松尾模糊/BlurMatsuo
日々のことを徒然に
創作物をまとめました。
解体されつつあるモダニズム建築を巡る記録。
ひさびさに晴れて、日中は汗ばむほどの陽気だった。最高気温も二十五度を超えて、これから夏が来たらどうなるのだろうかと不安になるくらいに暑くなった。とは言え、晴れるということは気分的にはやはり嬉しいものだ。道端にも色とりどりの花々が咲き、モンシロチョウやアゲハチョウがひらひらと空を舞っているのを見ると、いくらか気分が高揚することは間違いない。 オリヴァー・ハーナマス監督、カズオイシグロ脚本の英映画『生きるーLIVING』を観た。黒澤明監督の名作を英国に舞台を変えてリメイク。オ
雨の一日。少し肌寒い気温で体調管理に気をつけなければならない。黒沢清監督の映画『ドレミファ娘の血は騒ぐ』を観た。田舎から出てきた娘が大学で心理学のゼミに通っている憧れの先輩に会いに来るが、自堕落で性に奔放な彼を見て幻滅する。そこで出会ったゼミの教師に「恥じらい理論」の実践の指南を受けるが……。伊丹十三がかなり渋い感じだった。コメディ要素高めという感じだが、シュールで最後は意味が取れず、どことなく不穏な感じも今の彼の作風に通じるところがあった。
雲の多い天気で夕方から雨も降った。職場の近くでボヤ騒ぎがあった。段ボール置き場の段ボールが燃えていた。消火器が使えなくなっており、職場にあった消火器を急いで彼らに手渡した。なんとか初期消火で火はおさまり、消防車が四台も駆けつけてその後も消火活動が行われてけが人も火が燃え移ることもなく鎮火した。 消火訓練で消火器の使い方に慣れていることはとても大事なことだと改めて思った。はじめは花火の匂いかと気づかなかったが、火事になるとああいう匂いがするのかと、一つ気づきがあった。
五月の文フリの原稿が佳境に入っている。締め切りも近い。間に合わないかもしれない、と焦っていたが、なんとか終わりが見えてきた。あとは推敲して完成させていきたい。入稿してから校正が入るのでまだ先はあるのだが、面白い小説になると思う。「ノワール」というのは挑戦だったが、なんとか乗り越えられそうで安心した。
雲の多い天気。夜には雨も降った。今年は雨が多い。今から梅雨が来ると思うと、気が滅入る。アニメ『怪獣8号』を観た。三木聡監督の『大怪獣のあとしまつ』という賛否を呼んだ映画があったが、あれの元ネタはこれだったのかと合点した。 怪獣を倒すヒーローに光が当たる反面、その後始末をする陰の存在、いわゆるエッセンシャルワーカーに焦点を当てているというのはなんとも現代的だし、導入だけだとしても評価すべき点だと思った。
マイケル・サルノスキ監督、ニコラス・ケイジ主演の米映画『PIG/ピッグ』を観た。山奥でトリュフ豚を育てていた男が豚を奪われ、取り戻すために街まで赴く話。その途中で彼からトリュフを買っていた若いオーナーが彼が伝説的な料理人だったことを知り、業界を牛耳る父親との意外な関係を知る。 それぞれが抱えた過去の問題と騒動を通して向き合っていく再生の話として鑑賞した。なぜか地下の賭博場で一分間ぶん殴られ続けるというシーンが唯一の謎だった。ニコラス・ケイジは何でもやるんだな、と改めて感心
風が強い一日。花壇などではチューリップやパンジーや薔薇など、色とりどりの花が咲いていて春爛漫といった趣きである。チューリップは小学生の頃に学校で育てた球根の思い出をみんな持っているのではないだろうか。だが、それ以降チューリップと触れ合う機会はなかった。実家では母がドライフラワーを玄関先に飾っていた記憶がある。 花鳥風月とはよく言うが、花に普段から慣れ親しむということがないので、その心がいまいち分からなかった。聞き覚えのない鳥の鳴き声が聞こえたりすると、気になるようにもなっ
雲の多い空模様で夕刻からは雨も降った。五月の文フリに出る破滅派新刊の原稿にかなり手こずっている。「ノワール」をテーマにした小説を書いているのだが、あまりその手の作品を読んでこなかったので勝手が分からない。資料として犯罪ノンフィクションなどを読んだのだが、あまりに凄惨で悲しすぎて気分が落ち込んでしまった。 ある事件を基にして書こうと思っていたのだが、事件自体が謎に包まれ過ぎていてフィクション部分が負うところが大きくなりそうだ。それも苦境の一因になっている。とは言え、なんとし
汗ばむほどの陽気で、これから来る夏が恐ろしく感じる。かと言って、陽が沈めばそれなりに寒くなる。この時期の服装はほとほと悩ましいものだ。つつじの花が綺麗に咲いていて、白や赤やら華やかなものである。おそらく、誰もが一度はつつじの花を手に取り、その根元を吸ったことがあるのではないか。あれは何なのだろうか? 誰に言われずともやって、中学生くらいになったら、もうそんなことはしなくなる。謎の行為だ
フェデリコ・フェリーニ監督の伊映画『81/2』を観た。高名な映画監督が新作映画を撮るために温泉地を訪れるが、スランプに陥り、愛人や妻を現地に呼び寄せて自身の半生を振り返りつつ映画撮影と幻想が入り混じるメタ的作品。 脚本家に辛辣な意見をもらいつつ、枢機卿なども現れ、哲学的、宗教的問いを描きつつ、中年的危機というか、恋愛や結婚観を行きつ戻りつ、温泉地の舞台装置を上手く使っている。
コーマック・マッカーシー『チャイルド・オブ・ゴッド』(黒川敏行訳、早川書房)を読んだ。一九六〇年代と思われるテネシー州の山中、貧困から家と土地を競売にかけられ、住処を失った天涯孤独の男、レスター・バラード。自分の家を取り戻そうと近辺の掘っ立て小屋に住み着きながら草陰からライフルを構えてその機会を窺う。やがて殺人と死姦の禁忌に溺れていく彼を三人称視点で淡々と描く。 バラードの行動を中心に、保安官や町の人々とのごく短い挨拶程度の会話以外は心象描写も一切描かれずに、殺人や死姦の
テイラー・シェリダン監督の米映画『ウィンド・リバー』を観た。実話をもとに創られた映画。インディアナ州の極寒地でハンターとして暮らす男が山中で若い女性の遺体を発見する。レイプによる裂傷が見られたためにFBI捜査官が派遣され、不慣れの地での捜索に男は協力を要請され、犯人を追う。ネイティブアメリカンは統計調査の対象になっておらず、行方不明者の数は不明のままであるらしい。こういう事件が氷山の一角であろうことを示すために監督はメガホンを取った。映画としても終始スリリングな展開で、エン
『イップス』を観た。ミステリ作家と刑事のコンビが事件を解決するというのは、ありそうでなかった設定で面白い。篠原涼子の食い込み気味のキャラと、バカリズムの冷めた感じのキャラの塩梅も絶妙だと思う。今期のドラマでは今のところ唯一まともに観れる作品だ。
ようやく春らしい天候に恵まれ、寒暖の差も落ち着いてきたようだ。平年よりはずいぶんと遅まきな春の訪れになった。とは言え、人々はこの春を待っていましたとばかりに公園でレジャーシートを広げてすでに葉桜になっている木の下で暗くなっても飲んで騒いでいる。大学なども始まって新歓コンパの時期でもある。道端に吐いた記憶が苦々しく思い出される。それも経験なのだろう。 中勘助『銀の匙』の読書会だった。大正期の東京で病弱だった幼少期から伯母の手によって過保護に育てられた視点人物の青年になるまで
今期のドラマの初回放送を観ていて思うのだが、幼少期や青年期に忘れがたい出会いをした者同士が大人になって再会する……というあれ、SNSが普及した現代ではもはやあまり共感を呼ばないのではないか。気になっていたらSNSで繋がっているだろうし、コロナ禍を経てオンラインミーティングも一般化した。そういうデジタルライフの側面が描かれていないように感じる。四十代に突入して思ったが、恐らく三十代で大体の人間関係は膠着してしまうのが普通なのではないか。あとは仕事上の関係で多少変化はあるかもし
ジュリアス・エイヴァリー監督の米映画『ヴァチカンのエクソシスト』を観た。実在したエクソシスト、ガブリエーレ・アモルトの回顧録『エクソシストは語る』の映画化。ラッセル・クロウがガブリエーレを演じているのだが、これがすごく良かった。ヴァチカンの教皇に仕えるエクソシストが実在していたというのは驚きだが、日本でも安倍晴明が居たことを考えれば当然かもしれない。ラッセル・クロウは伊語で演じ、ベスパに乗って雰囲気が出ていた。 物語としてはとても面白かったのだが、異端尋問が悪魔に乗っ取ら