【ネタバレ】アンゲラ・シャーネレク『ミュージック』人間に漸近する神話のイデア
大傑作。2023年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。アンゲラ・シャーネレク長編九作目。前作『家にはいたけれど』では『ハムレット』を換骨奪胎して現代の物語に組み替えていたが、今回はソフォクレス『オイディプス王』が核となる。しかも、今回は前作以上に省略的で、映画で示される事実よりも想像する余地の方が広いのではとすら思えるほどの、もはや暗号的と言っても差し支えないような作品に仕上がっている(だからこそ、この映画を理解しようと言葉を並べる行為が、説明できない未知の事象に名を与えて理解