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アフリカ映画

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自身の映画記事のうち、アフリカ映画に区分されるものをまとめています。ロシア、ハンガリーに比べると競争率は高めですが、頑張ります。
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#モロッコ映画

ナビル・アユチ『カサブランカ・ビーツ』モロッコ、不満と魂をリリックに乗せて

2021年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。カサブランカ郊外に若者向けの文化センターを開設した監督本人の実体験を基にしているらしい。本作品の主人公は、自身もラッパーであるアナス・バスブーシ演じるアナスである。彼は文化センターで子供たちにラップを教えるために見慣れぬ土地に踏み込んだ。映画は大きく二つのパートに分かれている。一つはアナスと生徒たちの交流風景である。ラップでは宗教や政治のことは話せないといった議論、ラップの練習、みんなで部屋の壁を塗り替えるなど全員が仲良くヒップホップ

ナビル・アユチ『Ali Zaoua; Prince of the Streets』 子どもたちが親友の死を受け入れるまで

親友とアフリカ映画の話で盛り上がったので、私も色々観てみようと思って下半期の目標はロシア映画とハンガリー映画にアフリカ映画を加えることにした。本作品は、フランスで生まれ育ったモロッコ人映画監督ナビル・アユチ(Nabil Ayouch)が最初に有名になった作品である。アユチは1969年4月1日、モロッコ人ムスリムの父とチュニジア系ユダヤ人の母の間にパリで生まれ、サルセルで幼少期を過ごした。パリで三年間映画について学んだ後、広告会社Euro-RSCGで脚本家・監督として働き始める