20230420

 外に出ると、チーチーチルチュルという小鳥の声が竹林の方から聞こえてきた。メジロだ。そう思えたのは小川洋子の『ことり』という小説で全く同じようなオノマトペ表記が出てくるのを読んだからだった。そういうことが小説や映画を長く読んだり観たりしているとある――ということを理解するまでの人生経験もある程度必要だと思う――。それは世界への解像度が上がると言えばいいだろうか、毎年そこで同じように鳴いていたであろう、メジロへの関心や見方が変化したことで、わたしがこれまで生きていた世界と、いまわたしが生きている世界は意味合いを変えている。この日は、汗ばむほどの陽気で夏日と言っていいほど。もしかしたら、メジロは「あちぃな」と言っていたのかもしれない。

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