなあと思ったのですが今回は下北沢なのでちょっと浮き足立ってまいりました。
16時頃に家を出て到着したのは18時頃。
その前に一回阿佐ヶ谷に立ち寄って整骨院寄っているので阿佐ヶ谷→下北沢で一時間くらいですね。久しぶりすぎて新宿まで出てー…どういくんだっけ? と考えていたんですが、普通に吉祥寺まであとは井の頭線が運んでくれるのでした。井の頭は久しぶりでした。午前中だったら桜が咲いていたのかもしれない。

B&Bは駅の南口を出てすぐのマクドナルド脇の路地を入り、ひとつめの角を曲がったところ。階段を上るとおされな雑誌が陳列されていて右手のドアを開くと木目の風合いを生かした店がそこにあります。

場所が場所だけに演劇関係も多かったのですが、園芸とか童話とかフェミニンな本もたくさんあって女子には嬉しい雰囲気。店の奥には図書館のようなテーブル席があって、ドリンク頼んで店の本を読むこともできるらしい。店の制服が決まっているのか決まっていないのかわからないのですが、店員さんの服装に統一感のあるルーズさが漂っていてよかったです。
才色兼備の若い女性がそのテーブルのノートPCに向き合いながら店員さんにあれこれ指示出してて、ノマドライターっぽい…? と思ってたんですが、あとで知ったことですが、B&Bの諸処のイベントを企画している発案者様だった。

一旦店の場所を確認する目的もあったんですが、とりあえず大島先生の関連本のありかを伺い、書棚の中にある本も教えていただいた。
早めに向かってよかったーと思う収穫がありました。
復刊ドットコムさんから出されている「綿の国星ケーキの本」です。

おお、このセンス! 写真も! 作中のポエミーな言葉とイラストを抜き出してイメージをお菓子に絡めてレシピにする少女向けの洋菓子本が80年代は色色あったんです。まさかそれが「綿の国星」で出ているとは知りませんでした。「綿の国星」で大島先生を知った自分には衝撃でしたし、復刊ドットコムさんありがとうー! という感じでした。

そもそも幼い頃ボロいアパートにうさぎ小屋みたいな状態で住んでいて自分のプライベートスペースどころか居場所も感じていなかった幼少期に「綿の国星」を教えてくれたのは二部屋隣の大工さんの娘のAちゃんという自分より二つ上のお姉さんでした。お姉さんといっても小学生なのですが、それでも小学低学年から見た小学中学年なんてもうスペシャル大人ですからね。Aちゃんは明るく強くかわいいし遊んでくれるので大好きなお姉さんでした。そんなお姉さんが教えてくれた素敵な漫画だったのです。初めて見た綿の国星の表紙のラファエルの美麗イラストには衝撃を受けましたし、ストーリーの不可解さ、「りぼん」では決して味わえない感覚に私は妙な罪悪感を覚えました。

けっして、この漫画を読んでいることは大人には知られてならない、そういう感じでした。お色気場面も何もないんですが、そういう感覚に訴えてくる物語でした。
今考えたら、当時の自分よりいい生活してやがるチビ猫をうらやんでいることを大人に知られては親を傷つけてしまう…みたいな感情だったんだと思うんですが、それだけではない哲学的な何かがそこにありました。そして、その哲学的な空気感と、チビ猫の異様な愛らしさ。小憎らしさ。原始的で怖いくらいの詩的存在。

ああ、そのちび猫の料理本が時間を越えて今ここに! と、束の間タイムカプセルを開いたような懐かしさに財布の紐を緩めていました。
いやでも本当にこういう再会ってありがたいですよ。当時はこういう漫画やファンシーなキャラのレシピ本って図書館でもたくさん置いていたんですが、母にねだっても作ってもらえませんでしたし。今ならその理由はわかりますが、今なら自分でやろうと思えばできるわけです。

この再会をもたらしてくれただけでも来てよかったのですが、まだイベントは先です。

とりあえず場所も確認したところで、もうひとつの目的地「JULYBOOKS」さんへ向かいました。

南口とは反対の住宅街を抜けたところにある書店で、今回のイベントあわせで大島弓子先生の初期の本を置いているとのことで、拝見しに参ったのです。下北沢といえば吉本ばなな先生の「もしもし下北沢」を思い出すのですが、駅まわりは工事がすすんでいて大きなクレーンが春の空に恐竜のようにそびえている。
養生されまくった歩道を渡りながら、ガードしたの飲み屋街を通り抜けて歩いていったのですが途中で迷ってしまいました。
魅力的なお店がたくさんあるんですが、住宅地に入るとIPHONEなしに前にすすめません。

JULYBOOKSさんは小さなお店ですが、どう考えてもこのラインナップは自分のためと思えるような本がたくさん並んでいました。綿の国星映画化の際のアニメのカラーピンナップが! それだけではなくミンキーモモ劇場本のノベライズ文庫(初版)や吉屋信子先生の御本「小さき花々」など、時間があったら「店長を呼んでくださる? お礼が言いたいわ」と呼びつけて土下座したいようなありがたさでした。

また行きたい…

時間がさしせまってきたので、ケンタッキーで一旦腹ごしらえしてB&Bへ戻りました。どうでもいいけどケンタッキーのビスケットって必ずその場ではビスケットだけ食べて蜂蜜だけ持って帰ってしまう。そしてパンに塗ってトーストしてしまう。


幸いなことにチケット交換の一番で受け付けてもらえたので、一番前の席に陣取らせていただきました。通常だったら遠慮して二番目くらいに下がる自分なのですが、何だか今回はもったいないような気になったのです。

注目すべきは客層で、参加者は本当に年季の入った大島先生ファンらしき年齢層の高い方々。印象的なのは夫婦で観覧に来ている方々がちらほら見えたこと。いいなあ、ああいう奥さんの趣味につきあったらしき旦那とのご夫妻。私はレズビアンなので男性と夫婦になることはないのですがなんか微笑ましいです。

自分の右手にはジーンズの似合うしゅっとしたおばさまが座って、本当にかっこよかった。通路挟んで左は野ばら先生のファンらしきロリータさんが。あとでわかったのですが、どうやらダイ○モンドカッターというお店(ビアンに有名なその手のお店です…私は行ったことないのですが)のスタッフさんだったようで…うむ。レズ受けするイベントなんだな…と内心感じ入る。

登場したお三方は終始和やかなペースでお話を進められました。

後編へ続く。


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