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春季神奈川リーグ 総括



こんばんわ。Yです。

4月3日から始まった2021年春季神奈川リーグが5月16日に当初予定されていたリーグ戦が終了し、5月25日の関東学院大学vs桐蔭横浜大学の優勝決定戦をもって閉幕しました。まずは優勝した桐蔭横浜大学の皆さま、本当におめでとうございます!そして、6月の全日本大学野球選手権への出場おめでとうございます!優勝目指して頑張ってください!

今回は、2年ぶりの春季リーグが終了したという事で、春季リーグ戦を振り返るという形で1部校7チームの全選手成績などを元に書いていきたいと思います。

※敬称略です


桐蔭横浜大学

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昨秋はリーグ戦優勝と横浜市長杯優勝の二冠を達成させた桐蔭横浜大学。開幕戦をタイブレークの末サヨナラ負けで落とすという不穏なスタートだったが、このチームを救ったのが古謝 樹(②湘南学院)山崎 駿(②桐蔭学園)の両投手。古謝投手は開幕2戦目にリーグ戦初登板、初先発を飾ると7回までノーヒット投球という快投でチームを勢いづけると2週目からは各チームのエースが登板する1戦目を任されるようになると、最速145キロの真っ直ぐと切れ味抜群のスライダーで4勝を挙げて見事にフレッシュマン賞を受賞するなど昨年のエース・片山(現HONDA)を彷彿させるような投球は「エース」に相応しい投球だったのではないでしょうか。そして2戦目を任されたのがこちらも2年生の右腕・山崎投手。個人的に注目していた右腕がリーグ戦初先発を飾ると、球速自体は140キロ前半だが面白いようにバットを折っており、球速以上に力強さがあるのではないでしょうか。この2人以外にも伊禮 海斗(桐蔭学園)能登 嵩都(旭川大学)安積 航大(啓新)など2年生投手がデビューするなど下級生も経験を積むことが出来たのは大きいのではないでしょうか。


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正捕手、二遊間、4番が卒業し大きく陣容が変わった野手陣。昨秋に圧倒的な数字でリーグ記録を樹立した渡部 健人(現埼玉西武ライオンズ)の代わりとなる4番に入った吉田 賢吾(③横浜商科大学)が昨秋同様に打撃面で結果を出したシーズンとなった。今春は各校からのマークもあった中でリーグ3位となる打率.380を記録。打点数としては9打点を記録し勝負強さを見せた。また、1番を任された金井 涼汰(③樹徳)の存在も目立った。金井選手は打率.370でリーグ5位の打率成績を記録し、出塁した全23回のうち17回が得点に繋がるなど金井選手の出離が大きなポイントになっていた。実際に優勝決定戦でも初回、4回、7回、8回の4イニングで出塁したところ8回を除く3イニングが得点に繋がっており、優勝の立役者の1人と言えるでしょう。上記2選手以外にも5番の山田 翔斗(④東海大相模)が13打点を記録したり、内野の要として安定感のある守備を見せた平野 翔(中央学院)や打撃で存在感を出した吉田 晃誠(前橋商業)などの3年生の活躍もあり、昨秋のチームにも負けず劣らずのチーム力だったのではないでしょうか。



関東学院大学

惜しくも2位で春は終了となったが、優勝決定戦まで持ち込んだのはチームとしても大きな経験となったのではないでしょうか。


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エースの長島 光希(④健大高崎)が昨秋の40回1/3から43回まで投球回が増えたのにも関わらず、防御率が3.12→1.26と安定感が増して一皮むけた印象。昨秋から真っ直ぐの勢いはリーグの中でも上位のボールを投げておりチェンジアップも2種類を操るなど相手打者に的を絞らせない投球は今季も健在だった。今年の関東は長島投手以外にも大西 海翔(駒大苫小牧)嶋田 勘人(坂井)など昨秋から投げていた投手も多く残っていた。特に嶋田投手はリリーフに回り、試合終盤の緊迫した場面でも強気に攻めて相手打線を抑えており、経験のある投手が1人リリーフにいるのはチームとしても非常に助かるのではないでしょうか。


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毎年、強力打線を作り上げる関東学院大学。1年生の頃からの主力でもあった関 龍摩(現JFE東日本)古寺 宏輝(現HONDA熊本)らが卒業し、レギュラーが大きく変わった年になった。その中で一気に存在感を出したのが中野 雅人(④龍谷大平安)の台頭と松井 惇(④東海大菅生)の復活だ。中野選手は元々は内野手(主にショート)を守っていたが、途中から外野手へコンバート。OP戦で何度か観たことのある選手で打撃に関しては広角へ柔らかい打撃を見せるというイメージがあったが、今春のリーグ戦では3番に入ると勝負強さが一気に出て、打点王を獲得するまでに化けた。松井選手も1年秋に首位打者を獲得してからは試合自体には出ていたものの、成績自体はかなり落ち込んでいた状態だっただけに、打率.383を記録するなど復活と言っても過言ではないでしょう。昨秋の正捕手だった黒田 直人(②冨島)はファーストへ、ショートを守っていた大河内 陸斗(②作新学院)はサードでの出場になるなど、昨年とポジションが変わった選手もいたが、両選手共に昨年よりも打率を向上させるなど、スタメン9人のうち6人が打率3割超えという超強力打線は全国を見てもそうそういないだろう。秋もこの強力打線を観れるチャンスがあるので楽しみな部分は多いです。



神奈川大学

リーグ戦は優勝にあと一歩届かずの3位に終わってしまった神奈川大学。ただ、今後を見据えたときに「上級生と下級生の融合」が上手く図れたリーグ戦だったのではないでしょうか。

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上級生で3年生右腕の神野 竜速(西武台千葉)が大きく飛躍。1年生の頃から先発にリリーフと大車輪の活躍をしていた前田 秀紀(4年・聖光学院)が左脇腹の怪我により開幕戦で離脱をしてしまうというアクシデントに見舞われたチームを結果で引っ張り、春は7試合に登板し43回を投げ失点は僅か4と圧倒的な数字を残した。最速148キロの真っ直ぐとキレのあるスライダーで桐蔭横浜大学戦では5回を投げわずか1安打に抑えるなどしっかりと結果を残した。神野と同じく3年生右腕の川合 勇気(掛川西)もリリーフから本格的に先発を任されるようになり最速こそ神野にわずか及ばずの146キロながらも、強気の投球で勝ち星を挙げるなどこちらも存在感を示したのではないでしょうか。上級生2名の後のマウンドを引き継ぐ事が多かったのは石井 将吾(相洋)本田 眞也(相洋)の両1年生右腕。2人ともリリーフとして長いイニングというよりかは基本的に1イニングで、展開によっては2〜3イニング程度を投げて経験を積んだ。その中でも石井投手は2試合連続タイブレークでの登板を経験するなど、試合終盤の緊迫した展開で投げきれたのは前田投手や神野投手、川合投手などが通ってきたのと同じ道であり、岸川監督から将来の神奈川大の中心投手としての期待されているように感じました。



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野手ではNPBドラフト候補の梶原 昂希(④大分雄城台)が広角に打ち分けてリーグ戦3本塁打で見事本塁打王に。また打点数もリーグ3位の12打点を記録するなど勝負強さを見せてくれました。また土井 克也(③唐津商業)は全試合「4番・キャッチャー」としてスタメンフル出場。捕手として年間通じての出場はこの春が初めてでしたが、同学年の投手2名を筆頭とした投手陣を上手く引っ張りチーム防御率がリーグ1位を記録。打撃は序盤こそ好調も試合数を重ねると落ちてしまったのは課題だが、守備面での貢献度は非常に高かったのではないでしょうか。下級生では庄子 雄大(①横浜)が全試合ライトでスタメン出場すれば、吉沢 悠佑(①東海大相模)は出場機会こそ多くなかったが打率.375(8−3)と少ない打席数の中でもしっかりと結果を残した。出場機会こそなかったが江口 巨樹(①天理)も終盤の優勝争いをする桐蔭横浜大学との試合でベンチ入りを経験するなど、1年生からリーグ戦の雰囲気などを感じることが出来た選手が作れたのは今後を見据えたときにチーム力が落ちづらいのではないでしょうか。秋はNPB入りを狙う梶原に注目が集まり、相手チームからのマークもキツくなってくることが予想されます。その中で土井選手や庄子選手などがいかにチャンスを作り、相手に勝負させる状況を作れるかが鍵になってくると思います。


神奈川工科大学

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今シーズン4位で終えた神奈川工科大学。桐蔭横浜大学との開幕戦ではタイブレークの末サヨナラ勝ちするなど幸先の良いスタートを切れたようにも見えましたが、その後が連勝出来ずに鶴見大学以外との試合全てで1勝1敗で終えてしまうなど波に乗り切れなかった印象が残った。その中でも明るい話題は多く生まれたのは嬉しい材料ではないでしょうか。投手陣では浅野 能輝(④横浜隼人)が2年秋以来久々にリーグ戦マウンドへ戻ってきた事ではないでしょうか。1年春からリーグ戦登板しフレッシュマン賞などを受賞するなどエースと呼んでも遜色ない活躍を見せていたが、2年秋に1試合登板して以降ベンチ入りをしなかった試合も多かっただけに、リーグ戦経験のある投手が戻ってきたのは大きい。また、古堀 廉太(③多良木)工藤 佑太(③鶴岡東)が安定感のある投球で試合を作れば、平川 巧(③関東一)はリーグ戦終盤に打たれてしまったものの、途中までは防御率1位をマークし維持し続けるなど存在感を出していた。現在の神奈川リーグの中でも1、2を争うほど経験のある投手が揃っているだけに秋が非常に楽しみな投手陣だと思います。


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野手ではチーム全体で盗塁数が格段に増えたシーズンになったように感じました。特に1番でスタメン出場していた渡辺 拓路(④聖光学院)が走りに走ったシーズンで12試合で9盗塁を記録したのを含め、12試合で26盗塁を記録。この数字は2位の神奈川大学、横浜商科大学の15個に対してほぼ倍以上の盗塁数となりチーム全体で投手などのクセを上手く見つけることが出来たのではないでしょうか。個人的に注目している熱田 光俊(④帝京第三)がリーグ戦序盤は打率があまり上がってこなかったものの、終盤に固め打ちをみせて最終的に.378まで上げてくるなど相変わらずの打撃センスを見せつけたと思います。



横浜商科大

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上位3校から勝ち点を奪う事が出来ずに5位でリーグ戦を終えた横浜商科大学。しかし現4年生など数多くの選手が1年生の頃から試合に多く出ていただけに、経験のある選手が揃っていたのはプラスのポイントになっていたのではないでしょうか。投手陣はエースの藤村 哲之(現東芝)の抜けた穴は決して小さいものではなかったが、昨年までのリーグ戦で経験のある河野 颯太(④横浜商科大)松島 和輝(④千葉経済大附属)の上級生投手に加え中島 航(③平塚学園)米井 武瑠(③筑陽学園)の両左腕が昨秋より安定感が出てきた。昨秋はわずか2試合の登板で打ち込まれてしまった飯田 琉斗(④向上)の状態が上向きになりつつあり、神奈川工科大学との2回戦では9回を投げ相手打線を被安打3に抑え、2019年秋以来の勝利を挙げるなど6試合に登板、防御率も3点台前半を記録し復調をアピールできたのではないでしょうか。また登板数は多くないものの高根 匠人(①文星芸大附属)が1年生投手陣で唯一、リーグ戦での登板機会を得られた右腕で最速144キロを出したり、登板機会こそなかったが次郎丸匡峻(①つくば秀英)は高根よりも先にベンチ入りを経験するなど、今後が楽しみな投手も出てきたので、飯田投手を筆頭に力のある投手陣が揃っているだけに、何か1つのピースさえハマれば優勝も十分に狙えるチーム力は持っている。


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野手では1年生から正捕手として試合に出ている粟田 千宙(③愛工大名電)の攻守にわたる存在感が目立った。特に守備ではスローイングに安定感が増しており盗塁を阻止するシーンが非常に多く見られるようになった。打撃も今季は最終打率として自身初の3割を越えるなど打撃面も向上。ここ数年、神奈川リーグに在籍した捕手の中でも1、2を争う捕手になってきたと思います。また外野手の鷲田 亮太(③八王子実践)も走攻守全てにおいて昨年から飛躍。今シーズンは1番から3番へ打順を移しチームの「中心選手」としての活躍を求められるシーズンになったと思いますが、リーグトップの三塁打数(2本)を記録するなど長打力も増したように見えました。プレーを見ていると何年か既に社会人野球などでプレーしているような、他の選手たちと比べると頭1つ〜2つほど抜き出た存在のように感じました。



松蔭大学

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7季ぶりに1部の舞台で戦うことになった松蔭大学。最後に1部で戦った時のエースであった堀江 俊介氏がコーチとして戦うことに。現在のチームでは1部経験のない選手しかいないという状況だったが、選手が萎縮することなく1部経験豊富なチームにも引けを取らない堂々とした戦いぶりを観せてくれた。その中でもやはり、小林 駿介(③白山)の存在は無視して総括を書くことは出来ない。今春は3勝を挙げたが、そのうち2試合が完封勝利で1試合が完投勝利を記録するなどまさしく「鉄腕」と呼べる投球を見せた。球速自体は130キロ中盤くらいと速球派という訳ではないものの、ベース上でのボールに強さがあり打者が振り遅れるシーンや詰まるシーンが非常に多く観られた。その小林以上にリーグ戦で登板機会が多かったのが牧内 都(③磯子)だ。サイドハンドで少し変則気味のフォームからこちらも130キロ台のボールをインコースへ強気に攻める投球を見せる右腕。桐蔭横浜大学との2戦目では同点に追いついた直後からリリーフ登板で粘り強い投球で、強打の桐蔭横浜大打線を2点に抑える好投を見せた。この2点も自らのエラーなどが絡んでの失点だっただけにもったいない部分が残ってしまった。


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野手では大坪 利明(③川崎北)の存在感が非常に大きかったのではないでしょうか。1番センターで全試合スタメン出場を果たすと、難しいボールでもしっかりとバットに当てられる対応力と持ち味の俊足を生かして安打を量産し、打率.362はリーグ7位の好記録。簡単にアウトになることもなく、打ち取った当たりでも紙一重のアウトや内野安打になったりするなど、相手投手からしたら非常に嫌な1番打者だったのではないでしょうか。リーグ戦では途中出場が多かった小野 航太郎(①明桜)はリーグ戦でチーム唯一の本塁打を記録し入れ替え戦ではスタメンマスクを被るなど打撃面で期待されれば、内山 拓夢(中越)北原 大河(佐久長聖)の2年生コンビの二遊間はリーグ戦を通じて出場するなど初の1部の舞台で経験値をしっかりと得る事が出来たのは1部残留を決めたチームとしても秋に繋がってくるのではないでしょうか。



鶴見大学

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昨秋は6位に終わるも、入れ替え戦がなかったため残留となった鶴見大学。ほぼ全試合で投げた代田 涼輔(現ハナマウイ)が卒業した投手陣。期待された桒野 弘太郎(④川崎北)が思ったよりもピリッとせず、打ち込まれてしまう場面が多く観られた。昨秋から力のあるボールを投げ込んでいたがこの春は上級生としての責任感からなのか、抑えたいという気持ちが前面に出過ぎてしまいボール自体が単調になっていたように見えた。ただ、リーグ戦終盤では何か変えたのか掴んだのか分からないが、ボールなどもかなり良くなっていたように見えたので秋の挽回に期待したいと思います。また、3年生右腕の千葉 大地(堀越)がいい投球を見せていたのは収穫。しっかりと重心を落として低い位置から投げるアンダースローは相手打者からしても対戦する機会が殆どないだけに、先発などで経験を積んでいけばかなり面白い投手に化ける可能性があると感じました。



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打者では鋤柄 雄太朗(④藤嶺藤沢)が1人気を吐いた。1試合のみ欠場したが全11試合で外野や捕手など複数ポジションを守りながらも打順も上位から下位まで幅広く任された選手。昨秋から試合数を増やしながらも打率が.286→.324と向上。チーム唯一の本塁打を記録するなど打撃面では昨秋よりもかなりレベルアップしていた。しかし、鋤柄選手の出塁が生かしきれなかったのは反省ポイントとして上がってくるだけに他の野手陣の奮起に期待したい。特に佐藤 駿平(④茅ヶ崎西浜)は昨秋に首位打者を獲得している、今年の打線のキーマンの1人だったが春は思うように結果がついてこなかった。1シーズンで上がってくるには彼の復調が大きな鍵になってくると思います。


今季は昨秋の入れ替えなしで行われた為、6チームから7チームでの戦いに。また昨秋から引き続き勝率制で行われたリーグ戦。無観客試合で開催される週もありましたが、横浜スタジアムでは有観客で試合を開催。また、今季からYouTubeでのライブ配信を開始するなど、無観客試合でも試合を自宅で観ることのできる環境を提供していただき本当にありがとうございました。優勝決定戦を前に暗雲が立ち込めた事もありましたが、各大学の部員の方々を初めとしたリーグ運営に携わった全ての方の尽力により、無事リーグ戦の開催が出来たこと、そして無事に終了したこと本当にありがたく思います。また、秋に観に行ける試合は球場へ観に行きたいと思いますのでよろしくお願いします!



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