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中国のレシピサービス「下厨房」について調べてみた - データ編

1. 下厨房とは

下厨房とは中国で人気のレシピサービスです。
会員数は2億を突破、キッチンに関するサービス(レシピ、SNS、EC、料理教室)を多岐に渡り提供し、総合的なキッチンプラットフォームになっています。
ユーザーは「レシピ」「画像付き投稿(つぶやきのようなもの)」を作成することができ、レシピに関しては110万本、投稿に関しては5000万本を突破しています。
さらに驚くことに下厨房は研究所を持ち、自信のサービスが抱える2億を超えるアカウントのビッグデータを利用して消費トレンドなどの分析に役立てています。

軽く下厨房のイベントを振り返ると、

2011年03月:下厨房WEB版リリース
2011年07月:下厨房Android版がリリース
2011年09月:下厨房iOS版がリリース
2011年10月:登録アカウントが10万を突破
2012年06月:天使湾创投九合创投からの出資を受ける
2012年10月:联创策源挚信资本からの出資を受ける
2015年04月:登録アカウントが3000万を突破、レシピが30万件を突破
2015年10月:「市集」をリリース、EC事業に参入
2015年07月:华创资本と京东からの出資を受ける
2016年03月:レシピが50万件を突破

2. 市場背景

以下データは2018/06までのデータになります。

2.1 中国のフードアプリの浸透状況

アクティブユーザー割合

分析データを提供している易观千帆数据によると中国アプリ市場全体でのアクティブユーザー数は約9億8000万人にのぼり10億人近くあります。

その中で「美食」、いわゆる食に関するアプリのアクティブユーザーは約3894万人で全体の4%を占めています。さらにカテゴリを絞り、「美食社区」と呼ばれる食に関するコミュニティアプリ(今回の「下厨房」などCGMのアプリなど)のアクティブユーザーは2233万人で全体の2.3%を占めています。
またカテゴリでのユーザーあたりの平均アプリ利用時間は11.2分です。


2.2 中国のフードアプリのビジネスモデル

ビジネスモデル

「美食社区」と呼ばれる食に関するコミュニティアプリのビジネスモデルの主要なチャンネルは以下の4つです。

⑴ 広告(广告)
サービス内に広告を表示しユーザーに見せる
⑵ EC(电商)
食品(生鮮、加工食品、お菓子)やキッチン用品などを販売
⑶ データ提供(数据产出)
サービスで得たデータを販売、またそれを活用し他の企業の商品開発支援
⑷ 有料コンテンツ(知识付费)
本や、動画などのコンテンツを作成して販売する


3. サービス背景

以下データは2018/06までのデータになります。

3.1 主要データ

3.1.1 AppStoreランキング

2019/03/23のAppStore Chinaでの順位

AppStore Chinaでの順位AppStore ChinaでのランキングはTop Freeでは現在圏外になっていて、Food & Drinkカテゴリのランキングでは8位に位置しています。
上位のアプリを見てみるとフードデリバリーかフードチェーンの公式アプリ、食品ECのいずれかになっていて、レシピアプリとしては首位に位置していることになります。


3.1.2 アクティブユーザー

競合アプリとのアクティブユーザー数比較

月間アクティブユーザー数は1200万以上あり、同じジャンルのアプリの約55%を占め、圧倒的首位です。


アクティブユーザー数の推移(競合含む)

アクティブユーザー数の推移は堅調でしたが、1200万前後で頭打ちの様子となりましたが、競合アプリは右肩下がりで推移し、下厨房が圧倒的な強さを見せています。


アクティブユーザー数の推移(月間・日間)

グラフをみるとデイリーでは完全に頭打ちしている様子で、120万手前で推移していることが伺えます。
※聞いたところによると最新のマンスリーアクティブユーザーは1100万程度、デイリーは70万程度になっていると言われています。


3.1.3 時間毎のアクティブユーザー数

時間ごとのアクティブユーザー数

上の図は時間毎のアクティブユーザー数になります。昼の時間帯(11:01–12:00)と夜の時間帯(17:01–18:00)がピークになっています。


3.1.4 起動回数・時間・リテンションレート

起動回数(競合含む)・利用時間

デイリーの一人当たりの平均起動回数は2.2回で競合アプリの中ではそこまで高くないですが、一人当たりの利用時間では同カテゴリアプリの平均である11.2分を大きく上回る16.9分利用されています。


リテンションレート(30日後)

リテンションレートに関しては34.59%になっています。競合アプリの中でも高い数値であることは確かですが、「菜谱精灵」「豆果美食」などと差があります。


3.2 ユーザープロフィール

3.2.1 性别

アプリ利用者の性別に関しては女性が大多数の88.19%を占めています。中国では男性が料理する事も多いのですが、アプリの利用割合に関しては女性が圧倒しているのは興味深いです。


3.2.2 年齢

24歳から30歳の間のユーザーが最も多く、その理由としては中国でのこの世代の人は多くが大学を卒業し、社会人になったばかりで、料理経験がないことが理由一つとして考えられます。
一方でこの世代より上の世代は、すでに経験を積み、必ずしもレシピを見ないと料理ができない訳ではないことが考えられます。また、24歳以下のユーザーに関しては、そもそも料理をすることが少ない世代であるといえます。


3.3.3 消費

ここでは消費能力の高さで、ほとんどのユーザーが中程度の消費能力に当たるユーザーです。この中消費者たちは比較的時間があり、生活の質に対する要求が比較的高く、より良い食事やキッチン環境へのニーズが高い傾向があります。低消費者は生活の質に対する要求が比較的低く、料理を作るための時間が少ないです。また、高消費者は富裕層にあたり、そもそも料理をしないのに加えその時間もない人が多いです。


3.3.4 分布

ユーザーは上海などが含まれている長江デルタ、深センなどが含まれている珠江デルタ、北京を中心として华北地域に多く分布しています。これらの地域では若者が多く、消費能力も高いです。

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